私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
244 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

244、星詠み。

しおりを挟む



軽い目眩とともに、視界が一気に開けるような感覚があって。
自分はセシリアじぶんだったと、変な納得をする。

手もちっちゃい。
白いドレスも着てないもんね。
あの女性は私じゃない。


「頭、いってぇ…なに…今の……」


私の契約精霊であるフレアに、イタズラで強制的に視界共有をされたときのような、妙な目眩を、むしろさっきの白昼夢のような現象をユージアも体験していたのかな?
気になって、聞いてみるとどうやら、一緒に見えていたらしい。


「ルークがいたわ」

「親父を足蹴にするフィリー姉様がいたね」

「あれは、フィリーねえしゃまじゃなくて、クロウディアしゃまだよ」


クロウディア様。と、教えたところで首を傾げられてしまったので、説明し直した。
セシリアわたしの母様と同名だから、紛らわしいのかもしれないね。
そんなクロウディア様はどうやら私の死後、すぐにメアリローサ王国ここへと嫁入りされたらしい。輿入れって言うのかしら?

さっきの白昼夢では、不思議なことに私もユージアもクロウディア様になり切ってしまっていたから気づかなかったけど、ルークが抱えていた杖は…今、ユージアに貸している杖だった。回収してくれていたんだね。


(ルークはシシリーわたしの死亡直後くらいに、あの場所に駆けつけたと言ってたもんなぁ…ショックだったんだろうなぁ。でも、私が魔法を使わなかったら、深傷を負っていたカイが死んでいたと思う。カイが敵わない相手に私だってどうなっていたかわからないし。結果的に私以外がみんな助かったのなら、やっぱり満足だ)


どうやら私は魔物の氾濫スタンピードに遭遇してしまったことが死因だった訳だけど、王国自体はこれで滅びたわけではなかったんだね。

クロウディア様の思考では、あれを『予震』だと言っていた。
街の一角に雪崩れ込んでしまった『予震』と、その場に偶然居合わせてしまった人のみが被害を受けたようだった。
そしてその『予震』は、遅ればせながら到着した英雄ルークによって、討伐された、と。

じゃあさ、あの場に残されたカイルザークやフレアはどういう扱いになっていたんだろうね?
しかもその場にはルークの話ではシシリーわたしつがいもいたらしいんだけど?その話も全く出てこなかったし。
どうなってるんだろうね?

謎が謎で謎すぎる。
むうう……と唸りかけていると頭上から、ふっと吹き出す息があたり、ユージアを見上げる。


「……ぶっ、あはははっ。笑っちゃダメなんだろうけどっ!ごめん、あの変態おやじも、ぽっきり折れることがあるんだね…ははっ」

「……そうだな。あれは大切な友人シシリーが…亡くなった直後だったからな」

「ひっ!!?」


突然、さっきまで白昼夢で聞いていたのと同じ、ルークの声が真後ろから聞こえて…ユージアが文字通りびくり!と飛び上がった。
そのびくりで、片手で抱かれていた私がバランスを失い、落ちかけて……そのまま引っこ抜かれるかのように憮然とした顔のルークに抱き上げられた。

あ、うん。私、歩けるんだけどな……。


「爵位も騎士団も…辞退したはずなのに、クロウディア様にそのまま文字通り引きずられて、側近として連れてこられてしまったわけだが……」


決まりが悪そうに頬を仄かに赤らめながら、ボソボソと呟くように喋る。
その背後では、このなんともいえない不穏な空気を読んだのか、ユージアがそろりそろりと後退すると、他の場所を探しているレオンハルト達を呼びに行ってしまった。
……私もすごく居づらいから!置いていかないで欲しい。

それにしても、相変わらずの美人さんだよなぁ。と思わず見上げながら思ってしまう。


「まあ、見ての通りだ。キミの杖は、私があの場所から回収した。……本当はこの話は、もう少し後にするはずだったんだがね」

「…ありがとうね。自分の死後とはいえ、杖もだけど、その後のことが気になってたの……って、ん?んん?」


あれ???
言葉が、普通に喋れる。あれ?あれ?あれ???
噛んでない。
嬉しいけど、なんでだ?


『……降嫁した先の子とはいえ、王家の血縁に手をかけるとは感心しないわね?』


部屋の奥から、フィリー姉様の声が聞こえた気がした。


『セシリア……お久しぶりかしらね?あなた、呪われてたじゃない……導師のくせに情けないわね』


薄暗い部屋の奥から今度はさらに、はっきりと聞こえてくる。
扉の前に立つルークより先に、部屋の奥に入った者はいないはずなんだけど…。
あと、セシリアは導師じゃ無いからね?!


『ハンス、久しぶりね?この部屋にたどり着けたということは、随分永い間、私の子供達に仕えていてくれてたのね?』


ポツリポツリと、言葉を一つ一つ確かめるように発せられていく声。
思わず身を乗り出すように、薄暗くなっている部屋の奥を凝視しようとすると、ぽんぽんと背を軽く叩かれる。


「セシリア、これは『手紙』だ。姿は…無い」


見上げる私に、ルークは優しくふわりと笑う。
でも、見えているかのように話されてしまうから……焦りますよ。
それとも、これが星詠みならではの力なのかしら?
『未来が見える』つまり今の状況を見て、書いたのかもしれない。


『さて……この魔法の手紙レターはさっき貴方達が見た映像の…少し後に描いたから、老後の私とは言う事が少し違うかもしれないけど……気にしないでね?』


ふふ…。と楽しそうな笑いが響いたあたりで、背後からヴィンセント兄様、レオンハルト王子とエルネストとカイルザークが走ってくるのが見えた。


『今、ここにはハンスと…私の子孫こども達、それに…あら、カイルザーク、あなたもいるのね?』


随分可愛らしいけれど。と興味深げに笑っている声色だった。


『これは「星詠み」の手紙よ。……少しだけ個人的な、内容だけどね』


星詠みの手紙……まぁメモみたいな物です。
将来みらいを見てくる時に、未来とはいえ明日とか明後日くらいなら、特に違和感もないのだけれど、それが数百年単位の差があると…それまで覚えてるわけにはいかないから、紙に書いて残すでしょ?
それをクロウディア様は、保存紙ではなく、魔法の手紙レターに記していたらしい。


『時が来ないと開かないから、ハズレたら一生読まれないかもしれないけれど。読まれているのなら、注告だと思って頭の片隅にでも入れておいてくれると嬉しいわ……』

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...