タイムリープの短編小説

ちちまる

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時を巡る約束

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雪子は祖父の遺品整理をしていたとき、不思議な手帳を見つけた。その手帳には、過去の日付だけでなく未来の日付も記されており、彼女の名前も何度か登場していた。混乱しつつも興味を持った雪子は、手帳の力を試すことにした。

手帳に書かれていた特定の日付に指を触れた瞬間、彼女の周囲の空間が歪み始め、目の前の景色がぼやけていくのを感じた。そして、気がつくと彼女は1970年代の東京のど真ん中に立っていた。

この時代に馴染むため、雪子は周囲のファッションに合わせて服を変え、手帳に書かれたアドレスに向かった。そのアドレスは小さな喫茶店で、店内に一歩足を踏み入れると、彼女は直感的に手帳に名前が記されていた青年、和也がここにいることを感じ取った。

和也は写真家で、この時代の東京を記録するためにカメラを手放さない日々を送っていた。彼との初対面で、雪子は不思議と心が引かれる感覚を覚えた。二人は話をするうちに、お互いの存在がどこか運命的なものを感じ始め、頻繁に会うようになった。

雪子は和也に現代の話をほのめかすようになり、彼はその話に興味津々であった。しかし、彼女は自分がタイムトラベラーであること、そしていつかは元の時代に戻らなければならないことを伏せていた。彼らの時間は限られていることを知りつつも、雪子はその一瞬一瞬を大切にした。

ある日、和也が自分の写真展を開くことになり、雪子は彼を全力で支えた。展示会の成功後、雪子はついに和也に全てを打ち明ける決意を固めた。

「和也、実は私には言わなければならないことがあるの。私は未来から来たの。ここにいられるのも、もうすぐ終わりなの」と雪子が静かに告げると、和也は驚きつつも、彼女の目をじっと見つめていた。

「それでもいい。君がどこから来たかなんて関係ない。僕は君を愛している。記憶の中でも、心の中でも、ずっと君のことを想っているよ」と和也は答えた。

二人は最後の日、お互いの未来に対する願いを込めた手紙を交換した。そして、雪子が再び手帳を開いて未来の日付に触れたとき、彼女は涙を流しながら和也に別れを告げた。

時を超えて現代に戻った雪子は、和也からの手紙を大切に保管していた。そしてある日、偶然にも孫として生まれ変わったかのような青年と出会う。彼の名前は和也と同じで、彼が持っていた古い写真から、雪子はすぐに彼が和也の孫であることを知った。青年は祖父から聞かされた不思議な話を語り始めた。

「祖父は未来から来た女性と恋に落ちたんだって。彼女は雪子さんと言って、ずっと心の支えだったそうだ」

その話を聞きながら、雪子は過去と現在、未来が一つに繋がった感覚に包まれ、和也への愛が時を超えて実を結んだことを感じた。そして、彼女は新たな未来への一歩を踏み出す準備ができていた。
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