オーデンスのΩの物語《I》

風鈴

文字の大きさ
55 / 150
《第一部》一途なΩは幼馴染のαに恋をする

東の離宮の生活(1)

しおりを挟む
 東の離宮は代々オーデンス家がエルデ高原にあるオーデンス城から王都にくる際に宿泊施設として使っている。その為東の離宮はオーデンス城の雰囲気が似ていると言われていた。
 トーマスが、カール元帥のクロイツ伯爵家に迎えに来た。リュウールは、驚くほどの厳重な警護隊の護衛の中王宮に護送された。あまりの警戒ぶりにリュウールが、カール元帥に指摘すると
「大袈裟じゃないですか?」
「『オーデンスのΩ』に簡単に手を出すなと言うアスラン王国の意思表示なのだ、だからお前は気にせずに偉そうにしていれば良い」
 と答えた。
 仕方ないと諦めて東の離宮に入った。
 侍女長が、アリスを連れてきた時に自分がとても緊張していた事に気づいた。そして、アリスと一緒に東の離宮について説明を受けて、今まで使っていた所は、離宮の応接間で、その他にも沢山の部屋が有り、リュウールの自室とされた一画には5部屋もあるのに驚いた。説明の後にカール元帥と夕食を取った。
 そして、彼も帰ってしまった今は一人広い離宮に残されてしまった。国王陛下が来る予定だったので、応接間にいた。今日一日があまりも長くて疲れ果てソファに寝転がってた。前触れが有り国王陛下が来られた。
「リュウール、大変だったな」
 チャールズが、労いの言葉をかける。
「国王陛下、お世話をお掛けして申し訳ありません」
 リュウールは疲れた身体を立ちあげて国王陛下を迎えた。チャールズは、ソファにかけるように促して座って話しをされた。
「やっとここに君を迎えることができた、ここはオーデンス伯爵家の物であるから寛げば良い」
「ありがとうございます」
「今年の祭りの女神はリュウールだったね、君の母君のルナも女神をした時にあまりの美しさに騒然となると言われてそれから山車の女神の前に薄い布のカーテンを急遽付けたんだよ。その当時は僕が警備隊長だったんだ。今でも思い出すよ」
「母も女神をしたのですか」
「そだよ、学園の全員一致だった。本人は男なのにって嫌がっていたが、アルフレッドが見てみたいと言っていたと聞いて即決だった。それから祭りの女神に男子Ωがなったのは君で二人目だ。親子で選ばれたと言うのも素晴らしい。だけど、今日はいろいろ一日あって疲れただろう、ゆっくり寝たら良い、アンは明日来ると言っていたよ」
「あの、一つ質問して良いですか?クラーブは大丈夫ですか?」
「クラーブは我が国の長剣の使い手としては一番手なんだよ。だから心配しなくて良い、やっぱりクラーブが好きか?」
「好きです。たまらなく」
「リュウール、一つ聞いてくれるか、ルナがアルフレッドに一目惚れした時も今の君の様な瞳で僕にアルフレッドが好きだと言った。その当時、僕は、まだ13歳で、世の中の事も考え方も浅い小僧だったからあまり深くは気にしていなかったんだが、今なら君の母君に助言する。
『今、アルフレッドを好きだと言う気持ちを大切にする事とその気持ちを胸の奥にしまっておくことが大切だと思う、考えて行動しないとその気持ちを悪用する者が出てくるから』とね。リュウールこの事を良く考えてくれないか?大人たちは君達の邪魔をしたい訳じゃない、本当は祝ってあげたい気持ちもあるんだよ。だけど、それを逆手に取る人物がいる事を知れば知るほど慎重にと考えるんだ」
「わかりました」
「多分、今はわからない理不尽だと思うだろ事も多いだろう、悪者が君の気持ちを人質にして迫って追い詰めてくる事がある事実をしっかりと考えるようにして欲しい。それが原因ですれ違ってしまう愛もある」
「よく考えてみます」
「長くなってしまった、ゆっくりとおやすみ」
 国王はリュウールの頭を撫でて、国王陛下は出て行かれた。
 リュウールは疲れた身体を湯船に浸しながら、クラーブが好きと思う事をどうやって隠すことができるのかを考えていた。
「リュウール様、お風呂で寝てはいないですか?」
 アリスが声をかけてくれた。
「大丈夫、もう上がる」
 寝着に着替え出てくるとアリスは水を用意して寝具も整えて
「アリス、君が侍女できてくれて助かったよ、ありがとう」
「もったいないお言葉です。それではごゆっくり寝てください、明日はアン王妃様からご昼食を一緒にとの事なのでベルが鳴るまで部屋には入りません。おやすみなさいませ」
「おやすみなさい、又明日」
 リュウールはベッドに入ってクラーブの事を思い出す事も無く直ぐに寝息を立てた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

処理中です...