私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

119、精霊のお手伝い。

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風の乙女シルヴェストルかぁ……ルークの趣味かな?」

「それ、冗談に聞こえないから、本当にやめて?」


冗談じゃ無いんだけどね。
もしかしたらだけど、再会一発目に襲われたってユージアが怒ってたし、めちゃくちゃ警戒してたから、ユージアの様子をしっかり観察したかったんじゃないかな?と思う。

……襲われた後だったら『身体の状態を確認したいから服を脱げ』とか言われても絶対に信じられないし。
時系列的には、襲われて→お風呂で拘束→晩餐会っていう感じになるのだろうから…まぁ、そうね、確かに晩餐会の時のルークに対するユージアの態度は、警戒通り越して威嚇する勢いだったもんね。


「いや、相性が良い精霊となら、視界共有ができるって昔、聞いたことがある……っていうか、これ、教えてもらったのルークからだったわ。つまり……」

「それは……」


ユージアが固まっての沈黙に、からん、とレモン水を飲み干してしまった後の氷が崩れる音が響く。
ルークは出来るんだよね、きっと。
あ、もしかして、さっきのも共有されてたのかしら。
まぁ……見えちゃって困るようなものは、なかったはずだし大丈夫……な、はず。


「素敵なお父さんって事かなぁ?いろんな意味で」


慰めの意味も込めて、にこりと笑う。
ルークは一応ユージアの保護者というか、お父さんだもんね。
心配するのは当たり前なんだけど……コミュニケーション不足というかなんというか、ユージアに誤解されていることが多すぎだったりしませんか?

誤解されていることに気づいても、面倒だからってあえて訂正しないんだろうし。
これは昔からの癖だよなぁ。
必要な情報さえ伝わればいいって。
でも、訂正も大事だと思うんだ……。


「……うわああああああ」


ユージアはぶわりと顔から首から全身を真っ赤に染め上げると、両手で顔を覆ってしまった。
羞恥に悶えてるっぽい?

顔を両手で覆ったまま、ふりふりしてる。
何の羞恥にか知らないけれど、その悶えっぷりが、可愛すぎる。どこの乙女ですか……。

無事かどうかの確認だったらしょうがないね。
ただ、誤解は解いてあげたほうがいいと思うよ、うん。


「でもまぁ、身体をしっかり洗うってのは大切な事だから、洗い方は知っておいて欲しいのよね……そうだ、私の精霊に教わってみる?どっちも男の子だから、恥ずかしくは無いんじゃないかな?」


……本当は精霊に性別は無いんだけどね。

ルークが良く使う風の乙女シルヴェストルも、私が契約していたら男の子の姿で現れたんだろうし。
あぁ、精霊ってね相手の人間に好かれたいって気持ちがあるから、無意識にでも相手が好くような姿をとるんだって。


(基本的に異性が多いのと年齢層も近かったり……あれ、ルークの風の乙女シルヴェストルは少女だなぁ……)


あれは『身体が小さい方が呼び出した時の魔力消費が少なくていい』って昔聞いたんだけど、むしろ好みだったりするのかしら。
やたらとルークに猛アタック?されてるセシリアいまのわたしは10代の外見だ。
……少なくともシシリーよりは、風の乙女シルヴェストルに近い年齢層なわけで。
もしかしたら、好みドストライク!とかが最近の態度の原因だったら、怖いんですけど。
『花』とかいう以前に、貞操の危機な気がする。

ふと、とんでもないことに気づき軽く戦慄してしまった。


ちなみに、私の精霊たちも例に違わず……という事で、初対面にルークとかカイルザークとか、常に暴走してる精霊達のとった友人たちの姿に……私は発狂というか、まぁルークに至っては本人の前だったからね。
『精霊から見た私が喜ぶ姿』ってわけでしょう?
そりゃ爆笑されますよね……。

次こそは、まともな姿での登場を切に願いますよ!

そう思いつつ、ユージアの反応を見てみると、あからさまに警戒されてるし。
身体の洗い方は親切心からなのに。


「……セシリアも、その…精霊越しに…覗けるんじゃないの?」

「ないない。私は精霊使いでも無いし、ルークのように優秀でも無いもの。そこまで精霊を器用に使えないよ……つまり、私の場合は頻繁に精霊の主観で暴走するわけなのだけど…それでも良ければ」


やっぱり。
……人を覗き趣味のように言わないでほしいわっ!
まぁ本当なら、この世界での身の回りの事や、それこそ性教育のようなものは、思春期くらいまでは親に教えてもらう。

ユージアや私とか、3歳から5歳あたりは、周囲とのコミュニケーションもだけど、自分の身体の事もお勉強する時期だから、わかりやすいところで、それこそ身体の洗い方、爪切りや、手洗いうがい、他には歯磨きとか、ご飯の作法もかな。
お昼寝も…我慢や譲り合いなんかも、この時期に覚えていく大事な事。


お父さんルークがいるのだから、ルークに教わりなさいって言いたいのだけれど、ユージアに変態認定されてるしなぁ)


幼児期に身につけておくべきことを知らないまま……ってのは、ユージアは本来であれば、当の昔に奪われてしまい取り返すことのできない幼児期を、やり直せるチャンスを手に入れたのだから、ここは是非是非しっかりと身につけさせたいところなんだよねぇ。


「暴走って……」

「うん、思いっきり暴走しちゃう。この姿だって、精霊の暴走の結果だし。まぁ結果的に今は役に立ってるっぽいけど、本当なら怒るべき事案なんじゃ無いかな?」


「この姿」と、うっかりバスタオルを巻いた状態の私を見て、顔を赤らめているユージアの様子を見ていると、私が教えるってのは完全に選択肢から除外だろうし、ルナフレアに頑張ってもらうしかないかなぁ。
……ちゃんと教えられると良いんだけどなぁ。
不安しかない。


「ま、まぁ……そうだね。そういう暴走は困るね」

「って事で、私が教えるかもしくは、精霊は……あからさまに性格悪い方と、こっそり性格悪い方とどれが良い?」

「どっちも性格悪いんだ…?」

「あはは……ルークのように制御できてないからね。風の乙女シルヴェストルより確実に性格悪いと思う」

「じゃ、じゃあ、こっそりの方で…おねがい」


頬を赤らめながら、私を直視できないのか、伏せ目がちにお願いされた。

もじもじと恥ずかしそうに、おねがいって……か、可愛すぎるっ!
じゃなくて!ちゃんと言ってくるくらいだから、知りたくはあるんだね。
ちょっと安心した。


『……随分な言い様だよね。ま、少なくとも性格の良い方・・・のフレアですよ』


じゃあ、呼ぼう、と思う前にすでに現れてるフレア。
びくりと、反射的に小さく飛び上がるユージア。

変な姿じゃありませんように……と、勇気を総動員してフレアの姿を見上げると、フレアの元々の優しい金髪で、なぜか甚平を身に付けている……。


「ぼ…僕っ!?」

「ね?暴走するって言ったでしょう?……その姿、やめなさい」


金髪で甚平を身に着けた、やたらときらっきらの10代いつもの姿のユージアがいた。

湯船の縁に頬杖ついてた手が、そのまま頭に移動する。
文字通り、頭を抱えちゃう……。

でもあれだね、甚平が意外に似合ってる。
縫ってみようかな?


『だって身体の洗い方なんでしょう……?この姿ほんにんで教えた方が一番教え易いんじゃない?』

「暴走するって、本当なのね……」

「言ったよね?!……不安なら、やっぱり私が教える?」

「それは絶対にダメっ!」


即却下されました~。
息子には普通に教えてたけどね。
あ、ついでに孫にも。
ていうか、むしろ女の子が実子にも孫にもいなかったから、女の子に説明する方のが、私には難しいかもしれない。


『えーそんなに僕の信用がないのなら……わかった、ここで教え…「あっちのシャワー室で!」……はいはい』


ユージアはその場で甚平を脱ごうとしたフレアに気づくと、凄い勢いでそれを阻止し、フレアの手をガシッと掴むと、洗い場の奥にあるシャワー室へと歩き出して行った。
こうやって見てると兄弟みたいだな、なんてちょっとほのぼのしつつ見送る。

っと、私もそろそろのぼせてきたので、湯船から上がってベンチのようになっている部分へ座る…と、視界が暗転した。


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