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はじまりはじまり。小さな冒険?
93、スキル。
しおりを挟む「いや、それって、どんな超人なの……?確かに私は何度か転生して、その記憶を残しているけど、正直それだけだから。基本的には…ほぼ成人前に死んでるのよ?」
「えぇぇ……」
何が衝撃的だったのかはわからないのだけど、号泣から立ち直って、びっくりした顔で私を見上げてるユージア。泣き止んだのね。
残念ながら、転生先の条件は大まかにつけることはできたけど『成長できる環境』なんてものは正直、見極めようがないから設定できないもんね。
『転生時に入手したチートスキルで世界を渡って謳歌するっ!』そんなお話は好きだけど、残念ながら私にはそういうチートスキルの持ち合わせはない。
いくつか転生先を指定したり、転生の条件を付け足してみたりもしたけど、確実に実現されるわけでもないようだし。
……確実に行われているのは、過去の記憶を持ち越すだけ。
「早世でしょう?シシリーは成人してたけど、寿命どころか20代前半だったし」
「シシリーすら早逝だよね?若すぎ……」
「あはは……でもね、一回だけ、前回だけ、寿命で死ねたのよ。なんと90代!人間にしては凄いでしょう?」
どうよ?と胸を張りたい気分な反面、自虐ネタっぽくなってきて哀しい。
そして、びっくりしてるユージアとは対照的に、悲しそうにこちらに視線を向けるルークがいるわけで。
でもね、全くの健康体で90歳。人間ではすごい事なんだよ?
エルフ種には一瞬なのかもしれないけどさ……。
ユージアがびっくりしすぎて、ぽかんと口を開けていたので、クッキーを放り込んでみると、何も言わずに黙々と食べ始めてしまった。可愛い。
「セシリアに、シシリーとかの記憶があるって言うのはなんとなくわかったけど、それが本当なら、途方もないお話だよね。でも、シシリーって人が、これだけ有用なマジックアイテムを作り出せるのなら、記憶を継がせるようなアイテムを作っておいて、誰かに……今回はセシリアに触れたとかではないの?」
「シシリー本人で間違いない…匂いが一緒だ」
「まさかの体臭……!?」
うん、それは私もびっくり。
まさかの体臭とか。そんなに私、臭かった……?
って、臭いでバレてたのなら、セシリアの必死の誤魔化しなんて、全く効いて無かったじゃん。
「セシリアは臭くないよ…あはは。匂いってね…魔力の事だと思う。僕も聖樹の丘で会ったレイからゼンの匂いを感じて。というかあれは怒気とか殺気の類だったとは思うけど。その匂いで、あのレイの正体がわかったくらいだから」
なんか気になって、自分の袖をくんくんしている私を見て、ユージアが声を上げてけらけらと笑う。
「今泣いたカラスがもう笑う」を正に体現しているよう。
でもやっぱり、笑ってる方が良いね。可愛さも格別ですよ。
「……エルフは魔力を匂いとして感知する事が多い。もちろん、魔力と同じように魂から香る『自分の番』や『花』の香りもね。それがシシリーと全く同じ香りだった」
「あ~なんとなく分かってきた……」
「どうしたの?」
何故か徐々に、ユージアの表情が薄くなって、というか暗くなってる?
遠くを見るような、ジト目のようになっていく。
ルークと正面を向いて話していないのに、表情がはっきり変わるって……何があったんだろう。
この親子、不思議なのよね。
関係性というか、何て言うんだろう?
まぁ、会話があるだけ良いのかな?
でも、そうだ、ユージアが『3歳相当で』と考えると、うちの息子達だったら、『パパ大好き』が止まらなくて、まとわりつきすぎて、怒られてた記憶があるんだよなぁ。
『中高生くらい』と考えると……息子と同級生のお母さん方からは『会話が無い』『返事すらない』という愚痴を聞いてたな。
うちは、ゲームで意気投合して、夜な夜な本体の取り合いと、一緒に攻略と、楽しそうだったわけだけど。
まぁ、流石に当時はゲームってあくまでも子供のおもちゃの括りだったから、お母さん方との交流と称した、井戸端会議的な時には『旦那の趣味はゲーム』という事は言えなくて、愚痴聞きに徹してたけどね。
そんなこんなを考えてるうちに、ユージアの表情は……ん?
なんかすごく悪い顔してる。
これからイタズラしちゃうよ?的な。
「僕との再会一発目にいきなり襲いかかってきた理由。──僕に着いたセシリアの魔力……だよね。僕に『花か?』って聞いてきてたし」
「あの時は……ユージアの全身にシシリーの花の香りが充満してたからな。まさか自分の息子が、シシリーの生まれ変わりなのかと……」
しれっと表情も変えずに説明してるルークさん。
でも、ちょっと待って?それ、さらっと言う事じゃないと思うんだ。
息子襲うって何!?
シシリーだと思ったからって、それって理由になるんですか?それが本当だったら許されるんですかっ!?
シシリーなら襲っても良い……わけがないでしょう?
「セシリアは魔力切れで倒れるほどに、魔力を注ぎ込んで必死に治療してくれたからね」
ふふん、とでも言ってるように、なぜか嬉しそうなユージア。
……でも君もそれ、微妙に違うからね?
確かに必死に治療はしてたけど、倒れたのは、意識が戻りかけたユージアが暴れた拍子に、その腕に吹っ飛ばされて、気を失ったからだよ?
それはともかくとして。
抱っこでいつの間にかに、首に回された腕にきゅっと力が入り、しっかり抱きついてくれているから、安定して楽なんだけど。
……自信満々に語るなら、この格好はどうかと思うんだ。
私としては可愛らしいから良いけど、あ、反撃を警戒してるのかな……。
角砂糖とか、色々飛んでくるもんね。
とりあえずだ。
ユージアが自分の父親を必要以上に警戒、というか嫌悪だね。
そういう悪感情を持っていた理由がわかった気がした。
「ユージアを襲ったって……確かに襲われたとは聞いてたけど……えぇ…と、つまりルークは男色の趣味もあった、という……?」
同性な上に親子ですよ……何を考えてるんだ。
見た目年齢と言う意味では、20代くらいと中高生か。
うん、まぁ……この親子なら目の保養になりそうだけど。
おっと……そうじゃなかった。
ルークはユージアの保護者だもんね。アウトー!
「無い……と思いたい」
「断言しないあたりが、流石変態親父というか…怖いって……」
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