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11.一等星と優しい月
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「ここが星が見える場所?」
「ええ、そうです。到着です」
野宮のあとを歩いて二十分弱、木が生い茂る舗装道路は市立自然公園と看板が出た場所まで繋がっていた。公園内には遊具が設置されたエリア以外に整備された森があり誰でも気軽に自然と触れ合えるようになっている。
「こっちですよ。ついてきてください」
タイル張りの小径を通って野宮は森の中に入って行った。そのあとを僕もついて行く。
森の中は木の枝が空を覆いかぶさるように重なりあって生えていて、外よりさらに暗い。
「おい野宮。こんなに木が生い茂っていて空が見えるのか?」
「心配しなくても大丈夫。ほら、もうすぐ森を抜けます」
暗い森を抜けると開けた場所に出た。
「うわっ、広い」
僕の目の前に広がっていたのはゴルフ場のように芝生が生えた原っぱだった。月明かりに照らされたその場所は、どこまでも広く野球やサッカーができるほどの面積はあるだろう。日中はここで子供たちが追いかけっこをしたり、親子でキャッチボールをしたりしているのだろうか。
確かにこの広さなら天体観測には申し分ない。
「さあさあ、真ん中に行きましょう!」
導くように野宮が僕の手を握った。
その瞬間、僕の中に電流が走った。心臓は一気に縮こまり、頬が熱くなるのを感じる。頭は真っ白になって何も考えられない。
僕は引っ張られるまま足を動かした。
こんな感覚、初めてだ。
その時、糸川さんが言っていたことを思い出した。
全身を電流が走るような衝撃があり、何も考えられなくなる。
それは——恋。
僕が野宮のことを「好き」なのは確かだったが、それがどういう「好き」かまでは判別出来なかった。でも今なら分かる。
——僕は野宮に恋をした。
二十歳にして知った初恋は僕の人生最後の恋だった。
「天原さん? 天原さんってば!」
腕を強く引っ張られて、意識を現実に引き戻した。
「どうしたんですか。ぼーっとして」
「いや、ちょっと考えごと」
「ふーん。今までの人生でも振り返ってたんですか?」
そんなとこだよ、と僕は芝生に腰を下ろした。
「どこかから新聞紙でも取ってくればよかったですね」
野宮も僕の隣にそっと静かに座った。
「別にいいよ。あとは死ぬだけだし」
「そうですね……。あっ、その前にお待ちかねの誕生パーティーをしないと」
野宮はレジ袋を敷き物の代わりにして、そこにケーキと缶ビールを並べた。
「寂しい誕生会だな」
「にぎやかだからいいとは限りませんよ。こうして二人だけで夜風に吹かれて祝うのも乙というもんです」
「それも……そうかな」
ケーキのカバーを取って、そこに白ロウソクを一本だけ立てた。ライターで火をつけるとなんだかケーキがお供え物に見えてきて手を合わせたくなる。
「……誕生日って言うより、命日感が強いな……」
「今の私たちにとってはどっちもさして変わりませんって」
野宮はレジでもらったスプーンの封を開けながら言った。
「準備は万端、始めますよ!」
「おう」
野宮は目を閉じて小さく息を吸うと、歌い始めた。
「ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデートゥーユー」
野宮の独唱が夜の森に響く。それは美しく綺麗な歌声だった。
「ハッピーバースデーディア 天原優くん~ ハッピーバースデートゥーユー」
歌い終わると同時に僕は白ロウソクにフッと息を吐いて吹き消した。
「二十歳の誕生日、おめでとうございます!」
パチパチと拍手をする野宮。
「ありがとう。それにしても野宮にフルネームを呼ばれるなんて驚いた。僕の下の名前知ってたんだね」
「当たり前じゃないですか。忘れてるかもしれませんが、私は天原さんの個人情報を全部握っているんですよ? 下の名前なんて容易いです。ね、優くん?」
野宮はからかうように上目遣いで僕を見た。
「やめろって。野宮に呼ばれるとなんだかこっぱずかしい」
「ふふっ。天原さん、照れてる。かわいい」
「いいからケーキ食べよ。冷めちゃうから」
自分でも訳も分からないことを口走りながら僕はケーキにパクついた。
甘くてふわふわのクリームは口当たりがいい。
「甘くて美味しいですね」
野宮もひと口食べてニッコリ笑った。
「私、誕生ケーキなんて食べるの久しぶりです。それこそここに住んでた時以来ですよ」
懐かしそうに言った言葉に、僕はこの町を去ってからの野宮の境遇を思わずにはいられなかった。
久しぶり、と言う言葉が差すように、きっと彼女は親戚に預けられて以来、誕生日を祝われることがなかったのだ。もしかしたら親戚家族の誕生パーティーにすら参加出来なかったのかもしれない。なにぶん居候の身だ、贅沢は許されなかったのだろう。
僕はそんな邪念を振り払うように缶ビールのプルタブを開けた。プシュっと威勢のいい音がする。
「さあさあ、お待ちかねのビールだ。乾杯しよう」
「お、いいですね!」
野宮もビールのプルタブに手をかけた。
プシュ。
コーラみたいな音をたてて缶が開く。それを慎重な手つきで持ち上げる。
「なんか私、今ちょっと緊張してます」
「背徳感ってやつか? それとも初体験だから?」
「どっちもです。早く乾杯しましょう」
そう言って野宮は缶ビールを僕に向けた。
「そうだな……よし。えーっと、こういう時なんて言えばいいんだ?」
「そんなの何でもいいですよ。結婚式じゃないんだから」
「そうか……。じゃあ、今までの人生、お疲れ様でした。そして安らかな旅立ちを願って、乾杯!」
「乾杯!」
缶ビール同士を合わせると、小さく鈍い音が鳴った。
「にがっ!」
初めて飲んだビールは苦くて、どこが美味しいのかまったく分からなかった。これならジュースやコーヒーの方がいい。
野宮も同じだったようで顔をしわくちゃにすると、傍らに準備していたオレンジジュースをがぶ飲みしている。
「ぷはっ。……ビールって全然美味しくないですね……」
「うん。めっちゃ苦い。これを美味しそうに飲んでいる大人はどうかしているよ」
「私もオレンジジュースがあってよかった……」
不意打ちを食らった形になったが、それでも僕たちは苦い苦いと言いながらも飲み進めた。なんやかんや言っても「苦さ」より「大人っぽさ」が勝ったのだ。
「あっ、そうだった」
残りも少なくなった時に野宮が声をあげた。
「肝心なのを忘れてました。これ飲んでください」
野宮はいつもの通学カバンから小さなジップロックを取り出した。中には白い錠剤のような物が入っている。
「なんだ、それ? 玉薬?」
「楽に死ねる薬です。ビールでグッと飲んじゃってください」
そう言って小指の爪ほどの大きさ錠剤を一粒僕の手のひらに落とした。
こんな小さな物一つで人ひとりの命を奪うことが出来るなんて、命とはなんてあっけないものだろう。
受け取った錠剤を残りのビールで流し込む。確か、ビールで薬を飲むのは良くなかった気もするが、今さら関係ない。
目の前では野宮も缶を呷っている。
「これであと二、三十分もすれば私たちは仲良くあの世行きです」
それからしばらくするとアルコールのせいか、それとも薬のせいかふわふわした心地よい気分になった。これが俗に言う「ほろ酔い」の状態なのだろうか。僕は思わず芝生にごろんと寝転んだ。
「うわー。すごい」
目の前に広がる景色に思わず感嘆の声が出た。
「ええ、そうです。到着です」
野宮のあとを歩いて二十分弱、木が生い茂る舗装道路は市立自然公園と看板が出た場所まで繋がっていた。公園内には遊具が設置されたエリア以外に整備された森があり誰でも気軽に自然と触れ合えるようになっている。
「こっちですよ。ついてきてください」
タイル張りの小径を通って野宮は森の中に入って行った。そのあとを僕もついて行く。
森の中は木の枝が空を覆いかぶさるように重なりあって生えていて、外よりさらに暗い。
「おい野宮。こんなに木が生い茂っていて空が見えるのか?」
「心配しなくても大丈夫。ほら、もうすぐ森を抜けます」
暗い森を抜けると開けた場所に出た。
「うわっ、広い」
僕の目の前に広がっていたのはゴルフ場のように芝生が生えた原っぱだった。月明かりに照らされたその場所は、どこまでも広く野球やサッカーができるほどの面積はあるだろう。日中はここで子供たちが追いかけっこをしたり、親子でキャッチボールをしたりしているのだろうか。
確かにこの広さなら天体観測には申し分ない。
「さあさあ、真ん中に行きましょう!」
導くように野宮が僕の手を握った。
その瞬間、僕の中に電流が走った。心臓は一気に縮こまり、頬が熱くなるのを感じる。頭は真っ白になって何も考えられない。
僕は引っ張られるまま足を動かした。
こんな感覚、初めてだ。
その時、糸川さんが言っていたことを思い出した。
全身を電流が走るような衝撃があり、何も考えられなくなる。
それは——恋。
僕が野宮のことを「好き」なのは確かだったが、それがどういう「好き」かまでは判別出来なかった。でも今なら分かる。
——僕は野宮に恋をした。
二十歳にして知った初恋は僕の人生最後の恋だった。
「天原さん? 天原さんってば!」
腕を強く引っ張られて、意識を現実に引き戻した。
「どうしたんですか。ぼーっとして」
「いや、ちょっと考えごと」
「ふーん。今までの人生でも振り返ってたんですか?」
そんなとこだよ、と僕は芝生に腰を下ろした。
「どこかから新聞紙でも取ってくればよかったですね」
野宮も僕の隣にそっと静かに座った。
「別にいいよ。あとは死ぬだけだし」
「そうですね……。あっ、その前にお待ちかねの誕生パーティーをしないと」
野宮はレジ袋を敷き物の代わりにして、そこにケーキと缶ビールを並べた。
「寂しい誕生会だな」
「にぎやかだからいいとは限りませんよ。こうして二人だけで夜風に吹かれて祝うのも乙というもんです」
「それも……そうかな」
ケーキのカバーを取って、そこに白ロウソクを一本だけ立てた。ライターで火をつけるとなんだかケーキがお供え物に見えてきて手を合わせたくなる。
「……誕生日って言うより、命日感が強いな……」
「今の私たちにとってはどっちもさして変わりませんって」
野宮はレジでもらったスプーンの封を開けながら言った。
「準備は万端、始めますよ!」
「おう」
野宮は目を閉じて小さく息を吸うと、歌い始めた。
「ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデートゥーユー」
野宮の独唱が夜の森に響く。それは美しく綺麗な歌声だった。
「ハッピーバースデーディア 天原優くん~ ハッピーバースデートゥーユー」
歌い終わると同時に僕は白ロウソクにフッと息を吐いて吹き消した。
「二十歳の誕生日、おめでとうございます!」
パチパチと拍手をする野宮。
「ありがとう。それにしても野宮にフルネームを呼ばれるなんて驚いた。僕の下の名前知ってたんだね」
「当たり前じゃないですか。忘れてるかもしれませんが、私は天原さんの個人情報を全部握っているんですよ? 下の名前なんて容易いです。ね、優くん?」
野宮はからかうように上目遣いで僕を見た。
「やめろって。野宮に呼ばれるとなんだかこっぱずかしい」
「ふふっ。天原さん、照れてる。かわいい」
「いいからケーキ食べよ。冷めちゃうから」
自分でも訳も分からないことを口走りながら僕はケーキにパクついた。
甘くてふわふわのクリームは口当たりがいい。
「甘くて美味しいですね」
野宮もひと口食べてニッコリ笑った。
「私、誕生ケーキなんて食べるの久しぶりです。それこそここに住んでた時以来ですよ」
懐かしそうに言った言葉に、僕はこの町を去ってからの野宮の境遇を思わずにはいられなかった。
久しぶり、と言う言葉が差すように、きっと彼女は親戚に預けられて以来、誕生日を祝われることがなかったのだ。もしかしたら親戚家族の誕生パーティーにすら参加出来なかったのかもしれない。なにぶん居候の身だ、贅沢は許されなかったのだろう。
僕はそんな邪念を振り払うように缶ビールのプルタブを開けた。プシュっと威勢のいい音がする。
「さあさあ、お待ちかねのビールだ。乾杯しよう」
「お、いいですね!」
野宮もビールのプルタブに手をかけた。
プシュ。
コーラみたいな音をたてて缶が開く。それを慎重な手つきで持ち上げる。
「なんか私、今ちょっと緊張してます」
「背徳感ってやつか? それとも初体験だから?」
「どっちもです。早く乾杯しましょう」
そう言って野宮は缶ビールを僕に向けた。
「そうだな……よし。えーっと、こういう時なんて言えばいいんだ?」
「そんなの何でもいいですよ。結婚式じゃないんだから」
「そうか……。じゃあ、今までの人生、お疲れ様でした。そして安らかな旅立ちを願って、乾杯!」
「乾杯!」
缶ビール同士を合わせると、小さく鈍い音が鳴った。
「にがっ!」
初めて飲んだビールは苦くて、どこが美味しいのかまったく分からなかった。これならジュースやコーヒーの方がいい。
野宮も同じだったようで顔をしわくちゃにすると、傍らに準備していたオレンジジュースをがぶ飲みしている。
「ぷはっ。……ビールって全然美味しくないですね……」
「うん。めっちゃ苦い。これを美味しそうに飲んでいる大人はどうかしているよ」
「私もオレンジジュースがあってよかった……」
不意打ちを食らった形になったが、それでも僕たちは苦い苦いと言いながらも飲み進めた。なんやかんや言っても「苦さ」より「大人っぽさ」が勝ったのだ。
「あっ、そうだった」
残りも少なくなった時に野宮が声をあげた。
「肝心なのを忘れてました。これ飲んでください」
野宮はいつもの通学カバンから小さなジップロックを取り出した。中には白い錠剤のような物が入っている。
「なんだ、それ? 玉薬?」
「楽に死ねる薬です。ビールでグッと飲んじゃってください」
そう言って小指の爪ほどの大きさ錠剤を一粒僕の手のひらに落とした。
こんな小さな物一つで人ひとりの命を奪うことが出来るなんて、命とはなんてあっけないものだろう。
受け取った錠剤を残りのビールで流し込む。確か、ビールで薬を飲むのは良くなかった気もするが、今さら関係ない。
目の前では野宮も缶を呷っている。
「これであと二、三十分もすれば私たちは仲良くあの世行きです」
それからしばらくするとアルコールのせいか、それとも薬のせいかふわふわした心地よい気分になった。これが俗に言う「ほろ酔い」の状態なのだろうか。僕は思わず芝生にごろんと寝転んだ。
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