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第二章
茜凛の事情
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久乃は思い返して考える。紅を南川遊郭に入れた後になって様々なことが起こった。彼が入った時期が悪いのか、彼の入った事で変わったのかわからないが。それでも彼の入った後には様々な事が起きた。
紅玉の1番の友人となった茜凛、名前を藤井茜という彼は思った以上に逞しい遊女になったと思う。そして茜凛の事を考え浮世草子を読み始めた。
茜凛は、寒い冬の日に妓楼にへその緒を付けたまま放置されていた。当時の奥方、今の楼主の母親が赤ん坊の声がすると言って、妓楼の外のゴミ箱の中で見つけたのだ。彼はすぐに診療所に連れてこられたが、体温が下がっていて危険な状態だった。それで本院のNICUに送る時間も惜しんで身体を温めなければならないほど切羽詰まった状態だった。簡易保育器を本院から運んで2か月間懸命に治療を施し、一命を取りとめた。
遊郭では、捨て子は遊郭の子供として育てられる。茜凛も藤井茜として楼主の姓をもらった。
養子に入るのではなく仮親として通いの下僕の家で6歳まで育てられる。βの場合は小学生から下僕下女として仕事をしながら大人になって妓楼を出ても良い。αの場合は、αを欲しがる人と養子縁組して遊郭からは出ていく。
茜凛の場合は、可愛いΩであったために『藤ノ井』の子として大切に育てられた。
茜凛は、当時の奥方が助けた赤ちゃんでΩだったので、楼主夫婦から可愛がられた。彼らには既に良弥がいたが、αだったために小学生の頃から遊郭の外で育てた。奥方は茜凛を自分たちの養子にして手元に置いて育てたいと考えていたが、遊郭の掟を破ることはできなかった。ただ、彼は、当時の支配人の夫夫が仮親だったので楼主夫婦の近く育ち奥方もそれで我慢した。ただ、仮親夫婦の躾のおかげで茜凛は自分の分を弁えて楼主夫婦に対して一線を引いて甘えず育った。
『藤ノ井』の子供として育てられたΩの男子は、6歳になれば禿見習いとして遊女の教養を授け、踊り、三味線、茶道、花道などを学ぶことで一端の淑女として育てる。それは、遊女としてでなく見受け先で暮らすに困らないようにして、『藤ノ井』の遊女の価値を高めるための投資の様なものだ。
数は少ないが、幼児期に預けられる少年はいる。遊女が、産んだ子供たちが殆どだが、茜凛のように捨てられる子供もいる。その殆どが、13歳から御職たちの禿となり、少年が美少年になり遊女となる過程を旦那衆は見守り、磨かれ美しくなっていく様を見ながら自分の将来の遊女の成長を目を細めて見ている。茜凛の禿時代は、美しい禿を見るために松の位の御職が呼ばれたと噂されていた。
初発情の競りはそんな旦那衆の遊びの一つでありステータスの象徴でもあった。競りでの売り上げがあるほど御職になる確率も上がる。遊女としては、その売り上げで遊女になるまでにかかった費用を相殺し残ったお金があるかないかで背負う借金が変化するのである。
初発情の競りについては、いつしか初発情だけが一人歩きしてしまい、土足でそれに踏み込む新参者が増えてきた。情緒も何もないがヒートアップする争いを遊郭らしく収めるために考え出されたシステムだった。ある程度の確率で予想を立てる事ができるようになった今では結構な精度で初発情の時期を診断できる。
ショーのように煽り人と金を集める。競りには誰でも参加できるが、ある程度昔から贔屓にしている旦那衆に内々に決まるが、ショーらしく見えるようにカモフラージュする。子飼いの禿が、いきなり見も知らぬ人と初発情を過ごす事は『藤ノ井』ではしない。それを公表するような贔屓もいない。それを知っていても見栄で受け入れるのも手練れた旦那として遊郭に愛される。
愛でて育てるのも禿を手に入れるには必要で、それにはそれなりの手順を踏んで一つ一つと金をかけるのが贔屓のお客様で旦那様となるというステータスとも言える。
茜凛の大きな丸い目とまっすぐで黒々とした髪を耳の下で切り揃えて、小さな口と鼻のバランスも整っている。瑞葵の禿となり2人がレースのブラウスとスーツとストレートエンドの蝶ネクタイを着て並んでいるだけで絵になった。
特に茜凛の歌声は遊郭でも有名で芸能界からも引き合いがあった。だが、彼自身が遊郭の外に出たがらず、遊女として生きると決めて断った。だが、彼の年季の終わる25歳でも大丈夫だという芸能関係者がいるらしい。
紅玉の1番の友人となった茜凛、名前を藤井茜という彼は思った以上に逞しい遊女になったと思う。そして茜凛の事を考え浮世草子を読み始めた。
茜凛は、寒い冬の日に妓楼にへその緒を付けたまま放置されていた。当時の奥方、今の楼主の母親が赤ん坊の声がすると言って、妓楼の外のゴミ箱の中で見つけたのだ。彼はすぐに診療所に連れてこられたが、体温が下がっていて危険な状態だった。それで本院のNICUに送る時間も惜しんで身体を温めなければならないほど切羽詰まった状態だった。簡易保育器を本院から運んで2か月間懸命に治療を施し、一命を取りとめた。
遊郭では、捨て子は遊郭の子供として育てられる。茜凛も藤井茜として楼主の姓をもらった。
養子に入るのではなく仮親として通いの下僕の家で6歳まで育てられる。βの場合は小学生から下僕下女として仕事をしながら大人になって妓楼を出ても良い。αの場合は、αを欲しがる人と養子縁組して遊郭からは出ていく。
茜凛の場合は、可愛いΩであったために『藤ノ井』の子として大切に育てられた。
茜凛は、当時の奥方が助けた赤ちゃんでΩだったので、楼主夫婦から可愛がられた。彼らには既に良弥がいたが、αだったために小学生の頃から遊郭の外で育てた。奥方は茜凛を自分たちの養子にして手元に置いて育てたいと考えていたが、遊郭の掟を破ることはできなかった。ただ、彼は、当時の支配人の夫夫が仮親だったので楼主夫婦の近く育ち奥方もそれで我慢した。ただ、仮親夫婦の躾のおかげで茜凛は自分の分を弁えて楼主夫婦に対して一線を引いて甘えず育った。
『藤ノ井』の子供として育てられたΩの男子は、6歳になれば禿見習いとして遊女の教養を授け、踊り、三味線、茶道、花道などを学ぶことで一端の淑女として育てる。それは、遊女としてでなく見受け先で暮らすに困らないようにして、『藤ノ井』の遊女の価値を高めるための投資の様なものだ。
数は少ないが、幼児期に預けられる少年はいる。遊女が、産んだ子供たちが殆どだが、茜凛のように捨てられる子供もいる。その殆どが、13歳から御職たちの禿となり、少年が美少年になり遊女となる過程を旦那衆は見守り、磨かれ美しくなっていく様を見ながら自分の将来の遊女の成長を目を細めて見ている。茜凛の禿時代は、美しい禿を見るために松の位の御職が呼ばれたと噂されていた。
初発情の競りはそんな旦那衆の遊びの一つでありステータスの象徴でもあった。競りでの売り上げがあるほど御職になる確率も上がる。遊女としては、その売り上げで遊女になるまでにかかった費用を相殺し残ったお金があるかないかで背負う借金が変化するのである。
初発情の競りについては、いつしか初発情だけが一人歩きしてしまい、土足でそれに踏み込む新参者が増えてきた。情緒も何もないがヒートアップする争いを遊郭らしく収めるために考え出されたシステムだった。ある程度の確率で予想を立てる事ができるようになった今では結構な精度で初発情の時期を診断できる。
ショーのように煽り人と金を集める。競りには誰でも参加できるが、ある程度昔から贔屓にしている旦那衆に内々に決まるが、ショーらしく見えるようにカモフラージュする。子飼いの禿が、いきなり見も知らぬ人と初発情を過ごす事は『藤ノ井』ではしない。それを公表するような贔屓もいない。それを知っていても見栄で受け入れるのも手練れた旦那として遊郭に愛される。
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特に茜凛の歌声は遊郭でも有名で芸能界からも引き合いがあった。だが、彼自身が遊郭の外に出たがらず、遊女として生きると決めて断った。だが、彼の年季の終わる25歳でも大丈夫だという芸能関係者がいるらしい。
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