私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

96、性癖。

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「いや……それ凄く…絵面が悪いというか、私が変な性癖持ちみたいに見えるからやめて?」


今のユージアはものすごく可愛いけど、恋愛や性的なという思考へ持って行くのは勘弁して欲しい。
女子高生と幼児とか……教会のフィア以上の変態というか、異常性癖な人間になってしまうよ……。
それは超えてはいけない一線だと思うの。


「え~普段の姿でだよ?」

「私も普段の姿ようじでだよ?……しかも、ユージアも精神的に成長しなければ、もともとの姿が幼児じゃん。いろいろ犯罪チックでアウトですよ」


中学生と幼女でも十分犯罪です。
まぁ、貴族同士の幼いうちからの婚約ってのは、それこそ3歳からってのはザラだけど、結婚自体は双方が成人してからだし、そもそも『結婚式で初めてお互いの顔を見た』ってのが基本のように言われるくらいに、婚約者だからと言っても頻繁な接触はそうそうない。


「そうだった……セシリアが3歳児だったの忘れてた。あ、でもあと10年かそこらなんてすぐだし、大丈夫!」


えへへ…と笑いながら、ぎゅっと抱きついてきた。
首の後ろに回されてる、ぽかぽかでほやほやの細い両腕が柔らかいのにしっかり力がこもってる不思議。

ふにょっと頰にあたる、ユージアの頰が柔らかくて温かくて……あ~お肌のケア頑張ろう。
体格的な歳の差を考えても、それでも、男の子に負けてるのはなんだか悲しい。

あまりの心地よさにうっかり「大きくなったら結婚してね」的に、というかそのままだけど、相手が小さい子だからと、内容気にせずOKしちゃうパターンにハマりかけて、思い止まる。


(いやいや、10年って、長いよ?エルフには短いのかもしれないけど、長いですよ…成長していくうちに世界が広がって、気持ちだって変わっちゃうかもしれないよ?)


それともう一つ、問題があると思うんだけど。
ユージアがぽかぽかしてて、心地良くてついつい良い返事しそうになるのを堪えて、背中をぽんぽんと軽く叩くようにさすりつつ指摘してみる。


「で、ユージアはいつになったら成長するんですかね?」

「……いつだろう?」

「ユージアの場合は身体じゃなくて精神的要因らしいから、頑張らないと何年経ってもずっとそのままなんじゃないの?」

「それは……どうしようもないかも……」


……成長のためにも、これからお城で魔法やらお勉強するって言ってたし、5歳になってセシリアわたしが学園へ入学する時は『従者として』とか言い出しそうだけど、絶対に一緒に入学しよう。
きっと私について回るより、学園の方が色んな人と接するから、良い刺激になるはずだし。
……一緒に成長していけると良いね。


「可愛いから、ユージアはこのままでも良いけどね」

「この姿で……?」

「それは私が変態の仲間入りしちゃうから却下」

「ま、良いや。僕はセシリアのそばにいれたら、それでいい……」


私の肩で眼をこするように、すりすりと顔を押し付けて、再びぎゅっと抱きついてきた。
可愛すぎ!と思ったのだけど、これはあれだね、さっきよりも体温上がってきてるし『食べるだけ食べたら後は寝るだけ!』ですね……。
いっぱいクッキー食べてたもんね。
時間的にお昼寝タイムかな?


「やはり、シシリーの気を引くには…身体を縮めるのが有効のようだ」


パタリ、と本を閉じる音の後にルークがぽつりと呟いた言葉が……部屋に響いた。


「は……?」


響きました。というか、刺さったよ!?
絶対に、そういう趣味は無いよ?無いからね?
ユージアに関しては呪で縮んでるけど、そもそも精神なかみが幼児相当だから、それに身体が合わせて縮んでるんでしょう?だから、違うでしょ?
……可愛いけどさっ!


「どういう事……?」

「それでもいい……一緒がいい……」

「いや、良くないからね!?」


思わず即答で返してしまったけど、既にユージアの目は開いてなかった。
……寝言?!
でも良くないからっ!

くたりと脱力してしまったので、背中をぽんぽんとさすりながら、頭を支えて座り抱っこの姿勢を安定させる。


「これだ。シシリーの執務机の上に置かれていた……セシリアきみとの会話から、シシリーの記憶を継いでいるだけの別人格では、無いようだからね。嗜好もそのままなのだろう?」


そう言いながら、にこりと笑みを浮かべて本を置く。

執務机……?
うーん、むしろ机に本を置きっぱなしにしたことがないんだけど、何の本だろう?
置かれてるとすれば、何かの資料くらいなんだよね。
研究してそのまま資料を持って、この部屋に帰宅。
明日使う資料を机に積んで、寝る。

……つまり荷物置き場だったんだよ。
愛読書は、基本的には自室の本棚に。
というか『私の嗜好がわかる』本って何だ?

思い当たる記憶が多すぎて、嫌な予感でぞわぞわしていると、するりと、机の上を滑るように私の前に本が移動してくる。


『小児の身体の発達の段階と性的行動への総合的臨床見地の……』

「幼児、ねぇ……。あ、それ後輩の著書だよ。『出版したから見てくださいね!』って貰ったやつ」


何やら怪しげな名称やら表現がある気はするけど、後輩が書いた一応真面目な本だったはず。
ていうか、その後輩が飲み会やらで怪しい本を薦めて忘れて置いていくとかあったから、そっちが出てきたのかと冷や汗かいたわ。

……内容は、あれだ『性的行動』なんて書いてあるから怪しいけど、赤ちゃんってとりあえず自分の手で掴めるものは掴んでみるし、それこそ最初のうちは自分の顔を思いっきり掴んだり引っ掻いたりして、傷だらけにしちゃったりする。
それを阻止するために、昔はミトンっていう小さな手袋をつけたりもしてたと記憶してる。
今の子達って着けてるのを見ないんだよね。

じゃなくて、話を戻して……そうやって色々身体を触ったり、口に入れて感じたりして、成長していくんだけどさ、その時に性器に興味を持つ子もいるんだって。
主に男の子なんだけど……外についてるから見えるし、気になるんだろうね。

気になり始めちゃうと、執拗に……それこそオムツに手を突っ込んで触ってたりするみたいで。


『なんでだろうね?』
『その行為には性的な興奮や刺激が存在するのか?』
『他の赤ちゃんより身体の成熟が進んでいるからなのか?』


そういう謎を調べてみた!ってな本だったと記憶してるわけです。
男の子のお母さんが、男の子の育児をしていく上で対応に頭を抱えてしまう内容の一つではあるから、前世にほんの育児書にもいくつかは触れてあったりした。

そちらには『ただ興味を持ってるだけだから「他にも面白いものがあるよ?」と他に誘導してあげましょう』って書いてあったと記憶してる。

……しかもその本に至っては、男の赤ちゃんを育児中のお母さんからのヒアリングや、本から調べた結果、実際にその様子を見れたときの観察内容等のまとめであって、その本を目的以外で『悪用しちゃおう』と考えて本を所有してたとかと思われたのなら、悲しいわ……。ていうか、心外ですよ。

呆れて思わず眉間を触ってしまった。
……あ、父様がよく眉間を抑えてるけど、あれって無意識の仕草だったんだなぁとか、ちょっと遠くを見つめつつ思う。


「……それが、私の嗜好だと本当に思ってる?……だとしたら、ルークには廊下で寝てもらう事決定かな……」

「なぜ……」

「ん?一応ここ、私室だから。勝手に見られた挙句に、変な疑いをかけられちゃうとか困るし」


というか真面目に困る。寝室漁られたら、確実にやばい。
絶対に何もないとは言い切れない。
というか、ある。見られたら、泣く。

過去の私シシリーのとはいえ、やっぱり漁られるのは嫌だ。


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