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はじまりはじまり。小さな冒険?
378、念願のお風呂ですよ!
しおりを挟むルナもフレアも生まれてこの方…って、そりゃ、ずっと私がルナとフレアの主人で、姿に関して指定していなかったってだけなんだけどさ。
あ、でも以前はもう少し、年齢高めの姿だったよ?
20代前半の姿をしてたもん。
(風の乙女に指導されるようになってから、彼女と同じ年頃へと姿を変えて、そのままなんだよね)
これはこれで可愛いから良いけどね。
ああ、可愛いって言っても、今や私の方が小さいんだけどね。
『……?』
「いや……なんでもない」
ま、ルナを凝視したまま、唸ってるヴィンセント兄さまはいいや。
とりあえず私はお風呂に入れるらしい。
魔導学院と同じ方式のお風呂っ!
楽しみすぎる。
「ああ、このあとは寝るだけだから、お風呂、ゆっくりしておいで。明日は昼に帰宅の予定だよ」
「……朝じゃ、ないのですか?」
どうにも昼!と指定されてしまうと、それまでに何かあるのかと、疑いたくなってしまう。
最近ハプニング続きだからねっ!
「人員不足みたいでね、警備の手が足りないと、困るだろう?あと、今回の『監獄』の調書も作らなくちゃいけないからね。大人たちの都合で悪いんだけど、少しだけ、ゆっくりしようね」
心配しなくて良いよ。と、ヴィンセント兄様は笑うとチラリとベッドの方、シュトレイユ王子とカイルザークの姿を確認してから、そっと囁く。
「シュトレイユ王子にも……せっかくだから、みんなと遊ぶ時間を作ってあげたいんだ。良いかな?」
「はいっ!」
そういえば、シュトレイユ王子ってば、呪いのせいでほとんど寝たままだったんだよねぇ。
課題の最後で本領発揮と言わんばかりに、魔法連発して、今度は魔力切れから…また寝てしまったのだけど。
遊ぶ時間って言うけど、そんなに簡単に体力回復できるのかな?
……3歳児は無限体力だったわ、うん、呪いがほぼ消えたのなら余裕か!
(どこにそんな体力があるのか?ってくらい、元気なんだよね……)
ふと前世での、息子や孫の育児を思い出して苦笑いが浮かんでしまった。
まぁ元気なんだけど、体力使い切ったと思った瞬間、電源スイッチがオフになったかのように、パタリと寝てしまう。
今もそんな状態なのかな?
「うん。セシリアは優しい子だね。じゃ、お風呂でゆっくりしておいで」
ヴィンセント兄様は、ぽんぽんと私の頭を撫でると、ソファーに深く座り込んだ。
気づけば、寝ている2人しかサロンにいなくなっていた。
ヴィンセント兄様はお留守番なのかな?
(……そうや、ヘルハウンドも見当たらない。どこに行ったんだろう?)
そう思った瞬間、眠っているシュトレイユ王子の懐から、ぴょこりと黒い耳が見えた。
どうやら仔犬姿になって、一緒にベッドで寝ていたらしい。
******
ヴィンセント兄様に見送られて、サロンから食堂を抜けて、奥の廊下を小走りになってお風呂へと進んでいく。
後ろのルナとフレアの2人は、ちょっと早歩き程度か……このコンパスの差が悔しい……!
『そこの扉だよ』
背後からの声で、ドアが開く。
一気に視界が広がる感覚があって、手前には休憩用なのか、布張りのゆったりとできるタイプのソファーセットが置かれていて、そのさらに奥になると今度はガーデン用のテーブルセットがいくつか見えた。
ガーデン用のテーブルセットの手前あたりから、床材が木材から石材に変わり、その奥にはそのまま大きな浴槽が広がっていた。
あまりの広さに驚きつつも、身体を洗う場所はどこかな?ときょろきょろしていると、ルナがガーデン用のテーブルセットの上に、着替えを、そして、脱いだ服を入れるカゴを置く。
どうやら、そこで脱いで……少し奥にある、シャワーへと移動するらしい。
ダッシュで服を脱がせてもらって……いや、普通の服なら、自分で着脱はできるのよ?
できるのだけど、この服、一応ドレスだからさ、後ろで編み上げになっていて、そこを解いてもらわないと、脱げないデザインになっていた。
(幼児の寸胴ぽよぽよボディに、編み上げなんて必要ない気がするんだけどなぁ)
スタイルを強調すべきものも何もないし、ただ、着脱が面倒になるだけなのにね。
ちょっと理不尽に思いつつも、シャワーを浴びて軽く身体を洗って……お風呂へっ!
『セシリア、お疲れさま』
「ルナもフレアも、お疲れさま!」
昨日はお風呂抜きだったからね。
お湯の温度もちょうど良い感じで、幸せすぎる。
ルナとフレアは、そばにガーデン用の椅子を持ってくると、腰掛ける。
『明日は最後だから、朝ごはん、何かリクエストある?』
ルナに最後、と言われてしまうとちょっと寂しいね。
で、リクエストと言われて反射的に浮かんだのは……。
「長ネギをたくさん入れた…納豆ご飯が食べたい!」
納豆でした。
ここのところ微妙に和食が続いたので、存在するなら是非食べたい。
前世の老後は特になんだけどね、納豆大好きだったんだ。
子供たちが大きくなるくらいまでは、自作するくらい家族でもよく食べてたし。
……まぁ、老後になると、自作する方が高くついてしまう様な、おかしな物価になっていたけどね。
『……渋いな。納豆…は手に入るんだけど、ネギはどうかなぁ…今の季節のネギって薹が立ってる気がするんだよなぁ。アサツキでも良い?』
そういえば春も後半だものね……ネギもネギ坊主をつけちゃう時期ですよね。
花芽がついてしまったり咲いてしまって、硬くなっちゃったりして美味しくなくなってしまう事を『薹が立つ』っていうんだけどね。
春から初夏にかけて、スーパーに長ネギを買いに行くと、買ったばかりなのに、なんか、見た目はネギなのに、薬味として使おうと千切りにすると、年輪のような葉の重なりがほとんどなくて、断面がただの真っ白な、硬い茎みたいなのだけのネギってない?
しかもなんか、かっさかさで美味しくないの……。
その白いかさかさの部分が、花芽の茎なんだ……。
(ニンニクの花芽の茎なら、ニンニクの芽って言って、美味しく食べれるのにねぇ)
長ネギの花芽の茎は、全く美味しくないです。
この時期、ネギを買うときは、中で花芽が伸びちゃってるネギが結構な割合で混ざっているので、しっかり見極めて買わないといけないのですよ!
ちなみにアサツキは…小ネギっぽい、ハーブのチャイブより少し太めかな?って感じのネギのようなものです。
多分、仲間なんじゃないかな?
長ネギと同じようにネギ坊主みたいな花を咲かせるし。
長ネギは白いネギ坊主で、アサツキは長ネギより小さめでピンクのネギ坊主を咲かせるよ。
そして、長ネギより苦くて辛い……。
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