異世界で『索敵』スキルが最強なの? お前らの悪事は丸っと全てお見通しだ!

花咲一樹

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第一章

第4話 宿屋の娘さんフラグはヤバいですか? 前編

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 衛兵さんに冒険者ギルドの場所を教えてもらい街中を歩いていた。王都の街並みは、中世ヨーロッパ的な石造りの建物が建ち並びめっちゃ感動ものだった。文字は全く全然さっぱり分からないけど、店先に並ぶ様々な商品、ブラインド越しに見える綺麗な衣服、武器防具店の剣や鎧が、俺に次々と感動を与えてくれる。

 街を歩く人々も雰囲気最高な衣服、人族以外にもエルフやドワーフ等ファンタジーワールドだ。冒険者パーティーが歩いていると、スマホで写真を撮りたくなるよね。怪しまれるとヤバいからパシャらないけど。ムズムズ。

 人々のオーラはほとんどが緑だが、薄い紫の人も何人か混ざっている。俺に悪意を持っている訳ではないので基本スルーだ。

 しかし、通りの中に怪しい紫オーラの男がいた。さっきみたいに突然、殺意の濃い紫になる場合もある。近くに衛兵がいれば通報出来たが、残念ながら見当たらない。スルーしようとも考えたけど、僅かな好奇心で跡をつけてみた。

 怪しい男は、太っている体型に七三分けの髪型で、襟足えりあしだけ長く、その髪を赤いリボンで結わい付けてある。少しキモいんですけど。

 其の男は誰かを尾行しているようだ。たまに立ち止まっては、物陰に身を隠している?其の視線の先にいる人達を観察すると、灰色のオーラを纏った女の子がいた。灰色のオーラは『不安』の色だ。街に来る途中で、コボルトの襲撃を受けた時に、キャラバンの人達が纏っていたオーラと同じ色だった。

 女の子の歳は10歳前後だろうか?ツインテールを揺らしながらキョロキョロしている。怪しい気配を感じているのだろうか。

 俺は一先ず状況確認も併せて、コソッとスマホでデブ男と女の子をパシャっておく。さて此の後はどうしたものか。俺が取れる行動は………
 ①怪しい男をぶちのめす➡無理(汗)
 ②助けを呼ぶ➡近くに衛兵は見えないよ
 ③女の子に教えて逃がす

 という訳で③しか無さそうだね。

 俺は怪しい男を無視して女の子に声をかけた。

「お嬢さん」

 女の子はビクっと体を硬直させて俺を見た。

「お嬢さん、怪しいおと…「キャーーー!痴漢です~!変態です~!痴漢です~!変態です~!」……(汗)」
「あ、あの~(汗)」
「キャーーー!近付かないで下さ~い!寄らないで下さ~い!触らないで下さ~い!」

 女の子の悲鳴で周りにいた男性3人に、俺は路上に倒され、腹這いからの右腕の関節を取られ、頭を押さえつけられ、最後に足も関節を取られ、ガッチリと押さえ付けられたよ(涙目)。

 俺は無実を訴えまくったが、騒ぎを聞き付けた衛兵に、連行されて行きましたとさ(涙目)。冤罪えんざいだーーーッ!

 衛兵詰所に戻って来てしまった俺は、いわゆる取調室の椅子に座らされていた。其の部屋は小さい机と椅子が一脚だけある寂しい部屋だ。俺の後ろには、俺を連れて来た衛兵が二人立ち、俺に威圧感を与えている。だから冤罪です~(涙目)。

 取調室の扉が開き隊長さんが入って来たよ~(嬉し目ウルウル)。

「痴漢って、ライトじゃねえか」
「冤罪なんです~、信じて下さい~(涙目)」
「状況を報告してみろ」

 隊長さんがそう言うと、後ろの衛兵さんが状況を説明した。

「なるほどな。まぁ、ライトが捕まるのも仕方ないか」
「そんな~(涙目)」
「女の子は他に何か言って無かったか?」

 衛兵さんが答える。

「女の子は数日前からストーカー被害にあっているとの事です」

 数日前キターーー!オッシャー!

「ほらほら!絶対俺じゃ無いです!」

 俺の言い分に隊長さんが納得してくれる。

「そうだな。ライトはさっき王都に来たばかりだから、こりゃ誤認逮捕だな~」

隊長さんは顎の無精髭をポリポリしながら、苦笑いをした。

「「えっ」」

 二人の衛兵さんもビックリしているよ。

「ライトの保証は俺がする。痴漢は他にいるって事だ」
「あの~、其の件なんですが…」

 俺は隊長さんに証拠話しを持ちかけた。

「なんじゃい此れは!」

 俺が最初に来た時の部屋で、俺はスマホの写真を隊長さんに見せた。隊長さん達は写真にビックリしている。

「其れはともかく、こいつが犯人です!」

 此のデブ男のせいで、俺が酷い目に遭った!しかも、まだあの女の子が狙われている。早いとこ捕まえて貰わないと困るので、俺はスマホの写真を見せる事にした。

「此の女の子は知っていますか?」
「いや、俺は知らないな。お前ら知っているか?」
「「「さぁ?」」」

 デブ男の次に女の子の写真を見せるが、衛兵さん達は知らないようだ。
 しかし此の女の子。ツインテールに大きな瞳、はかない怯えた仕草が、めっちゃ可愛萌えです。ドキドキ。あれあれ?俺ってそっち系なの?

 俺は隊長さんに犯人逮捕をお願いし、詰所を後にした。今度は道中滞りなく進み、ようやく冒険者ギルドにたどり着いた。

 冒険者ギルドは2階建ての建物で、扉は大きく開かれていた。3段の階段を上がり中に入る。「オオー」と思わず声を出してしまった。

 冒険者だ、冒険者がいる。エルフやドワーフの冒険者もいる。冒険者ギルドだから冒険者がいて当たり前だが、俺は感動してしまった。ミッカーズはいないようだ。

 俺の声に何人かが此方こちらを見る。俺は目がオロオロしてしまった。僧侶風の若い男性が「どうぞ中へ」と招いてくれる。オーラも緑色だし優しい人確定だ。

「あの~、受付に行きたいんですが」
彼方あちらだよ」

 奥を指差して教えてくれた。

 奥の受付カウンターに着くと、少し年上ぐらいの綺麗なお姉さんが俺に気が付いてくれた。

「冒険者に仕事の依頼ですか?」
「いえ、此れを此方に渡すようにと言われて」

 前置きして懸賞金引替証をカウンターの上に置いて見せた。お姉さんが其れを受け取り…暫くして俺を睨む。怖いよ~、美人の怒る顔ってこんなに怖いの~(涙目)。

貴方あなた、此れを何処どこで手にいれたの?(怒目)」
「えっ、それは、其の~」

 お姉さんの怒目にたじたじしていると

「凶悪殺人犯のベルペーニの死亡確認書と懸賞金引替証って、貴方みたいな人が持って来るのは怪しすぎるわ!」

 周囲の冒険者がざわめきだす。お姉さんを含め周りの全員が紫のオーラに包まれる。
 猜疑心さいぎしんの眼差しだ。
 確かに俺みたいな一般人が持って来たら、確かに怪しすぎるよね。

「貴方の身分が分かるものを見せて!(鬼目)」

 アセアセ俺はバッグから警備隊長さんにもらった身分証を見せた。
 お姉さんの顔が薔薇色に輝く?ピンクのオーラが見えるよ?何ですかピンクって?

「ガルバーニさんの紹介なら早く言ってよ~」

 目がハートで腰をクネクネさせている。ピンクのオーラはそういう事ですか…?

 お姉さんに其の時の状況や、警備隊長ガルバーニさんとのやり取りを説明した。ガルバーニさんの話の箇所ではお姉さんの瞳がキラキラしていたよ?
 懸賞金として金貨3枚が渡された。
 俺はこの金貨で暫く滞在ができ安心して泊まれる宿屋を、お姉さんから紹介してもらう。

 ギルドを出る時につばが大きい帽子を被った冒険者が話し掛けてきた。

「そんな大金持って歩くんだ。気を付けろよ(ニヤリ)」

 其の人が紫オーラで俺に悪意があるのが見えたので

「貴方には気を付けます」

 ペコリと頭を下げた。そんな俺達を見て周りの冒険者達が大笑いし、男の頭を帽子ごともみくちゃにしていた。
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