112 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?
112、好み?。
しおりを挟むルークが赤面しつつも、眉間を抑えるようにして、呆れている……。
前世で息子3人も育ててたら、恥じらいも何もなくなってしまった……ということにしておくよ。
お風呂の時間とか、うっかり下着の準備を忘れると、テレビを見ながら食後のお茶を飲んでる目の前を素っ裸がうろうろするし。
ひどい時には、視界に、大・中・小・極小が勢揃いしてる時もあった。
下手すると、着替えもせずにテレビに見惚れて中・小・極小がテレビの前に並ぶ。
私から見れば、テレビの前に並ぶ。ぷりぷりの尻3つ。
恥じらってる暇はないよね。
「乙女の恥じらいってやつですよね……あははっ。ルークが私の代わりに恥らってくれてるから、いいや」
琥珀色の形の良い切れ長の瞳を、見開くようにぎょっとしてこちらを見つめるルークと目が合って、思わず笑ってしまった。
表情豊かで可愛らしいんだもの。無表情よりずっと良い!
「ダメだなぁ、セシリア。そういう時は、『好みは?どれか着てみようか?』くらいっ……!痛いっ!痛いってば!」
「いや……それルークを困らせる前に、私の貞操が危機になるのでは……?ていうか、ユージアは私を義理母と呼びたかったりする?」
「それもイヤああああああ」
角砂糖に襲われて逃げまどうユージア。角砂糖、無駄にしないでね。
それにしても、と部屋を見渡す。
実は、良い感じでフィット感が出せるようになってて、いくつかは製品化しようと思って、実際に実用できそうなデザインで作ってたやつがあるんだよね。
「でも、好み……ねぇ。そうね、あのひらひらしたやつとか、自信作なんだけどな」
「えっ……!あれってセシリアが作ったの……」
びっくりした顔でユージアが聞いてくる。
ルークはやたら恥ずかしがっているのに、その息子はこの反応。
親子でも興味や考えることは、違うんだなぁ。
「うん、この部屋の説明で『私の研究素材、資材』って言ったよね?」
「やっぱ趣味…「違うからね?!」」
あぁ、でも趣味にしても良いかもね。
裁縫は嫌いじゃないし、ここのブラジャーは少なくとも、母様から貰ったものよりはフィット感もサポート力も優秀だし。
スタイルアップという意味でもバツグンの能力を発揮すると思う。
メアリローサ国に帰っても、これは研究開発を続けたいな。
「今の下着よりは、着やすそうだし、いくつか持って行こうかな?……母様のお土産にも」
「セシリアに弟か妹が増えるね。きっと」
「それは願ったり叶ったりだわ……さて、これで満足したなら、帰るための下準備しちゃおうか?」
「この部屋が安全なら、いい。あの人形の動きは怖いけど…って、うわぁ……あははっ」
怖いと言いつつ、ルークの顔を見あげると、あからさまに吹き出して笑うユージア。
振返ると、頬を赤らめ……とかいうレベルではなく、首まで真っ赤にして口元をおさえて俯いているルーク。
え……そんなに扇情的な物でもないよね?!
普通のおパンツとブラジャーだよ?ええぇぇ……どういう事?
もしかして下着フェチ?
……これは流石に聞けないけど。
「ルークも、そんなに気になるなら、いる?」
「さすがに……怒るぞ?」
怒られました。
ルークの真っ赤な顔が、とても可愛らしいわけですが。どうしようね?
ユージアはルークの角砂糖攻撃を恐れて、すでにソファーに戻っていた。
私もルークもソファーに戻りつつで、説明を始める。
「さて…と。話がかなり脱線しちゃったけど、話を戻そう……まずはユージア。さっき渡したスリングショット、弾がなくても打てるから、取扱注意ね。魔力が高いと中々の威力が出るけど、魔力の無い人でも、ここから打ったら、そこのドアに傷くらいは付けれる程度の威力が出せるよ」
「魔法武器の一種なんだね!凄いっ!」
ユージアの手に浮き上がるようにして、スリングショットが姿を現した。
空気砲のような物なんだけどね。
弾をちゃんと使えばさらに威力が出るんだけど、そこまでの戦闘になるような事態は避けたいところ。
死の森の魔物は強すぎるから。
「あとは……」
ちらりと手の上に現れたメモ帳に目をやる。
ユージアは気になったのか覗き込んできた。
腕にかけられた、ぷくぷくの手が可愛い。
「それ何?」
「手帳というか、日記…かな?何か気づいたことを、ちょこちょこ書いてるメモみたいなやつ。意外に便利なんだよ?」
「見せて?」
「良いよ」
ユージアにメモ帳を渡す。
武器につけた鈴と同じように、魔力を記憶させて、使わないときはしまっておける構造なんだけど。
シシリーが使ってたやつを、そのまま引き継いでしまった、というか引き継げてしまった。
魔力って指紋のように個々で違うはずなのに……同じ魂だからって事なのだろうか?
ちなみに書いてある内容は、直近ではそれこそさっきの部屋の研究の成果だったりする。
最新は今書いた『持って帰る物リスト』
メモを凝視して、ユージアが唸る。
「……読めない」
「私にも」
「……ほとんど日記だから、読める人には見せませんっ」
ユージアがルークに渡しかけたので咄嗟に回収した。
日記としても使ってたんだから、さすがに見せられない。
「……古代語か。ユージアも読めるようにしておいた方がいい。魔法で重宝するからね」
古代語だから読めないだろうと思ってたら、そうだった、ルークは読めるんだった……。
これからは読まれたくないものは、日本語で書こう……。
私の必死な様子が面白かったのか、楽しそうに笑みを浮かべると、紅茶を手にする。
いつの間にやら手配をしたのか、カートで新しく運ばれてきた紅茶が、ルークによってそれぞれの前へふわふわと移動してくる。
「あ、ユージア……もう一つね。この薬飲んでおいてね。これも私の長年の研究の成果ですよ」
「え、人体実験しちゃう!?」
「……それも良いかもだけど、ちゃんと試験済みで安全だよ」
私はもう飲んだ。
ユージアにも飲んでおいて欲しい。
前世の子供達が受ける予防接種のように、とある病気の免疫をつける、免疫を高める効果がある。
あからさまに顔を引きつらせて、及び腰になっているユージア。私を信用してないな?
学園内のあるだけを全部、持ち出してしまうと、またいつか、必要となった時に再現すらできなくなってしまいそうなので、私の引き出しから少しだけ持ち出してきた。
「冗談ともかく、流行病の予防薬。……どうも、メアリローサ国にはこういう薬があまり手に入らないみたいだから。それでも、罹患しちゃったら、ユージアはやばいかもしれない……くれぐれも気をつけてね」
「……魔力熱か」
「うん。エルフとか関係なく魔力が高い子ほど命に関わるから。ユージアは呪とはいえ子供の姿だから用心してね」
「わかった……魔力熱、怖いもんね」
当時でも特効薬と呼ばれるようなものは、キナから作った薬以外は何も見つけられていなかった。
この予防薬も、正直、ものすごい効果を発揮するほどのものではないんだけど……軽減の効果は確実に見込める、という結果は出ていた。
あくまで軽減目的で飲む、という事。
ユージアはエルフだから、普通の子供よりずっと魔力が高いし、私もそこそこ高い……高くなるはず、だからね。
魔力の高い子ほど、致死率が高くなる病気だから、少しでも軽減できますように。
0
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました
朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。
魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。
でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる