95 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?
95、生まれ。
しおりを挟む「らしいよ?ユージアは父さん似の方がお得だよ?」
「どう…お得なの……それ。さらに希少過ぎて、また捕まりかねないじゃないか」
ハイ・エルフはエルフの上位種と言われている。
エルフの上位というだけあって、寿命も魔力も倍近く長いし、高い。
長命の代表格と言われる龍種よりも長命らしい…という噂だ。
……噂なのはごめん。
人間では実際に調べようがないし、そもそも存在自体がものすごく少ないから。
だって、エルフ自体が少ないのに、そのエルフの上位種だからね。
もっともっと少ない確率でしか存在しない。
「まぁ、エルフの男ってだけで希少だからな」
「……それで僕、ハズレって殴られたんだな。エルフだったら高く売れたのにって。そういえば、男は希少ってのは聞いたことがあるけど、そこまで珍しいの?」
里にいた時に、拐われ……あ、当時のユージアは、幼すぎてそういう事情はまだわからなかったんだろうなぁ。
そういえば、ルークもそこそこ幼い頃から学園にいた気がするんだけど、希少であれば里を出るのも難しかったんじゃ……。
環境の違いなのかな。
「そうだな……人口の比率がとにかく極端で、女性が10人いるとしたら、男性は1人くらいだから。まぁそれについては色々逸話があるくらいだな」
「逸話……ね。少ないからって男性を大事にしすぎたら、結果的に極端な男尊女卑思考になってしまって、人口維持どころか、里自体が崩壊したってやつだね。あ、あと、あれって本当?出生児の男女比は同じくらいなのに、男性は成人できないことが多いから『じゃあ、成人した者の性別を変えてしまおう』って薬を開発したっていうやつ」
エルフはね『里』という環境で集団で暮らしているのだけど、魔力と知識が人間よりずば抜けているから、魔法薬のエキスパートでもあるんだ。
基本は採取になるような薬草も、技術の向上により里の中で一部栽培が可能に出来たとか、なかなかに芸が細かい。
問題としては、とても閉鎖的であるということ。
エルフ自身も一部の人間から見ると商品価値があるからね。主に人買いにね。
そのために襲撃を受けてしまうということもあって、人間と友好的な里は少ない。
ただ、稀に市場出回る高機能な魔法薬は、エルフの里との交易品であることが多くて『他にはどんな魔法薬が作れるのか?』というのはとても気になるところなんだよ。
今の薬については、それこそエルフの逸話と共に、都市伝説のように語られる魔法薬。
実在するなら、どんな物なのか、見てみたいと思わない?
そう期待を込めつつ、ルークに視界を向けると、私とユージア2人の視線に気づいたのか、本に向けていた顔を上げて、にやりと笑みを浮かべる。
……これは悪巧みを考えてる笑みだ。
「本当。あるし、作れる。ただしあれは一方通行でね。男性から女性になれる…だけで」
「え、それって使ったら、余計に女性が増えるじゃん」
あるんだ。へぇ、作れるんだ。男性を女性にするだけなんだ~。
ルークはくすくすと笑い出すと再び視線は、本に戻っていってしまった。
……そういえばさっき『上位種であれば同性の番でもさして問題は無い』って言ってたもんね。
ルークはエルフの上位種だもんね……うわ…『花』…この場合はどっちが『花』だかわからないけど、上位種の番が『人間男性』として生まれてきても、ルークにとっては全く問題ないんだね。
そう考えに至り、軽く戦慄をしていると、相変わらず視線は本のままでルークが笑いながら呟く。
「そう。ただ、稀にある男性同士の番の救済措置として重宝されているから……あの時、ユージアにも使おうかと……ふふっ」
「冗談でもそういうのは、やめてっ!?」
……やっぱり。
ユージアとの再会時、そのまま『花』だと勘違いされたままだったら、即座に、その薬を使おうかと、作ろうかと考えたんだろうなぁ。
恐ろしい。
というか微妙に他人事にも聞こえないので、怖すぎる。
「冗談に聞こえない……というか、冗談言う人だと思う?」
「……思わない…けど今のは冗談だと思わせて?」
「だって、再会でいきなり襲い掛かられたんでしょう?その時に使われてたらどうするのよ……」
「あ~…あの時ね。クロウディア様もいたから安心してたのに、クロウディア様もお茶飲みながらにこにこ眺めてるだけだったからね……」
「えっ!母様……何してるの」
まぁ確実に『絵になるわぁ』とか思ってたんでしょうけど。
母様、そういうの好きだから。
BLっぽいのが好きとかじゃなくてね、綺麗なものが好きだから。
そういう意味で眼福だったんだろうね。
……現状でもかなり眼福だし。
中身はともかく、可愛いのと綺麗なのと。
この世界にカメラがあったら、間違いなく2人を撮りまくっちゃうよ?
ビデオも欲しいなぁ。
「そういえば女性同士の番って聞いたことないよね。女性の場合の救済措置って無いのかなって思うと不思議だよね」
「そもそも女性同士の番ってのを聞いたことがないかな~」
「まぁ、生活としては男尊女卑傾向の村や種族も多いが、こと生殖においては女性優位だからな。番だろうが同族婚だろうが、求愛は女性側が受け入れなければ成立しない」
あ、ルークは今の番に振られたって言ってたもんね……。
ってことは拒否もできるんだね。
ん?でも、番は運命の相手というくらいに惹かれ合うらしいから、そもそも振られることが稀なはず。
……人間てそんなに鈍いのかしら。
ちょっと自分の番相手に申し訳なくなるね。
シシリーの時は、全く気づいていなかったみたいだし、実は知らずに振ってたかもしれない。
そう考えちゃうと、ごめんなさいって感じだね。
『女性優位』かぁ。どっちが優れているっていう考えは好きじゃないけど…だって、苦手があるのなら助け合えばいいってだけでしょう?
……でも、そうだね、小鳥や野生の生き物の雄が、鮮やかな羽を持っていたり体格が良いのは、求愛行動で他の雄達よりも自分の優秀さをアピールして『選んでもらう』ためだって、テレビで見たことがある。
雌も、優秀な子孫を残すために……って『選ぶ』んだもんね。
ほとんどの群れのボスは雄なのにね。面白いよね。
「じゃあ『花』のセシリアが受け入れてくれたら、僕が自分の番を見つけられなくても結婚できちゃうんだね」
花が咲くようにふわりと、可愛らしく笑むユージア。
思わず「そうね」って返事をしそうになってしまったのだけど……。
……いや、ちゃんと自分の番を探しに行きなさいよ?
それと、そういう台詞は、私の膝の上に座っている、というか抱きついたまま言うものじゃないよね。
4
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる