オーデンスのΩの物語《I》

風鈴

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《第一部》一途なΩは幼馴染のαに恋をする

クラーブの謹慎生活(1)

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 クラーブは、計画を立てて以来自室の部屋を片付けていた。多分事を起こせばここには当分の間は戻れないだろうと思っていた。既に、トルベール学園の飛び級も確定していたから、リュウールが東の離宮に入れる為に作戦を実行したのであった。
暫くの間、情勢を見るために一旦姿を隠す。隠れ家として、グランデール侯爵家が持つホテルの秘密の部屋に移動する。水掛け祭の後には王都から出て行方知れずになる。身分も姿も変えて深く潜り、リュウールのこれからの地ならしを行う予定であった。その移動の前にセバスチャンとの最後の打合せを行う。
 お昼前にセバスチャンが来た。
「おーい元気か?」
「元気ですよ。セバスチャン殿下は水掛け祭りの準備に忙しいのではないですか?」
「忙しいが、例年なら女神役の家にお迎えに行ってからの打合せ等が有るが今年は女神役が王宮内にいるので楽だよ。ただ、警備がすごくて大変だ。特に、昨日は王宮内が騒然としていたよ。急に『オーデンスのΩ』が東の離宮に正式に入ることが決まり部屋の掃除、侍女の手配、厨房の手配と侍女長が忙しそうに動き回っていたので俺は楽できた」
「結構、王宮の方々を煩わせたと父から聞きました」
「気にする事はない、侍従長や侍女長は随分前から準備をしていた。ただ、その時は突然になる事もわかっていたので騒がしそうにしていただけだ」
「お気遣いありがとうございます。リュウールに次会うのはいつですか?」
「衣装合わせの明後日」
「ジャックに手紙を持たせるので、手紙を渡してもらえますか?」
「えっ、コレって見つかったら怒られる案件じゃないですか?」
「まぁ見つかればね、それとリュウールの所にアリスって云う侍女がいるですが、その子の休みの日をジャックに伝えてあげてくださいね。俺、セバスチャンに結構貸しありますよね」
「わかった。お前ここにずっとはいないだろう?どこか遠くにもう行くのか?」
「いいえ、1カ月程は動かずにフォンドホテルにいますが、会えないと思ってください。リュウールのアスラン王国脱出の手立てを考えないといけません。何かあればジャックに伝えてください。ジャックには週一ぐらいで殿下の元に行かせます」
「了解、クラーブ色々ありがとう、そろそろミッシェルの事が外部に漏れ始めていたから、今回の騒動でその噂も少し吹っ飛んだ。ミッシェルの事を上手く隠してもらって助かった」
 そう言って頭を下げた。
「大丈夫だから心配しないでください。あなた達だけなら俺が前には出なくても方法があった。リュウールを秘密裏に東の離宮にいつ入らせるのかなども前から議論していました。ただ、リュウールの件は、俺が引き金を引いて、衝動的や急激にしないとゆっくりだと混沌して危険度が増すだけなので、今回、上手く東の離宮に行ける流れができて俺としては満足ですが、当分王宮に近づく事はできないので、リュウールの事よろしく頼みます」
 クラーブも頭を下げてセバスチャン殿下に頼むのであった。
「わかった、あれは正式に父の命令で動いているからとりあえず危険度は下がる筈だから安心して欲しい」
 セバスチャンを見送った後、クラーブは、サラン夫人の部屋に挨拶に行く。
「おはようございます、母上」
「おはよう、セバスチャン殿下が来られてましたね」
「はい、母上に申し上げたい事がございます。色々とご心配を掛けてしまい、申し訳ありません。クラーブはこれを機に家をでます。当分は王都にいますが、こちらには戻って来れないかと思われます。申し訳ございません。必ず家に戻ってはきますが、その時はリュウールを番にして2人して伺いたいと思います。よろしくお願いします。この事は外には漏らさぬようにお願いします」
 クラーブは母を抱きしめて元気でと言って部屋を出る時に母から
「リュウールの事を頼みましたよ。あなたに何か有ればあの子が、ぐらつくから絶対に無事で居て欲しい」
「必ず、リュウールを幸せにします。無事番になって母上とルナおばさんの希望を叶えます」
「それと、例のことですが、国王陛下から了承されました。その事も併せて覚えておいてください」
「わかりました」
 クラーブは、サラン夫人の最後の一言を少し思い出したが、歩みを変えることなくその足で屋敷の裏にある馬車に乗り込み出て行った。
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