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はじまりはじまり。小さな冒険?
123、凄い人。
しおりを挟むいやほら、シシリーとルークは本当に研究に没頭していたから、本当に周囲のことが目に入らないくらいに集中してたんだよ。
「えっとね……シシリーとルークは、部屋の異常に気付いて入室してきた先生に怒鳴られてから、そこで初めて、周囲の異変に気づいたんだよ。だから『凄かったらしい』なの。そもそも同じ部屋にいたのに状況すら、見てないんだよ」
「ある意味すごいと思うよ、その集中力……」
「今思うとさ、なんで『催淫薬』が効かなかったんだろうね?とは思うの。部屋中が大混乱になってるくらいってことは、相当強烈なやつだっはずなのに。効いちゃってた犯人達は大失態って事で学生の資格を失う勢いだったんだからね?人間のシシリーはともかくとして、エルフって嗅覚って凄く良いでしょ?ルークに効かなかったのって更に凄かったらしいんだよね……ルークはそういう防衛手段とか、いっぱい知ってそうだからさ、聞いてみると良いと思うんだ」
「やっぱりバケモノだったって事はよくわかったよ」
えー、ルークは本当に優秀だったのよ?
ユージアはさっきの涙はどこへいったのやら、何かジト目のようになって私を見上げてる。
それがやっぱり上目遣いになってて可愛い……じゃなくて、毛布で包まっての座り抱っこで、ぽかぽかしてきてるし、あ、落ち着いたから眠くなっちゃったのかな?
部屋はそこそこ暗くなってきてるし、そろそろ寝る時間にしても良い感じなんだろうね。
ぽかぽかしてきているユージアの背を優しくぽんぽんと叩くようにさすりながら、話を続ける。
「ルーク、めちゃくちゃモテてたからね……」
「えーっと…セシリアの周囲への評価ってさ……多分、いや、かなりあてになってないからね?……まぁ良いけど、危なっかしいから、セシリアもちゃんと気をつけてよね?」
「あははは、大丈夫だよ~。シシリーの時も今も、私より周囲の方が美人さんばっかりだもの。霞んで気づかれないのがオチだって」
「うん、やっぱりもうちょっと気をつけた方がいいと思うの」
心配そうにユージアは言うけどさ、あれだよね、幼さでの可愛さだってユージアには確実に負けてるし、ていうか、学校始まったら、王子達もいるんでしょう?
私に勝ち目とか、一切ないからね?
学校へ行く前から、王宮で勉強会があるんだっけ……その時点で、私は背景に同化するスキルを取得できる気がおもいっきりしてる。
つまり気をつけるべきは、私よりもユージアやエルネスト、王子達だと思うんだよねぇ。
(まぁ、ルークの時みたいに巻き込まれないようには頑張るけどね)
そう思ったら自然と笑みが浮かんでしまった。
そうだよね、綺麗どころいっぱいだから、巻き込まれに注意だった。
あぁ、でも王宮のお勉強も、魔法学園もみんなで行けるんだよね?
これからがどんどん楽しみになって、にやにやが止まらなくなってしまった。
「ふふふ、でも、子供はいっぱい失敗して勉強していくものだから、大丈夫だよ。大人に守ってもらえる時期だもの。それでもやばくなったら、そこから今までの成果を発揮させて頑張れば良いんだよ」
「それでいいの……?」
「いいの」
にこりと笑みを浮かべて肯定すると、ユージアが安心したような力の抜けた顔になってしまった。
……良いに決まってるでしょう?
今は『育児期』なんだから、育ててもらう時期なの。
いっぱい甘えて、いっぱい怒られて、失敗も勉強もたくさん頑張って、それから1人で頑張れるよってなってから、独り立ちしていくんだもの。
独り立ちができる合図、それが『成人』なのでしょう?
成人なんてまだまだ先だからね?
と、声をかけたかったんだけどね、ユージアの目がすでに半分夢の中に行っちゃってました。
「──ユージアはそれを、すっ飛ばして頑張って来ちゃったんだから、凄い事だけど、でも、これからはちゃんと助けてもらいながらで、良いんだよ」
「うん……」
本当に幼児って、いきなり電源オフになるかのように眠っちゃうんだよなぁ。
……そっと、座り抱っこからベッドに降ろすと、毛布をかけ直す。
「寝る準備してくるから、先に寝ててね……おやすみ、ユージア」
ベッドに降ろされたことに気づいたのか、うっすらと瞳が開くが、声を聞くと安心したようで、ぽんぽんと背を叩いてるうちに、そのまま寝てしまった。
さてと、隣のゲストルーム側の壁を退かすために、壁にある解錠ボタンを押す。
双方の部屋に解錠ボタンがあって、ほら……このボタンが無いと、うっかり片付ける前の私室(!)をご披露しかねないから。
まぁ、今回はゲストルームと私室を繋げるためだから、解錠で良いんだけどね。
ゲストルーム側の解錠をしに行こうと執務室へ戻ると、ルークがいない。
(私室に長居しちゃってたし、またお風呂でもいったのかな?)
そう思いつつ、ゲストルームのドアを開けると、ルークがいた。
ありゃ、ノックせずに入っちゃった。
ていうか、ベッドに腰掛けてる状態だったので、そろそろ寝るところだったのかな?
「ごめん、こっちにいたんだね。そこの壁を外したいんだけど良いかな?」
「良いのか?」
「良いのかって、何があるか分からないから、お互いがなるべく目の届かなくなるような状態は避けるべきかと思ったんだけど、やめとく?」
「では、頼む」
なんか、ルークの態度がぎこちないんだよなぁ。
……目を合わせてくれないし。
長めのさらさらと流れてしまう前髪に、その綺麗な琥珀色の双眸はほとんど隠れてしまっているけど、それでも目が合っているかどうかは、わかるんだよ?
今は思いっきり逸らしてたよね。
ま、それはともかく壁の解錠ボタンボタン~。
ボタンを押すと、すーっと透過状態になるかのように、壁はその姿を消した。
「ご覧の通り、ユージア寝ちゃったんだよね。ルークのベッドをユージアの寝てるベッドとくっ付けたいんだけど良い?」
「あぁ。手伝おう」
壁の消えた先、私の私室ですね……ちょうど手前にベッドがあり、そこで寝ているユージアが見える。
そのベッドへ、ルークが座っていたベッドを押して移動させる。
どちらも一応セミダブルのサイズなんだけどね。
ユージア次第なんだけど、寝相が悪かった場合、転がり落ちたら可哀想だからね。
ベッドをくっつけて、川の字状態で寝たら、安心かなって。
「よし、くっついた~!ルークありがとうね……これならユージア落ちないかな?」
「キミは……いや、いい」
「ん?なぁに?」
「……」
ベッドも並べたし、これで後は寝るだけだね!と、思っていると、またもや挙動不審のルークが何かを言いかけて、やめる。
再度聞き直すと、顔を赤らめて俯いて首を振られるっていう……何処の乙女ですか?この親子。
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