6 / 150
《第一部》一途なΩは幼馴染のαに恋をする
入学式
しおりを挟む
王立トルベール学園は中等部と高等部の6年一貫校である。性徴も関係なく入学試験を受けて合格すれば入学できる。数年前迄は貴族しか入れなかったが、今では庶民の子供でも入学試験を受けて合格すれば入学できるようになっている。
地方からの生徒には寄宿舎も併設されていてそれは性別と性徴で分かれている。貴族は寄宿舎に入る場合は生活費等別途料金が必要だが、庶民の子供の場合は無料となっている。また高等部になるとΩとβの女子はマリア棟と言われるΩ専用の棟で学ぶ。そこには親兄弟、婚約者でもαの訪問入室は禁じられていて、教える教師はもちろんこの棟に関わる人間は全て番持ちのΩかβしか入れない。と言う徹底ぶりである。
加えてΩは高等部の2年ぐらいから発情期が始まるのでそれに対して常駐の医師や看護師もいて地方からのΩが発情期を迎えても隔離して対応する等魅力的な施設であった。
トルベール学園では中等部3年生からは単位制なので、優秀ならば高等部1年生になれば卒業単位数を満たすといつでも卒業できる。
特に、貴族のΩ達は発情期が始まって以降は番になるまでの期間に不測の事態を心配して家や番が軟禁してしまう事が起きていた。勉強半ばで退学を余儀なく選択する者が多かった。
それを回避する為にΩのカリュキュラムを見直して、学園に通えなくても家で勉強をしてレポートを提出するれば単位が取れて卒業できるように便宜を図っている。Ωが、発情期で勉強を諦めないようにサポートしてくれる体制が出来つつあった。トルベール学園が、Ωに受け入れられている理由でもある。勿論、Ωであっても飛び級制度を利用することはできる。
これらの学園の改革は、アスラン王国アン王妃が中心になって推進して来た。彼女は、『女であろうと、Ωであろうと学びたい気持ちに戸を建てるのはおかしい。これからは、アスラン王国の全ての人々が学べる仕組みを作りたい』と宣言する。
そして、少しづつではあるが、番った後に働く者や大学に通う者も出ている。Ωの社会進出が始まりつつあった。
今から3年前のトルベール学園中等部入学式に入学試験会場で見なかった人物が入ってきた。それも途轍もなく美しい男が講堂の中を堂々と前に向かって歩いて行く。中等部の制服を纏いひときわ目立っている。それを見つめて講堂内は一瞬静寂になる。彼は、ゆっくりと前の空いている席に座ると前の壇上を見つめた。
彼を見た貴族の保護者席から
『ルナ・オーデンス伯爵?違う、あの方は亡くなってしまった』
『良く似ている、まるで生き写しではないか、ってことは?』
『それじゃ、彼が、あの方が亡くなって以来行方不明だったリュウール・オーデンス?何とルナ様に似てる。何と言う美しさだ、輝いている。絶世のΩの子供はやはり天使の様なΩだ』
と言う囁き声が、保護者席から溢れている。
リュウールは、そんな声等を無視して前を見つめていた。
『あれは、席順から言って王族だな。って事はあれが、第二王子のセバスチャン殿下だな、その横にいるのが3年首席か、誰だろう?格好が良い人だ、身体つきからしてαだな、顔も好み』
と思って微笑む。周りはリュウールに釘付けだからその微笑みを見て騒ぎ出す。
その時後ろの席から
『あれって、クラーブ・グランデール様じゃない?』
『そうだ、お家の仕事の関係で去年は殆ど学園に顔を見せてなかったって聞いてたけど、それでも首席って凄いよ』
『もちろんαだよね』
『当たり前だよ』
『やっぱり生粋のαは頭も全て良いのね』
『あんな方と番たら幸せになるよね』
『ここだけの話狙っている人は多けれど本人はもう決めた人がいるからって見合い話も告白も全て断っているんだって』
『そんな、意中の人って誰よ』
『誰かは教えてくれないらしい』
『でも、夢でも良いからデートしたい』
『ほんとだね』
うっとりと話す声を聞いて、リュウールは、幼馴染のクラーブだと思ってもう一度彼を見ながらひとり言を呟く。
『あれが、クラーブなんだ、格好良すぎるよ。幼馴染のリュウールですって言えば話せるかなぁ?そして、…あぁそんな事に成れば嬉しいけど思うだけなら大丈夫だよな』
と思うと顔が赤く火照って来た。
クラーブの方もリュウールを見つけてから目を離せなくなっていた。
『やっぱり、リュウールだ。ルナおばさんにそっくりだ。だけどあの無防備な雰囲気は周りの視線なんてお構なしなんて信じられない。横に座って周りを威嚇したい』
と思っていると横からセバスチャン殿下が
「お前、何を考えてるんだ、こんな所で威嚇はダメだろ」
「えっ、すまん、ありがとうございます」
そう答えながら
『こんな所で俺が威嚇フェルモンを出すなんて親父に知れたら懲罰モンだ。だけど、あれはどう見ても反則だろう、可愛すぎる』
クラーブも胸が高鳴るのであった。
地方からの生徒には寄宿舎も併設されていてそれは性別と性徴で分かれている。貴族は寄宿舎に入る場合は生活費等別途料金が必要だが、庶民の子供の場合は無料となっている。また高等部になるとΩとβの女子はマリア棟と言われるΩ専用の棟で学ぶ。そこには親兄弟、婚約者でもαの訪問入室は禁じられていて、教える教師はもちろんこの棟に関わる人間は全て番持ちのΩかβしか入れない。と言う徹底ぶりである。
加えてΩは高等部の2年ぐらいから発情期が始まるのでそれに対して常駐の医師や看護師もいて地方からのΩが発情期を迎えても隔離して対応する等魅力的な施設であった。
トルベール学園では中等部3年生からは単位制なので、優秀ならば高等部1年生になれば卒業単位数を満たすといつでも卒業できる。
特に、貴族のΩ達は発情期が始まって以降は番になるまでの期間に不測の事態を心配して家や番が軟禁してしまう事が起きていた。勉強半ばで退学を余儀なく選択する者が多かった。
それを回避する為にΩのカリュキュラムを見直して、学園に通えなくても家で勉強をしてレポートを提出するれば単位が取れて卒業できるように便宜を図っている。Ωが、発情期で勉強を諦めないようにサポートしてくれる体制が出来つつあった。トルベール学園が、Ωに受け入れられている理由でもある。勿論、Ωであっても飛び級制度を利用することはできる。
これらの学園の改革は、アスラン王国アン王妃が中心になって推進して来た。彼女は、『女であろうと、Ωであろうと学びたい気持ちに戸を建てるのはおかしい。これからは、アスラン王国の全ての人々が学べる仕組みを作りたい』と宣言する。
そして、少しづつではあるが、番った後に働く者や大学に通う者も出ている。Ωの社会進出が始まりつつあった。
今から3年前のトルベール学園中等部入学式に入学試験会場で見なかった人物が入ってきた。それも途轍もなく美しい男が講堂の中を堂々と前に向かって歩いて行く。中等部の制服を纏いひときわ目立っている。それを見つめて講堂内は一瞬静寂になる。彼は、ゆっくりと前の空いている席に座ると前の壇上を見つめた。
彼を見た貴族の保護者席から
『ルナ・オーデンス伯爵?違う、あの方は亡くなってしまった』
『良く似ている、まるで生き写しではないか、ってことは?』
『それじゃ、彼が、あの方が亡くなって以来行方不明だったリュウール・オーデンス?何とルナ様に似てる。何と言う美しさだ、輝いている。絶世のΩの子供はやはり天使の様なΩだ』
と言う囁き声が、保護者席から溢れている。
リュウールは、そんな声等を無視して前を見つめていた。
『あれは、席順から言って王族だな。って事はあれが、第二王子のセバスチャン殿下だな、その横にいるのが3年首席か、誰だろう?格好が良い人だ、身体つきからしてαだな、顔も好み』
と思って微笑む。周りはリュウールに釘付けだからその微笑みを見て騒ぎ出す。
その時後ろの席から
『あれって、クラーブ・グランデール様じゃない?』
『そうだ、お家の仕事の関係で去年は殆ど学園に顔を見せてなかったって聞いてたけど、それでも首席って凄いよ』
『もちろんαだよね』
『当たり前だよ』
『やっぱり生粋のαは頭も全て良いのね』
『あんな方と番たら幸せになるよね』
『ここだけの話狙っている人は多けれど本人はもう決めた人がいるからって見合い話も告白も全て断っているんだって』
『そんな、意中の人って誰よ』
『誰かは教えてくれないらしい』
『でも、夢でも良いからデートしたい』
『ほんとだね』
うっとりと話す声を聞いて、リュウールは、幼馴染のクラーブだと思ってもう一度彼を見ながらひとり言を呟く。
『あれが、クラーブなんだ、格好良すぎるよ。幼馴染のリュウールですって言えば話せるかなぁ?そして、…あぁそんな事に成れば嬉しいけど思うだけなら大丈夫だよな』
と思うと顔が赤く火照って来た。
クラーブの方もリュウールを見つけてから目を離せなくなっていた。
『やっぱり、リュウールだ。ルナおばさんにそっくりだ。だけどあの無防備な雰囲気は周りの視線なんてお構なしなんて信じられない。横に座って周りを威嚇したい』
と思っていると横からセバスチャン殿下が
「お前、何を考えてるんだ、こんな所で威嚇はダメだろ」
「えっ、すまん、ありがとうございます」
そう答えながら
『こんな所で俺が威嚇フェルモンを出すなんて親父に知れたら懲罰モンだ。だけど、あれはどう見ても反則だろう、可愛すぎる』
クラーブも胸が高鳴るのであった。
10
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる