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時を越えて君を求めて
しおりを挟む杏子は、祖母から受け継いだ古びた手帳を開いたとき、時が震えるのを感じた。手帳の隅に挟まれた古い写真には、見知らぬ青年が微笑んでいた。その青年の表情が、なぜか杏子の心に深く響いた。
ある夜、杏子は祖母の家の押し入れで見つけた不思議な機械をいじっていた。それは、祖父が遺したという時間移動装置だった。突然機械が動き出し、杏子の周囲の空間が歪み始めた。彼女は恐怖と興奮の混じった気持ちで、目を閉じた。
目を開けたとき、彼女は昭和の時代に立っていた。周囲は戦後の復興が感じられる活気に満ちており、杏子はその世界に圧倒されながらも、何かを求めるように街を歩き始めた。
そこで彼女は写真の青年、健一と出会う。彼は杏子が持っていた手帳を見て、驚くべきことに自分のものだと言った。その手帳は彼が未来の誰かに届けたいと願い、書き記していたものだった。杏子と健一は不思議な縁を感じながらも、共に時を過ごすうちに互いに惹かれあっていく。
健一は杏子に、戦争で失った家族の話や、平和への願いを語った。杏子は彼の話に心を動かされ、彼女自身の時代での平凡な日々が、健一にとっては夢のような世界であることを知る。二人は、違う時代を生きる悲しみと、出会えた奇跡に感謝し合った。
しかし、杏子が現代に戻る日が近づいていた。別れの日、健一は杏子に手帳を返し、「この手帳に書かれた思い出を大切にしてほしい」と告げた。彼の目には涙が浮かんでいた。
「杏子、君との時間は僕の生涯で最も輝かしい瞬間だった。君がいたから、未来への希望が持てたんだ。」
「健一、私もあなたに会えて本当に幸せでした。時間を超えてでも、あなたを忘れません。」
杏子が時間移動装置のスイッチを押すと、彼女は再び現代に戻った。手元には健一との写真と、彼からの最後のメッセージが書かれた手帳が残されていた。彼女はそのメッセージを読みながら、時を超えた愛の重さを感じ、涙を流した。
その後の杏子は、健一の願いを胸に未来への橋をかける活動を始める。彼が残した希望を形にすることで、彼との絆を永遠につなぎ留めようと決心した。杏子の生活は変わり、彼女自身も成長していった。健一と過ごした時間は、彼女にとってかけがえのない宝物となり、彼女の心の中で永遠に生き続けるのだった。
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