453 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?
453、腹八分目が、どうしても出来ません。
しおりを挟む「ごちそうさまでした!」
うふふふ…。
満足満足。
大福とか、かなり遅めだけど、お正月気分になれて、気持ちがほんわりする。
ああ、えっと……年末にお餅をつくんだけどね。
(ご本家さんなんかだと、親族を集めての、お庭で炊き出しのようにして、お酒なんかを飲みながら子供達と餅つきをして…なんてのを昔はよくやってたのよ)
ただ…私が孫たちに囲まれる頃には、あまり見かけなくなってた習慣…うーん、習慣じゃなくなっちゃったのかな?
つきたてのお餅を板状にして、固まりかけたら切り分けて…よくお店にも売ってるようなお餅を作るのは、よく聞くでしょう?
あれも、ちょっと丈夫なビニール袋に、臼からあげたばっかりの、熱々のお餅の塊を入れる。
そのまま上から伸ばすと、手に張り付かなくて楽に成形できるし。
切るときもラップを両面にペタッと貼り付けたみたいな状態になるからね。
そのまま冷凍保存しても、冷凍ヤケとかの劣化が、しにくいんだ。
(とっても便利なのよ?って勧めたいけど。そもそもお餅…みんな買うわよね)
うん、話がずれたわ!
お餅はね、いっぱいついて鏡餅に板餅、その場で食べる分と……大福を作るんだよ。
これも臼からつきたて熱々のお餅をバットにもらって、小さくちぎって餡子を包んで、大福を作るんだよ。
お餅が熱いうちに、一気に作るのが美味しく作るポイントで。
バットに大量に餡子を……1個分のぼた餅みたいに丸くして、たくさんに準備しておいて。
熱々のお餅をちぎる係と、ちぎったお餅で餡子を包む係と、小袋に入れて個包装する係と。
大体3人くらいで黙々と、作るんだ。
個包装にした大福は、そのまま冷凍庫に入れちゃう。
冷凍保存ですよ。
あぁ、この時にね、粗熱をとってから、冷凍庫へ…ってやっちゃうと、硬い大福になっちゃうの。
だから熱々のうちに、一気に凍らせちゃうんだよ。
(お餅自体にお砂糖を混ぜ込んでおくと、冷えても柔らかいままのお餅になるっていうのも知ってるんだけどね)
これをやってしまうと、なかなか凍らないし、保存がきかなくなるって言われて。
年末に作る大福にはあえて、入れてなかった気がする。
まぁ、これはそれぞれの家の方針もあるだろうから、絶対ではないけどね。
この大福があると、お正月が幸せなのよ。
自然解凍で大福として食べてもいいし、お湯をかけたらお汁粉になる。
年末に作るのにも意味があってね。
確か『今までの黒星を白星で塗り替えて来年へ』っていう意味だったかな?
(ほら、黒っぽい餡子(黒星)を真っ白なお餅(白星)で包んじゃうでしょう?)
だって、名前の通り、大福だもん『大きな福になりますように』ってね。
……今までの、出来事を全て福に変えていける…と、いいなぁ。
(特に、ユージアとカイルザーク、エルネストに…王子たちも…って考えたら、ほぼ全員か!)
嫌なこと、辛いことを『全て水に流せ』なんてのは、正直無理だし、難しいだろうけど。
思い出す暇がないくらいに、楽しい思い出をいっぱい詰め込んで行けたら…と思う。
それこそ、大福のように、たくさんの思い出で、嫌な記憶を包み込んでしまえたらいい。
ふと、目の前の小皿に…まだいくつかあった小さな大福が、消えていることに気づく。
あれ?と思って見上げると、お茶だけを残して、フレアが下げていってしまったところだった。
まぁ……すでに腹八分目どころか、満腹すぎて別腹も満タン状態なんだけどね!
うーん、幸せすぎた。
******
「さて…先ほどというか、今まさにハンスが話していたが……また誰も、聞いてなかったよな…?」
父様の、微妙に自信のなさげな…いや、尻すぼみな声に、はっと顔をあげる。
みんな同じ反応だったようで、カウンターに肘をついてこっちを見つめていたフレアが、思いっきり笑っているのが見えた。
隣にいたルナが気づいて、フレアに何かを言う。
するとフレアはカウンターに突っ伏した状態になって、金色の髪が、肩が、小刻みにふるふると震えていた。
……結局、笑ってるじゃん。
「もう少ししたら、お前たちの登庁の時間だ」
ルークの抑揚のない声で『時間……』と言われて、無意識に空を見上げる。
確かに朝日はとうに登りきって、きらきらと周囲の樹々からの木漏れ日を、こちらへと伸ばし始めていた。
日差しが安定する直前の、刹那の美しさ。柔らかな日差しだ。
このまま雲が移動してしまえば、今日は晴天かな?
******
「父さん、おはようございます。……えっと、お迎えに、あがりました?」
「何だその言い方は……」
昨日に引き続き、食卓の片付けを手伝おうかと考えていたところで『避難所』の入り口のドアから、セグシュ兄様の声を耳が拾った。
父様の呆れ声に、振り向くと、セグシュ兄様はしきりにきょろきょろと周囲を見渡しながら、こちらへ向かってくる。
「あっ…えっと、護衛しろって言われて来たんだけど、でも僕も同じく出廷することになってるから…どっちの言い方が相応しいのかなって……」
……少し首を傾げながら、明らかに困惑の表情のセグシュ兄様に、父様は笑う。
「ああ……そうだな、今日はセグシュも原告…被害者の席だ。兄としてで、良いと思うぞ?まぁ、護衛はしてもらうけどね」
「かしこまっ…っと、はい。頑張ります」
「……大丈夫か?」
「大丈夫なはずなんだけど…なんかこの部屋、すごく不思議な方向に変わってません?それと、めちゃくちゃ良い匂いしてませんか?」
首の後ろを掻くようにして『見慣れなさすぎて、調子が狂うんだよ』と呟く。
まぁそうだよね。
今のこの部屋、半分が屋外みたいになってて、やたらと視界が広いし、内装も高級感というよりは、素朴?…ログハウス風っていうのかしら?
思いっきり木造!って感じになってるから。
そんな呟きを聞きながら、父様がにやりと笑う。
「ああ、朝ごはんがスペシャルだった。エルが作ってくれたんだが…これが絶品でね!」
「エルが作ったの?!」
「ああ!凄かったぞ!」
自分に視線が集まったことに気づいたエルネスト、瞬時に顔を真っ赤にして視線を泳がし始める。
褒められ慣れてないんだろうなぁ。可愛い。
「おおぅ…もう少し早く…来ればよかった…」
『朝……軽食だったんだよ……』と思いっきりうなだれているセグシュ兄様に、ふるふると先程から笑いが止まらなくなっているフレアが、口をむずむずさせながら、お茶と大福を勧めていた。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる