私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

128、寝ぼける。

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暗くてシルエットのようにしか姿が見えなかったが、ルークと変わらない体格の、長髪のエルフが怒っている。

奴隷紋のあるあたりの胸をおさえて背を少し丸めるように、状態を起こしていた。
だから、多分、ユージア。

ユージアのエルフとしての本当の姿なのかな?


「セシリア、怖くないよ…ここにいるから、寝よう……」


いつもの10代のユージアより、身体の線の細さが抜けて随分としっかりとした印象だった。


「これは、寝ぼけてるな……」

「へ……?」


ふう、とため息を吐くと、ルークは私を解放し、自分のベッドへと戻って行った。

代わりに、ユージアに抱き寄せられて……腕枕の状態で背中をぽんぽんされてるわけですが。
結局、ルークに解放されても私の視界は、胸……じゃないな、これは鎖骨と首。
今度はユージアのだけど。

……しかもユージア、裸なんですけど。

今度は何かから庇うように、腕枕、というか肩枕?になっている先の手で、がっちりと頭がホールドされている。
もう片方の腕も、背中を叩きつつ、しっかり私の肩と背をホールドされていて……抜け出せないっ!


「……ねぇ、ルーク?これってユージアだよね……?」

「あぁ、エルフとしての本来の姿の、な」


ルークの拗ねたような声が聞こえた。

暗くて、色まではわからないけれど、長い髪はルーク似なのか、さらさらの艶髪で、顔は……。
頭をがっちりとホールドされているので、形の良い唇と、顎くらいまでしか見えない。

ちなみに口は半開きで、すやすやと気持ち良さそうに寝息をたてている。


「えぇぇぇ……ちょっと待って?!どう見ても大人なんだけどっ?」

「説明は、したぞ?……自業自得だ、頑張れ」

「えええええぇ……ユージア、起きてえええ」


ホールドから抜け出そうともがくと、抱きしめる腕に力がこもって余計に抜け出せなく……。
ユージアの後ろからは、くすくすと笑い声が聞こえてきている。
ルークも起きてるなら、助けようよ!


「……大丈夫、怖くない、大丈夫だよ~」

「いや、大丈夫じゃない!大丈夫じゃないからぁぁ!……って、ルークも笑ってないで助けようよ!」

「ふふっ…魔力を奪えば、寝たままでも戻せるが……安全な帰宅と考えると、予定がずれ込むな」


ユージアは寝たまま、寝言のように大丈夫、大丈夫と繰り返すと、背中をぽんぽんしてくれる。
……そのぽんぽんで、反射的に眠くなっちゃう私も困ったもので。
寝てる場合じゃ無いからね!?

あ、でも…うん、お肌しっとりすべすべで、とにかく温かくて安心する。
眠くなる……。


「全く起きる気配が無いんだけど……」

「……しかし、ユージアなら、セシリアキミは……泣かないのか」

「絶賛、泣きたいけど……ユージアは、私が怖がることは絶対に、しないよ?……まぁ、この状況は、どうかとは思うけどね」

「そうか……」


ぽつりと呟くようなルークの返事が聞こえたけど、眠気とユージアからの解放をとの攻防で必死だからね。

温かくて、思わず安心して、うとうとしてしまうわけだけど、これは寝ちゃダメだよね?!
っていうか、お腹の辺りにルークの時と同じく、ナニカ当たってるし。


(これは、男の子の生理現象、生理現象だ……)


うん、わかってる…わかってるんだけど、裸なので、あたりがダイレクトすぎて、ものすごく気になってしまう。

すやすやと寝てるくせに、腕の力は緩むことが無く、がっちりホールドからの解放はしてくれそうにない。
この状況であれば、その『ナニカ』を確認するような状況にはならないと思う。思いたい。


(またユージアの悲鳴を聞くような事には、なりたくないしなぁ)


……多分、うっかり見ちゃっても、正直なところで言えば、前世で見慣れちゃってるから、私は動じない。
ユージアが発狂するだけだとは思う。

あ、動じはしないけど、ガン見はする。
『籠』の時と同じく、他意は……無いと思いたい。
無くても見ちゃうんだよぉぉぉ。

……そしてさらにユージアが発狂するんですよね。

私としては『ユージアには嫌われたく無い』そういう理由で必死だったんだけど、当の本人であるユージアは寝たまましっかりと私をルークから守る様に、ホールドし続けた。

ルークの指摘通り、涙は出ないというか、びっくりしすぎて止まってるだけかもしれないけど、それでも守られてる安心感からか、直接感じる自分より少し高めの体温の心地よさからか……頑張っても、意識がどんどん遠のいていく。


「ユージア、起きてえええぇ……」

「大丈夫、だいじょうぶ……」


……結局、ユージアにホールドされたまま、熟睡してしまった。
エルフとしての本来の姿、ちゃんと見てみたかったな、とか思いつつ。
でも、シルエットとしては、お父さんである、ルークに似てた気がする。

ゆっくりでも良いから、精神年齢もあの姿と同じくらいに近づいていけると良いねぇ。

ユージアが裸なのさえ除けば、ほかほかで心地良くて、至近距離で聞こえる心音と呼吸を子守唄に、しっかり眠れてしまった。
裸なのさえ除けば、ね。

しかし、流石にこれは絵面が悪すぎるよね……。
これは誤解とか、どんな説明をしても、この状況を親に見られた時点でアウトだと思う。
あ……ユージアはルークに見られてるな。
でも、きっかけがルークだし、文句言えないって事で、良くは無いけど良いのかな?

ちなみにだけど結局、朝はユージアの悲鳴で起きる事になった。






******






「んん~……ん?……うわっ!なんで?……え?えええええ?」


これがユージアの第一声である。
ま、そうだよね。
起きたら裸だし。
夢うつつで、その声を聞いて、重いまぶたをうっすらと開くと、間近に必死な様子のユージアがいた。


「せっ……セシリアっ…離してっ……!」

「……あ、ユージア……かわいい♡」


どうやら、いつの間にかに幼児まで縮み戻ったユージアを、今度は私が抱えて寝てたらしく、しっかりホールド中だった。
無意識にユージアの頬に自分の頬をあてて、すりすりする。


「んん~…幸せ……」

「いやあああああっ!服っ!服はどこっ?!」

「……うるさい」


ユージアを堪能しながら惰眠を貪りたい私と、ほぼ発狂状態で必死のユージアの悲鳴。
そして低血圧なのか、寝起きのすこぶるよろしくない、不機嫌声のルーク。

ていうかそのユージアの必死の抵抗すらも可愛らしくて、頬擦りが止まらなくなる。


「ん~……もうちょっと。ユージア大好き~」

「助けて!……見てないで助けてよ……なんで僕、裸になってるの……」

「……自業自得だ。諦めろ」


私の腕から必死に抜け出そうともがく、ユージアのおでこにキスを落とす。
おでこ柔らか~い。
とにかく離れようと両手で顔を押してくるその小さな手すら可愛い。
必死に助けを求めるユージアに、思いっきり寝起きの悪いルークと。

朝からなんだか大惨事?
でも、こういう雰囲気も賑やかで良いね。


(そういや、学生の時もルークってば寝起き悪かったもんなぁ)


眠気覚ましの強烈なヤツを飲まないと、目は開いてるのに微動だにしない置物と化して、2時間は使い物にならなかったし。
……懐かしいな。


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