私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

313、認識の違いじゃないかな?

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ルナに頼まれたお手伝いも終わって、サロンへ戻ると、ユージアとほとんど目が開いていないカイルザークが、ふらふらとベッドから出てきたところだった。
カイは…まだ寝てて良いのに。

ユージアは寝ている間に、魔力切れからか3歳児の姿に縮んでしまっていて、ぶかぶかになってしまったドレスシャツをワンピースのようにして着ている感じになっていたが、目はしっかりと開いて…まぁ眠い目を擦りながらではあるけどね。
寝起きは良さそう。

一方、カイルザークは音反応なのか、目が開いていないにも関わらず、耳をぴこぴこと動かしながら、しっかりとユージアの後ろをついて歩いてくる。
……柔らかふわっふわの淡い青紫の髪が、ボサボサだけど。
不思議と寝起きでも、耳としっぽの毛は綺麗に整ってるんだよなぁ。


「おはよ?」

「あっ!セシリアおはよう…?こんにちは?」

「…大丈夫か?」

「う、う~ん。なんとか」


薬草置き場ルークのへやに放り込まれた後、エルネストはルークによって治療を施されて今に至るのだけど、カイルザークとユージアは何故か放置されて、自力で治療をする羽目になっていたのだった。


(私から見れば、カイルザークが治癒の手ヒール浄化クリーンも使えるから、なんとかなるかな?くらいには考えていたのだけれど)


エルネストから見れば、カイルザークの出自を知らない事もあって、あの強い刺激に悶えてる幼児2人を、しかも自分より年下の子供たちを放置してしまった!としか見えないわけで。

フレアに回収された2人の姿を見て、魔力切れではあるけど、辛いままの状況じゃないかと心配そうに確認していた。
ま、すやすやと熟睡の姿を見て、ほっとしてたけどね。

ユージアがソファーに腰掛けようとして、少しの間のあと、声にならない悲鳴と共に、キッチンの奥へと消えて行った。


(ふふふ…自分が縮んでいたことに気付かなかったみたいなんだよね。ソファーに座ろうとして、体格の差に気付いて、自分の衣服の状態に気付いて、ぎゃーーーっと、ね。可愛すぎる。というか、まだ寝ぼけてたのか……)


ま、本人は必死みたいだけど、こういう雰囲気は好きだ。
怖くないもん。

キッチンからハーブと鶏肉の焼ける良い香りが広がり始める。
チーズの匂いもするなぁ。

反乱の後処理のための避難中だという事がなければ、この部屋の今の雰囲気は好きだ。
ちょっとしたお茶会という感じも、また、良い。
話している内容が多少、物騒だけども。
……きっとこういう事でもなければ、集まらなかったメンバーなのかもしれないけど、ね。


(そういえばだけど、貴族の子供たちって、友達と遊ぶ時ってどうやって遊ぶんだろう?一人でお屋敷を出ていったらダメなんだよね?でも、毎度家に友人を呼びつける形になっちゃうのも、ダメだよね?……って、そもそも何して遊ぶんだろう?)


そういう貴族としての振る舞いを、全く習ってなかったことに気づいた。
習う前に誘拐されて、外に出ちゃったからか。


『魔力測定会』……何かとても懐かしいような気がしてくる。
実際はあの日から1週間くらいしか経っていないのだけど。

あの日から目まぐるしく環境が変わっていってしまった。
それまでの悩みといえば目下、オムツとかトイレとか、テーブルマナーだけだったのに。

オムツがやっと外れたから『魔力測定会でお友達を作って、お茶会なんかも良いわね?』なんて父様や母様の話をぼんやり聞きながら、慣れない手つきでご飯を食べて。

あの日から続いている今は、まぁ悪くはないと思う。
一つ残念なのは、女の子のお友達がいないってことくらいで。

そこさえ気にしなければ、友達はいっぱい……って、あれ?


友達……。

『友達』いない……。
作れて…ないんじゃないかな?!


(こんなに頑張ったのに、友達いない歴継続中だった──!?)


エルネストとカイルザークは友達ではなくて、兄弟、家族になってしまった。

ユージアは友達…かな?奴隷では、なくなったもんね。
でも、執事になっちゃうんでしょう?そうなると、立場は友達じゃなくて、使用人だ。

レオンハルト王子とシュトレイユ王子に至っては、従兄弟だった。
友達以前に親族じゃん!

家族や気軽に話せる身内が増えただけだった。あれあれあれー?

唐突に、とんでもないことに気づいてしまい、一人こっそりと頭を抱えそうになっていた。


『……セシリア。ゼンを忘れてる』


大人達が今後の予定の確認を始めている中、フレアが給仕をしながらポツリと呟いた一言で、一斉に周囲の視線が私に集まる。


「ゼンが…どうかしたのか?」


隣に座っていたエルネストが、身を乗り出すようにして、覗き込んできた。
その様子を見て何故か得意げな顔になってフレアが答える。


『ああ、セシリアが…魔力測定出発当日に両親に「お友達ができると良いね」って言われてたらしいんだけど、結局あれから、一人もできなかったな~って考えてるのが聞こえたから』

「わあああああっ!言わなくていいからっ!!」


なななななんで、思考をご披露しちゃうのさっ!!!
フレアの口を必死に止めようと近づくのだけれど、悲しきかな体格差でさらりと躱されてしまった。


「友達……」

『いや、キミら兄弟じゃん?王子達は従兄弟でしょ?』


エルネストの呟きに、フレアが紫の瞳をきらきらと輝かせながら、とっても面白い!と言った表情で、軽く首を横に振った。淡い金髪がふわりと揺れる。

そんな様子の中、ユージアが着替えが終わったのか満面の笑みを浮かべながら、食堂から姿を表すと自信満々にソファーへ近づいてきた。


「僕はお友達だもんね!」

『いや、下僕でしょ?』

「え……ひどっ」

『それは良いとして「良くないっ!!」』


下僕じゃないもん!と、フレアに向かって頬を膨らませて、むくれているユージアが、なんだか可愛らしくて思わず笑ってしまう。

……胸を張って『お友達だ!』って言ってもらえたのは、内心嬉しかった。

けど、何度考えても、立場上だと使用人になっちゃうような?
意外に、難しい問題だな?と思っているとフレアが少し笑いながら、話を続ける。


『いや、それでゼンの名前が出てこなかったから、ゼンは?って聞いたんだけど』

「ペット?」

『あっ……そもそも人扱いじゃ無かったか…』


フレアは、小さなため息を吐くと、苦笑まじりに首を横に振って、肩をすくめて見せた。

えぇ…?だって、フィリー姉様だって『白い猫みたいなヤツ、飼い始めたんでしょう?』って言ってたし。
まぁ実際は、王宮で飼われてたっぽいけど。
そもそも、友達は飼えないからね?!

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