私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
128 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

128、寝ぼける。

しおりを挟む




暗くてシルエットのようにしか姿が見えなかったが、ルークと変わらない体格の、長髪のエルフが怒っている。

奴隷紋のあるあたりの胸をおさえて背を少し丸めるように、状態を起こしていた。
だから、多分、ユージア。

ユージアのエルフとしての本当の姿なのかな?


「セシリア、怖くないよ…ここにいるから、寝よう……」


いつもの10代のユージアより、身体の線の細さが抜けて随分としっかりとした印象だった。


「これは、寝ぼけてるな……」

「へ……?」


ふう、とため息を吐くと、ルークは私を解放し、自分のベッドへと戻って行った。

代わりに、ユージアに抱き寄せられて……腕枕の状態で背中をぽんぽんされてるわけですが。
結局、ルークに解放されても私の視界は、胸……じゃないな、これは鎖骨と首。
今度はユージアのだけど。

……しかもユージア、裸なんですけど。

今度は何かから庇うように、腕枕、というか肩枕?になっている先の手で、がっちりと頭がホールドされている。
もう片方の腕も、背中を叩きつつ、しっかり私の肩と背をホールドされていて……抜け出せないっ!


「……ねぇ、ルーク?これってユージアだよね……?」

「あぁ、エルフとしての本来の姿の、な」


ルークの拗ねたような声が聞こえた。

暗くて、色まではわからないけれど、長い髪はルーク似なのか、さらさらの艶髪で、顔は……。
頭をがっちりとホールドされているので、形の良い唇と、顎くらいまでしか見えない。

ちなみに口は半開きで、すやすやと気持ち良さそうに寝息をたてている。


「えぇぇぇ……ちょっと待って?!どう見ても大人なんだけどっ?」

「説明は、したぞ?……自業自得だ、頑張れ」

「えええええぇ……ユージア、起きてえええ」


ホールドから抜け出そうともがくと、抱きしめる腕に力がこもって余計に抜け出せなく……。
ユージアの後ろからは、くすくすと笑い声が聞こえてきている。
ルークも起きてるなら、助けようよ!


「……大丈夫、怖くない、大丈夫だよ~」

「いや、大丈夫じゃない!大丈夫じゃないからぁぁ!……って、ルークも笑ってないで助けようよ!」

「ふふっ…魔力を奪えば、寝たままでも戻せるが……安全な帰宅と考えると、予定がずれ込むな」


ユージアは寝たまま、寝言のように大丈夫、大丈夫と繰り返すと、背中をぽんぽんしてくれる。
……そのぽんぽんで、反射的に眠くなっちゃう私も困ったもので。
寝てる場合じゃ無いからね!?

あ、でも…うん、お肌しっとりすべすべで、とにかく温かくて安心する。
眠くなる……。


「全く起きる気配が無いんだけど……」

「……しかし、ユージアなら、セシリアキミは……泣かないのか」

「絶賛、泣きたいけど……ユージアは、私が怖がることは絶対に、しないよ?……まぁ、この状況は、どうかとは思うけどね」

「そうか……」


ぽつりと呟くようなルークの返事が聞こえたけど、眠気とユージアからの解放をとの攻防で必死だからね。

温かくて、思わず安心して、うとうとしてしまうわけだけど、これは寝ちゃダメだよね?!
っていうか、お腹の辺りにルークの時と同じく、ナニカ当たってるし。


(これは、男の子の生理現象、生理現象だ……)


うん、わかってる…わかってるんだけど、裸なので、あたりがダイレクトすぎて、ものすごく気になってしまう。

すやすやと寝てるくせに、腕の力は緩むことが無く、がっちりホールドからの解放はしてくれそうにない。
この状況であれば、その『ナニカ』を確認するような状況にはならないと思う。思いたい。


(またユージアの悲鳴を聞くような事には、なりたくないしなぁ)


……多分、うっかり見ちゃっても、正直なところで言えば、前世で見慣れちゃってるから、私は動じない。
ユージアが発狂するだけだとは思う。

あ、動じはしないけど、ガン見はする。
『籠』の時と同じく、他意は……無いと思いたい。
無くても見ちゃうんだよぉぉぉ。

……そしてさらにユージアが発狂するんですよね。

私としては『ユージアには嫌われたく無い』そういう理由で必死だったんだけど、当の本人であるユージアは寝たまましっかりと私をルークから守る様に、ホールドし続けた。

ルークの指摘通り、涙は出ないというか、びっくりしすぎて止まってるだけかもしれないけど、それでも守られてる安心感からか、直接感じる自分より少し高めの体温の心地よさからか……頑張っても、意識がどんどん遠のいていく。


「ユージア、起きてえええぇ……」

「大丈夫、だいじょうぶ……」


……結局、ユージアにホールドされたまま、熟睡してしまった。
エルフとしての本来の姿、ちゃんと見てみたかったな、とか思いつつ。
でも、シルエットとしては、お父さんである、ルークに似てた気がする。

ゆっくりでも良いから、精神年齢もあの姿と同じくらいに近づいていけると良いねぇ。

ユージアが裸なのさえ除けば、ほかほかで心地良くて、至近距離で聞こえる心音と呼吸を子守唄に、しっかり眠れてしまった。
裸なのさえ除けば、ね。

しかし、流石にこれは絵面が悪すぎるよね……。
これは誤解とか、どんな説明をしても、この状況を親に見られた時点でアウトだと思う。
あ……ユージアはルークに見られてるな。
でも、きっかけがルークだし、文句言えないって事で、良くは無いけど良いのかな?

ちなみにだけど結局、朝はユージアの悲鳴で起きる事になった。






******






「んん~……ん?……うわっ!なんで?……え?えええええ?」


これがユージアの第一声である。
ま、そうだよね。
起きたら裸だし。
夢うつつで、その声を聞いて、重いまぶたをうっすらと開くと、間近に必死な様子のユージアがいた。


「せっ……セシリアっ…離してっ……!」

「……あ、ユージア……かわいい♡」


どうやら、いつの間にかに幼児まで縮み戻ったユージアを、今度は私が抱えて寝てたらしく、しっかりホールド中だった。
無意識にユージアの頬に自分の頬をあてて、すりすりする。


「んん~…幸せ……」

「いやあああああっ!服っ!服はどこっ?!」

「……うるさい」


ユージアを堪能しながら惰眠を貪りたい私と、ほぼ発狂状態で必死のユージアの悲鳴。
そして低血圧なのか、寝起きのすこぶるよろしくない、不機嫌声のルーク。

ていうかそのユージアの必死の抵抗すらも可愛らしくて、頬擦りが止まらなくなる。


「ん~……もうちょっと。ユージア大好き~」

「助けて!……見てないで助けてよ……なんで僕、裸になってるの……」

「……自業自得だ。諦めろ」


私の腕から必死に抜け出そうともがく、ユージアのおでこにキスを落とす。
おでこ柔らか~い。
とにかく離れようと両手で顔を押してくるその小さな手すら可愛い。
必死に助けを求めるユージアに、思いっきり寝起きの悪いルークと。

朝からなんだか大惨事?
でも、こういう雰囲気も賑やかで良いね。


(そういや、学生の時もルークってば寝起き悪かったもんなぁ)


眠気覚ましの強烈なヤツを飲まないと、目は開いてるのに微動だにしない置物と化して、2時間は使い物にならなかったし。
……懐かしいな。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...