私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

110、マジックアイテム?。

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「魔物なの?」

「うん『隷属の首輪』なんて嫌な名前ついてるけど、あれは、言葉が通じなくて意思の疎通ができない、そして通常では害を成す魔物の、生態を探るために作られたものなのよ。服従状態だから、こちらが襲われる事もないし、意も通じるでしょう?意思の疎通が普通にできる相手に使う目的で開発されたわけではないの。それと、その試験以外で、私は作ってないよ」


言い訳っぽいけどさ……。
これが使えたことで、魔物の生態が理解できて、例えばだけど、どうして襲うのか?のいくつかが、襲われずに済む方法が見出されてる。
たとえば群れて済む魔物の類だね。

縄張りの取り合いで。
繁殖の時期なのに食料が不足して。
ただ単に人が食べたくて。

……だから、村が襲われてた。

こういう理由がわかるだけで、内容によっては避けれるからね。


悪用された上で、でてしまった被害者へは、ごめんなさいとしか言葉が出てこない。
被害者の辛さは想像もつかない程大きいだろうし、起きてしまったことはもう取り返しがつかないから。

悪用した奴が悪い!と言い切れれば良いのだけど、そもそもこんな物が作られなければ!となってしまうのは、産み出した側としては悲しいだろうし。


(本来の目的のために使えたら、生活の質が上がる物なら尚更だよね)


次に作るときは、悪用されないような制限をかけた上の作成を心がけるしか無いわけだけど、悪用する側は、あの手この手と考えるから……結局はイタチごっこにもなるし。


それでも、ユージアに至っては50年近く苦しめられて、さらに使い捨てのように、保身の為に最後は処分とか……助けられなかったらと思うとゾッとする。

そして、被害者がいる前で、『隷属の首輪』の有用性を話すとかね……正直、正気の沙汰では無いと思う。
そう考えに至って、しょんぼりしてしまう。


「セシリアは僕を助けてくれた時に『隷属の首輪』をまず最初に外してくれてたじゃん。ゼンだって嫌がってたのに。首輪の代わりの奴隷契約も嫌がってたし。作れる、作ったって言うシシリーを怒ってるわけじゃないんだ……でも、どうしてそういうものが作られたのかが……知りたかっただけだよ」


どうやって説明しようかと考えているとユージアが笑う。
今にも泣きそうな笑顔。
笑顔は好きだけど、こういう笑顔は絶対にさせたくないと思う。

『隷属の首輪』は文字通り服従させるために精神を乗っ取る。
シシリーが作った『隷属の首輪』も、そう。全く同じ物だ。

今も違法に出回っている『隷属の首輪』は、そこまでの効力はないみたいだけど、それでも洗脳に近い感じになるつくりだったし。

被害者であるユージアにとっては名前を聞くのも嫌な物だけど、それでも、本来の使い方であれば、自衛の難しい小さな集落の暮らしを守る物だったんだよ。


「……この学園があった時代に首輪をつけた奴隷は、いなかったよ。使うのは今と同じ契約書を交わして作る、奴隷紋。首輪は違法だったよ」

「そうだな、違法奴隷商を取り締まったことが何度かあったが、そこも奴隷紋だった」

「そっか……」


どう声をかけるべきか、思わず黙り込んでしまうと、少しの沈黙の後、ちらりとルークの背後にあるドアを見てから、ユージアが言いにくそうに口を開く。


「じゃあさ、ねぇ、セシリア……あのドアの中のアレも、自作?それとも……」

「ドア?……あー。一応、研究材料、もしくは資材、の部屋なんだけど、何かあった?」


私の背後にあるドア2つは、私室とゲストルームに使ってる部屋で、向かい合って座っているルークの後ろにあるドアは……どちらも資材置き場。
最初にルークに『開けちゃダメ』って言ってあった部屋だ。

何故かもじもじしてる。
何か言いにくい物でもあったかな?


「えっと……ゼリー状の人間が内臓丸出しでドレス着て踊ってたけど、それも研究?ものすごく怖かった……」

「あぁー!一応自作かな?動いてるけど害はないよ?実際、勝手にドア開けて出てきたりもしてないでしょ?」

「ほう。亜種のスライムか何かでも育てていたのか?」


そういえば、食料の確保に行ってる時に、ユージアは見ちゃったんだっけ……。
ちなみにスライムではない。
ドレスも一応研究資材の一部、のはず。

ルークまで興味を示したのか、後ろに振り向いてドアを確認すると、中を見るべく席を立ってしまった。


「ちょ……っと、見ない方が……良いわよ?」


止める間も無く、ドアが開かれてしまったわけですが、ルークは入室せず部屋の前で停止していた。


「……」


中では実物大のヒトの形状をした、ゼリー状の動くマネキンが男女半々で6体。
透明なので内臓物が見える。
内蔵じゃないよ、内臓ね。

それが緩やかにぬるぬると動いて、一見踊っているようにも見える。


「……シシリーきみは、どんな研究しゅみをしてたんだ?」

「あれってスライムなの?スライムってもっと丸いよね……」

「えっと……何か誤解されてる?!」


一応、研究の成果なんだけどなぁ。
ユージアはビビりまくってるし、ルークは眉間を抑えてるし、2人からの評価は散々だった。
ちなみに内臓も作り物で、機能はしてません。

まぁいきなりこんなの見ちゃったら気味悪いかもしれないけどね。


「動く人体模型って言えば良い?あれ、作り物マジックアイテムだから生き物ではないのよ」

「セシリア、能力の無駄遣いって言葉……」

「知ってる。でもあれ、当時は医学の方面で、画期的だったのよ?」


何故かユージアにまで遠い目をされてしまったのだけど、これはれっきとした医療用です。
内臓の位置がね、寝てる時と動いてる時と、寝てる時だって微妙に向きが違えば位置も変わるわけで。
そういう、内臓もだけど筋肉の状況とかも確認できるように作られた、人体模型なのですよ!

女性の場合は、コルセットしめてたらどうなってるの?とかね。
まぁドレス着てるのは、真っ裸で置いとくのも嫌だったからってのがあるんだけどね……。

だって、勝手に動くのは良いけど、人間としての動きを意識して動くようにプログラムされてるとかじゃないからさ、なんかブリッヂしてたり、むしろブリッヂしたまま移動してたりとかさ……何体かでこんがらがってたりするんだもん。
物、としてみたらなんとも無いんだろうけど、人の形をしっかりしてるから、色々と絵面的にも、怖すぎるからね?


「……今でも充分に画期的だがな。脱走されたら異端過ぎて討伐されそうだが、治療院に持ち込めれば国宝級の学術素材になるな」

「ほらね、国宝級だって!」

「これが国宝とか……イヤだ」


呆れ顔から立ち直ったのか、ルークが素敵な評価をくれた。

凄いだろう~?
嬉しくてちょっと胸を張ってみる。

レントゲンがあるわけでも無いし、綺麗なままでの内臓を見る機会なんて、滅多に無いからね。
医学を目指す人にはものすごい宝物になるし、一般の人にだって、良いお勉強にはなると思うよ。


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