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星空の下で交わす、ふたつの心
しおりを挟む高校2年生の椿(つばき)は、学年で一番の成績を誇る優等生だが、その反面で人との距離を置く冷たい印象を持たれがちな少女だ。彼女には、誰にも言えない秘密があった。それは、星空を眺めることが何よりも好きだということ。そして、その星空の下で、ひとりの少年に心を寄せていることだ。
その少年の名は陽向(ひなた)。彼は椿と同じクラスで、明るく人懐っこい性格の持ち主だ。しかし、椿はいつも彼に対して素直になれず、つい冷たい態度をとってしまう。
「ねぇ、椿。今日、放課後、一緒に帰らない?」陽向が笑顔でそう誘うと、椿はふいに顔を背けた。
「別に、あなたと帰る理由なんてないわ。」そう言い放つものの、心の中では全く違う言葉が渦巻いていた。
(バカ、私はただもっとあなたと一緒にいたいだけなのに…。)
しかし、椿はその気持ちを素直に表現することができずにいた。それは、自分の心が傷つくのが怖かったから。
ある夜、学校の屋上でひとり星空を眺めていた椿のもとに、陽向が現れる。
「椿、どうしていつも一人で星を見てるの?」
驚いて振り返る椿。しかし、陽向の目は優しく、そして少し心配そうに彼女を見つめていた。
「別に…、あなたには関係ないでしょ。」
「そんなことない。僕、椿のことが…」
陽向の言葉が途切れた瞬間、椿の心は高鳴った。しかし、彼女はすぐに気持ちを抑え、冷たく返事をする。
「何を言いたいのか知らないけど、私は忙しいの。邪魔しないで。」
陽向は少し悲しそうに微笑み、椿のもとを去っていった。彼女の心は、彼の言葉を受け入れたかった。だが、自分の感情を守るために、ついにそれを拒絶してしまう。
数日後、陽向が学校を休んだ。彼が風邪で寝込んでいるという噂が流れ、椿の心は不安でいっぱいになった。彼女は自分の気持ちに正直になる決意を固める。
陽向の家を訪ね、彼に会った椿は、初めて素直な気持ちを伝えた。
「陽向、ごめんなさい。私、ずっとあなたのことが…」
陽向の目には驚きと、そして喜びが溢れていた。彼は椿を優しく抱きしめ、星空の下で交わす約束をした。
「大丈夫だよ、椿。これからは、一緒に星を見よう。」
星空の下、ふたりは新たな一歩を踏み出した。椿は自分の心を開くことの大切さを知り、陽向と共に、星の輝きのような輝かしい未来を歩んでいくことを誓った。
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