5 / 150
《第一部》一途なΩは幼馴染のαに恋をする
リュウール(2)
しおりを挟む
3年前の3月末に、兄のトーマスがリュウールがいた修道院にを迎えに寄越した。当時リュウールは修道女の格好して、修道院で生活をしていた。修道女の格好の彼を見ても迎えは何も言わずに服を差し出して
「お着替えください、リュウール様」
と言った。リュウールは何も言わずに男の服に着替えるしかなかった。最後に修道院院長であったキャサリン院長に挨拶して修道院を後にした。
9年ぶりにシモンズ邸に帰宅すると兄のトーマスが待っていて
「大きくなったなぁ、冒険は楽しかったか?リュウール」
とい言うと、抱きしめて、頭を撫でてくれた。
「ただいま、兄様。冒険は楽しかったよ。だけど、僕はもうチビじゃないよ」
と頭を撫でているトーマスに文句を言う。
「明後日はトルベール学園の入学式だから、今日は良く寝て明日話を聞く」
と言うと家を出て行った。
9年ぶりのシモンズ伯爵邸は、何処かよそよそしく歓迎されている様には一切感じられない雰囲気であった。残されたリュウールは、トーマスの替わりに入って来た執事長のジョージにリュウールの部屋に連れて行かれた。
「旦那様は只今出張中なので、挨拶は後日となります」
と言われて部屋に残されたが、余りにも何事もなかった様に言われて肩透かしな感じだった。侍女が、部屋に入ってきた。
「リュウール様、私は侍女のアリスでございます。何かございましたら申し付けください」
彼女だけが、笑顔でリュウールの顔を見て話しかけてきた。リュウールはその笑顔で少しホッとしながら答える。
「ありがとう、アリス今は特に何もない」
「ご夕食は6時でよろしいですか」
「それで良いが、今まで修道院で過ごしていたからたくさんは食べきれない。量と品数もそんなにいらない」
「かしこまりました。それでは6時にご夕食をお運びします。それではごゆっくりお過ごしください」
そう言って、アリスは部屋を出て行った。
リュウールは、やっとひとりになって自分の部屋を見渡すが、何一つ知っている物懐かしい物はなかった。これでは殺風景だと思っていた修道院の部屋の方が、自分の部屋だという気がしてくると思って笑いが出てしまう。夜になって、ベッドでゆっくりしようと思っていたが、何も匂いもしないベッドは、よそよそしく居心地が悪くてその日は中々寝れなかった。
次の日トーマス兄様が、やって来て話をした。
「良く寝れたかい?」
「あまり寝れなかった、兄様は今どこにいるの?」
「俺は今、王宮の近衛騎士団の兵舎にいる」
「近衛騎士団?」
「そう、王族の警護や王宮内の警備それと戦争が勃発した場合の騎士としての仕事が主かな」
「いつから近衛騎士に?まだ研修中?」
「近衛騎士団にはもう4年、高等部1年の8月に飛び級して近衛騎士団に入った。研修は去年終えて、今は騎士団の副団長をしている」
「副団長?ってそんなに直ぐになれるの?」
「まぁ、俺は優秀だから副団長は結構内務的な仕事が多いから」
「そうっか、でも早すぎだろ」
「まぁ、早いけどなり手がいないならするいかないだろう。結構ハードだから」
そう言っている兄様の顔をマジマジと見つめた。
「それじゃ聞きたい事があるんだけど、僕はトルベール学園の入学試験って受けてないけど、明日行っても大丈夫なのか?」
「キャサリン院長がトルベール学園に推薦状を書いてくれたから大丈夫だよ」
「それと僕は色々と振り回されて放浪したけどそれって理由があるのか教えて欲しい」
「リュウール、お前は『オーデンスのΩ』だから誘拐される危険性が常にある、それを避ける為に安全な所に連れて行かれたって思って欲しい。もうちょっとお前が大きくなって理解ができるようになった時にもう一度話すから、それと明日からの通学は警護隊が付く、これは国王陛下からの命だ。警護隊長はちょっと変わり者だが、ヘインズ・アーツが務める。何かあればそいつに言えば良い、俺に連絡が来る事になっている」
「『オーデンスのΩ』なの僕って」
「そう、お母様がルナ・オーデンス伯爵であったからお前は『オーデンスのΩ』だ、お前はこの国の歴史について勉強していないのか」
「歴史は知っているけど僕がそれなんて思わないし、それならリュウール・オーデンスなのか僕は」
「そうだよ、お前は歴史に残るオーデンス家の末裔だ、俺もそうだけど俺はαだからオーデンス家を継承する事はない。『オーデンスのΩ』を狙っている奴らがいるのは事実なんだ。それはしっかり自覚して置いて欲しい。今日はここまでにしよう、ゆっくり寝て明日入学式で眠たくならない様にしておいて」
そう言いながらトーマス兄は家から出て行った。
リュウールは、何となくだが腑に落ちた。
『オーデンスのΩ』だからお前を誘拐しようとする輩がいるから無闇に笑はない様に知らない人知らない話にはついて行くな』
と旅の始まりに言ったカール元帥が言葉を思い出した。
「お着替えください、リュウール様」
と言った。リュウールは何も言わずに男の服に着替えるしかなかった。最後に修道院院長であったキャサリン院長に挨拶して修道院を後にした。
9年ぶりにシモンズ邸に帰宅すると兄のトーマスが待っていて
「大きくなったなぁ、冒険は楽しかったか?リュウール」
とい言うと、抱きしめて、頭を撫でてくれた。
「ただいま、兄様。冒険は楽しかったよ。だけど、僕はもうチビじゃないよ」
と頭を撫でているトーマスに文句を言う。
「明後日はトルベール学園の入学式だから、今日は良く寝て明日話を聞く」
と言うと家を出て行った。
9年ぶりのシモンズ伯爵邸は、何処かよそよそしく歓迎されている様には一切感じられない雰囲気であった。残されたリュウールは、トーマスの替わりに入って来た執事長のジョージにリュウールの部屋に連れて行かれた。
「旦那様は只今出張中なので、挨拶は後日となります」
と言われて部屋に残されたが、余りにも何事もなかった様に言われて肩透かしな感じだった。侍女が、部屋に入ってきた。
「リュウール様、私は侍女のアリスでございます。何かございましたら申し付けください」
彼女だけが、笑顔でリュウールの顔を見て話しかけてきた。リュウールはその笑顔で少しホッとしながら答える。
「ありがとう、アリス今は特に何もない」
「ご夕食は6時でよろしいですか」
「それで良いが、今まで修道院で過ごしていたからたくさんは食べきれない。量と品数もそんなにいらない」
「かしこまりました。それでは6時にご夕食をお運びします。それではごゆっくりお過ごしください」
そう言って、アリスは部屋を出て行った。
リュウールは、やっとひとりになって自分の部屋を見渡すが、何一つ知っている物懐かしい物はなかった。これでは殺風景だと思っていた修道院の部屋の方が、自分の部屋だという気がしてくると思って笑いが出てしまう。夜になって、ベッドでゆっくりしようと思っていたが、何も匂いもしないベッドは、よそよそしく居心地が悪くてその日は中々寝れなかった。
次の日トーマス兄様が、やって来て話をした。
「良く寝れたかい?」
「あまり寝れなかった、兄様は今どこにいるの?」
「俺は今、王宮の近衛騎士団の兵舎にいる」
「近衛騎士団?」
「そう、王族の警護や王宮内の警備それと戦争が勃発した場合の騎士としての仕事が主かな」
「いつから近衛騎士に?まだ研修中?」
「近衛騎士団にはもう4年、高等部1年の8月に飛び級して近衛騎士団に入った。研修は去年終えて、今は騎士団の副団長をしている」
「副団長?ってそんなに直ぐになれるの?」
「まぁ、俺は優秀だから副団長は結構内務的な仕事が多いから」
「そうっか、でも早すぎだろ」
「まぁ、早いけどなり手がいないならするいかないだろう。結構ハードだから」
そう言っている兄様の顔をマジマジと見つめた。
「それじゃ聞きたい事があるんだけど、僕はトルベール学園の入学試験って受けてないけど、明日行っても大丈夫なのか?」
「キャサリン院長がトルベール学園に推薦状を書いてくれたから大丈夫だよ」
「それと僕は色々と振り回されて放浪したけどそれって理由があるのか教えて欲しい」
「リュウール、お前は『オーデンスのΩ』だから誘拐される危険性が常にある、それを避ける為に安全な所に連れて行かれたって思って欲しい。もうちょっとお前が大きくなって理解ができるようになった時にもう一度話すから、それと明日からの通学は警護隊が付く、これは国王陛下からの命だ。警護隊長はちょっと変わり者だが、ヘインズ・アーツが務める。何かあればそいつに言えば良い、俺に連絡が来る事になっている」
「『オーデンスのΩ』なの僕って」
「そう、お母様がルナ・オーデンス伯爵であったからお前は『オーデンスのΩ』だ、お前はこの国の歴史について勉強していないのか」
「歴史は知っているけど僕がそれなんて思わないし、それならリュウール・オーデンスなのか僕は」
「そうだよ、お前は歴史に残るオーデンス家の末裔だ、俺もそうだけど俺はαだからオーデンス家を継承する事はない。『オーデンスのΩ』を狙っている奴らがいるのは事実なんだ。それはしっかり自覚して置いて欲しい。今日はここまでにしよう、ゆっくり寝て明日入学式で眠たくならない様にしておいて」
そう言いながらトーマス兄は家から出て行った。
リュウールは、何となくだが腑に落ちた。
『オーデンスのΩ』だからお前を誘拐しようとする輩がいるから無闇に笑はない様に知らない人知らない話にはついて行くな』
と旅の始まりに言ったカール元帥が言葉を思い出した。
10
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる