私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
323 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

323、お父さんは大変なんです。

しおりを挟む




「いえ…視点が変わると、父様ってどうしようもない親バカだったのだわ。と、いう事に、今更ですが気づきまして」


呆れた様な、ジト目の様な表情になっているフィリー姉様に、父様は少し笑って、軽く首を横に振る。
少し寂しそうな笑みを浮かべると、私を撫でながら、ソファーへ腰掛けると、隣に座っていたエルネストの頭を撫でながら、喋り始めた。


「そうかい?…父親って大変なんだよ?私にとって、フィーもセシーも子供達はみんな同じくらい大切だし大好きだけど。今、セシーにするのと同じようにフィーに抱きついたらどうなるかな?」

「変態ですわ」


ふん。と、フィリー姉様が呆れた様に返す。


「だろう?同じようにヴィンセントに抱きついたら……あ、いや、うん、考えたくもないな。むさ苦しい!」

「例えに出しておいて、否定しないでください。……確かに嫌ですけど」


ヴィンセント兄様は思いっきり苦笑いになっていた。
親子であっても、子が成人してれば……まぁ喜んだ拍子でも、勢い余って抱きつく!というよりは、肩を叩き合ったりという感じになるだろうしなぁ。


「ほらね?……抱きつかれるなら、母さんのほうが良いよね?セグー?」

「ええっ?でも…まぁ、父さんよりは……はい。…って、何で僕に振るんですかっ?!」


いきなり話を振られて、何のきなしに返事をしてしまい、直後にハッとなって慌てる様に頬を赤くして怒るセグシュ兄様。
その視線の先には、すごく楽しそうに微笑むフィリー姉様……。


「まぁ……セグシュは甘えん坊ですもの。母様なら大歓迎よね」

「姉さん……」


……気づいたのだけど、セグシュ兄様ってセシリアわたしには、良いお兄ちゃんとして頑張って接してくれているけど、なかなかに迂闊なんだよね。
素直というか……。

どうも、そういうところが可愛い反面、頼りなく映ってしまっているみたいで、フィリー姉様に弄られている感じがある。


「あら?見る立場で言うなら、あなたとセグシュ、ヴィンセントとでも、全然良いと思うわ!……貴方達なら絵になるし。うふふ」

「見てるだけなら、私も賛成しておくわ。友人たちが諸手を挙げて喜びそうな案件だし」

「「母さん……」」


母様の反応には、父様を含めた男性陣が、見事に遠い目になっていた。
まぁ『絵になる』という意味では、それぞれに見栄えはいいからねぇ。

鑑賞するには……って、やっぱそういう考えがさらりと出てくるあたり、ユージアとルーク親子の感動すべき再会シーンの暴挙に関しても、全く止める気は無かったんだろうなぁ……。
眼福。とか、目の保養だわ。とか…思ってたに違いない。

ユージア、こんな母様で、ごめんよ……。

楽しそうに笑っている母様へ視線をやりながら、父様は小さく息を吐く。


「クロウディア…話がまとまらなくなっちゃうよ。まぁいいや。とりあえずさ、こうやって思いっきり可愛がれるのも今だけだし、この子達がこうやって…ちっちゃいのだって今だけだからね!全力で可愛がる事にしてるんだ!」


そう言いながら、今度はライトに泣き付かれているカイルザークの頭をポンポンと撫でていた。
撫でる父様の大きな手を避ける様に、ぴこぴこと動くケモ耳。
カイルザークも、実際の中身…精神年齢的には成人しているわけだけど、どうなのかな?と密かに思ったわけだけど、撫でられる事が嬉しかったみたいで、うっすらと目を細めているのが見えた。






******





そうそう『様子を見にきた!』と言っていた父様は、確か反乱軍の残党……実際には自分の所属していた騎士団や、教会の暗部への囮となって城下町で鬼ごっこをしていた!とヴィンセント兄様が言っていたのだけど、服装に戦闘による衣服の乱れはなく、本当に囮なんてしてたの?というくらいに疲れている感じもなかった。

優秀だからこその魔術師団の団長なのだろうけど、それでも心配で自分の見える範囲で、怪我を隠してたりしていないかと、探してしまう。


「ん?セシー……どうした?」

「お怪我は…ないでしゅか?」


おぅ…このタイミングでまた噛んだ。
ヴィンセント兄様の解呪のおかげで、かなりはっきりと喋れる様になっていて、噛みも少なくなっているんだけどね……稀にこうやって噛んでしまう。

解呪される前よりは全然喋り易くはなったのだし、この際だから完全に噛みをなくしてしまいたいところだ。


「セシーの父様は強いからね。これくらいじゃ怪我なんかしないよ」


私の頭を撫でながら、口角をはっきりと上げるように爽快に笑う。
そんな様子に思わず見惚れそうになって……なんとか踏みとどまる。


(自分の父親に毎度見惚れてたら、心が落ち着く暇がないじゃない……)


父様は、兄様たちと違って相当鍛えてるのだろうね、一見するとスリムなのだけど、兄様たちと並ぶと明らかに筋肉の量が違う。
逞ましい!というほどでもないのだけど、部分部分で身体のパーツが綺麗に引き締まっている。

あれですよ、胸板の厚さ!正面から見たら他とそんなに変わらないけど、横から見たら全然違うってやつ!
兄様たちは年齢的なものもあって、どちらかというと線の細いタイプに見えるから余計だね。


「……無理はしないでください」

「セシーがくれた鈴のお守りのおかげでね、今まで以上に動き易くなってるから、大丈夫だよ。ありがとう」

「だから、まだまだいっぱい頑張れる」


そう言って、満足そうに笑う父様。
……本当は、魔物から身を守るために渡したんだ。
無事でいて欲しいから。
対人のためじゃ無い。

朝までは大切な同僚や仲間だった人たちと争わせるためではなかったのに。
どちらにしろ、父様の身を守ってくれてるのはありがたい事だし、作ったシシリーわたしとしても作者冥利に尽きる話ではあるのだけど、少し悲しくなった。


「……大丈夫だよ。もう終わったから。実動部隊わたしの仕事は終わったんだ。あとは事務方ハンスが頑張ってくれている。……で、ハンスのところへ報告に行ったら、あの精霊を押し付けられたんだよ」


あの精霊。と、言いながらライトを見つめる。
カイルザークにしがみついて号泣していた、小さな女の子の姿をした光の精霊。
少しは落ち着いてきたのか、激しい泣き声はおさまってきているようだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...