私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
165 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

165、余談だけど。

しおりを挟む




ルークを見送った後、号泣してしまった私は抱いていたユージアを父様に回収された後、セリカに連れられて湯浴みをした。
思いっきり泣いてしまったのもあって「少し顔を冷やしましょうね?」との事。
でも、泣くだけ泣いたらスッキリしてしまった。

ちなみに湯浴みの間、セリカはずっとルークの話していた。
男の人に使う言葉では無いのだろうけれど、綺麗という言葉が本当に似合う。
ただ、女性のように綺麗というわけでも無いから、男性としての美しさなんだろうね。


(あなたがトレイで殴ったり蹴り飛ばしてるユージアは、そのルークの息子さんだよ?と思ったけど、ここは突っ込んじゃいけないんだろうなぁ)


湯船に浸かってぼんやりとしていると、香油を取りに衝立の向こうへ行っていたセリカのびっくりする声が聞こえた。


「セシリア様っ……やっと元に戻りましたねぇ…」

「?」


セリカのほっとしたような優しい声に首を傾げていると、手を握られる。
……手が小さくなっていた。

あぁ、懐かしの3歳児!
ユージアを抱き上げられなくなっちゃうのは残念だけど、本来の姿がやっぱり一番だよ。


「もどった?」

「戻りましたね。いつものセシリア様ですよ」


うん、声も幼児特有の高い声に戻った。
でも、心なしか喋りやすい。
大きくなった時に喋り捲ったからかな?少しは練習になったのかな?

そっと抱き上げるように、湯船から出してもらっていると、視界の端にちらりと手を振るフレアが見えた。


「ふれあ、ありがとう!……がんばってね」

『頑張るから……助けてね』


金髪の少年がふわりと笑って姿を消した。
私の体を拭いていてくれていたセリカは思いっきり嫌な顔をしていたけど……。


「精霊に性別はないとは分かってるんです。セシリア様の精霊だという事も分かってるんです……でも、異性の姿で湯浴みに近付いて欲しくないです」


うん、それわかる。
思わず、私もうなずいてしまったら、セリカに笑われてしまった。
シシリーのいた魔導学園にも精霊使いが何人も在籍していたけど、やっぱり自身の身の回りの世話をさせる時だけは、性別を同性にしてる人が多かった。


(まぁ、見栄えがいいから、あえて異性の姿で……と公言していた欲望丸出しの人もいたけどね!)


ちなみに私は、そもそも暴走してたからそんな指定なんて全く聞いてくれませんでしたとさ。
身の回りの世話とかお願いした事もなかったから、不自由はしなかったけど。

それにしても、セリカの話、話題が常にルークで持ちきりになっていて、研究所の女性の後輩の姿と重なり、思わず笑ってしまう。

ただ気になったのは『初めて見た』ということ。
あれー?どういう事だ?

顔を凝視されるのを嫌がってはいたけど、基本的な行事や祭典は昔はちゃんと出席してた。
今だって国の上層部で働いてるんだから、そういう断りきれない行事が沢山あるはずなのに。
父様と母様も、王子様達も同じようなことを言ってたし。謎だ。

今のルークの人物像って、どうなってるんだろう?


セリカに湯浴みへと連れてこられる直前、セグシュ兄様までもが面白い反応してたしなぁ。
お喋りなセグシュ兄様が、今日はやたらと口数が少ないな?とは思ってたんだよね。
どうやら背景に同化する勢いで気配を消す事に徹していたらしい。


『……緊張したっ』


ぷはー!という安堵の息がセグシュ兄様から聞こえた。


『セグシュ兄様……?』

『あ、ごめんね。ハンス先生……苦手なんだ』

『兄様にも苦手ってあるのね』


苦手、とはっきり言ってるし。
悪口になるような言葉をはっきりという人ではなくて、むしろいつもにこにこしていて優しいお兄ちゃんが真面目な顔で怯えるようにしているのが面白くて、まじまじとセグシュ兄様をみてしまう。


『……むしろ、あんなに和やかに笑ってるのを初めて見たんだけど』


すると不思議そうな顔で、セグシュ兄様にまじまじと見つめ返されてしまった。


『あれで、和やかなんだ?』

『そうだね……セシリアはどうしてそんなにハンス先生に気に入られてるんだろうねぇ?』


本当に、それはそれは不思議そうに聞かれた。
うん、むしろそれは私の方こそ聞きたいですよ?
正確には『花』だったから?でも、セシリアわたしとの初対面の時に、『花』の香りを誤魔化せることができるって、香りを抑えてくれたくらいなんだから、香りに魅せられたわけでもないと思うし。

本当に不思議だよねぇ。


……ぼんやりと考えながら、セリカに手伝ってもらって、着替えを終える。
髪を乾かしてもらうのが気持ち良くて、気づけばうつらうつらしてしまう。


「セシリア様、大体乾きましたからベッドへ行きましょうね、歩けますか?」

「はぁい」


ふふふ。と嬉しそうなセリカの声が聞こえる。
これは真っ直ぐ歩けてないんだろうなぁ。

どうも、私の身体は、何よりも睡眠を優先するみたいで、眠くなると寝ながら歩くらしい。
一応起きていてもバランスが疎かになって蛇行するみたい。
それがとても可愛らしい!とセリカに嬉しそうに言われた事があった。

ベッドによじ登ろうとする前にさっと支えられて、寝かされる。


「おやすみなさいませ……明日もきっと賑やかですから、しっかり寝ましょうね」


セリカの優しく囁く声と、ぽんぽんと毛布の上から肩を叩かれて……すぐに意識が途切れてしまった。
いつもの熟睡だ。
目覚めもこのベッドでありますように。

もう、起きたら教会とかイヤだからねっ?!


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...