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第二章
遊女の恋(茜凛)(1)
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茜凛は、幼馴染みの平太の事が好きだった。
自分は自由に生きられない飼い猫、『藤ノ井』に拾われ飼われた猫なのだと思っていた。そこには平太がいたから辛い習い事やお客様の要望にも応えられた。平太がいてくれて、平太が見てくれて、目を瞬間合わせてくれる事が茜凛は嬉しかった。
歌を褒められ歌手にならないかと言われても平太がいる『藤ノ井』から出て行きたくなかった。直接話さなくてもたまに袖擦り合い会釈をする平太との接触は胸を震わせる。それで気持ちを落ち着けていた。
平太は、茜凛を商品だと思ったことはない。可愛い弟だと思ったこともない。
茜凛の匂いに触れれば自分を乱すと思って、常に意識を外側に置いていた。高校を卒業する前に大学進学を楼主から進められた。大学進学するとなると遊郭を出て行かなくてはいけない。そうなると茜凛と会えないと思ったら大学進学を断っていた。彼のあの甘酸っぱいみかんの香りを感じられないのは耐えられなかった。
平太はいつも思い出す記憶がある。彼の家と茜凛の家が隣で幼い茜凛の遊び相手をさせられた、いつも彼は何故かママで、平太がパパをさせられて、赤ちゃんは人形で一日中付き合わされた。平太が、小学校に行くようになってそのままごと遊びは終わりを告げた。茜凛は、少しずつ習い事を始め出した。それでも、平太が小学校から戻って茜凛と会えば彼は必ず小さな声で平太に声をかける。
「おかえりなさいませ、旦那さん」
平太は心が揺れながら震える声で答える。
「ただいま、茜」
茜凛は嬉しそうにする。小さな小さな恋だった。
だから、あいつが遊女としてお客様さんに旦那様と言っていると心の奥がチリチリ焼ける気分になる。平太は茜凛の旦那さんだと叫びそうになる。高嶺の花みんなの茜凛であっても今でも目が合った後に心の中で可愛くなったね『茜』と言っていた。
平太と茜は深い悲しみに襲われた、楼主夫妻と平太の両親が仕事に行ったあの日、『藤ノ井』の電話が鳴って、彼らが多重追突事故に巻き込まれて全員死亡した。
多額の保険金は入ったが、平太は7歳でひとり遊郭の長屋に残された。彼は、遊郭で育った為か考えが少し大人びていた。だから両親が死んで悲しいよりもこれからの事を考えると不安だった。相手側との交渉は、『藤ノ井』の弁護士が中に入り交渉し、保険金は良弥さんが、いち早く管理してくれて親戚たちに取られることなく、両親の残していた借金は無くなった。平太は、遊郭を出て児童養護施設に入るしかなかった。
茜凛の場合は大変だった。可愛がってくれていった楼主夫妻が急に亡くなったことで情緒不安定になり、泣き喚き、遊女にはならないで奥方のところにいくと食事も取らない。彼女に周りもはじめはお腹が空いて食べると思っていたが、ガンとして言うことを聞き入れない。
ただ、平太が顔を見せると泣き止むので平太まで居なくなったら茜凛がどうなるかわからないと久乃が診断して、先ずは未来の御職を潰すより、下僕のひとりとして雇われ育てられた。平太の父親の次に下僕頭となった圭太夫婦が、平太の後見人となった。
平太は、圭太や良弥に迷惑をかけないために小学生でもできる仕事をした。そのために小学校から戻ると忙しく働いていた。茜凛は、遊郭の中では周りの大人に平太が怒られないように目で追うだけにしていたが、小学校では平太に執着するように付き纏っていた。
少しずつ落ち着いてくると習い事が増えて禿見習い、禿と進む内に俺以外の人に晒されて美しさに磨きがかかるたびに平太は陰で見守っているだけでだんだんと心が苦しくなる。そのたびに茜凛から離れようと頭では思うが、離れられない。他人に微笑む茜凛の事を考えたくなくて、彼は必死に勉強に没頭して茜凛を線の向こうに置こうとした。
平太に残された保険金は、銀行マンだった支配人の田阪が少しずつ増やしてくれてる。平太は使いもせずにいつかのためだと思いながら、今でもそのままにしている。
自分は自由に生きられない飼い猫、『藤ノ井』に拾われ飼われた猫なのだと思っていた。そこには平太がいたから辛い習い事やお客様の要望にも応えられた。平太がいてくれて、平太が見てくれて、目を瞬間合わせてくれる事が茜凛は嬉しかった。
歌を褒められ歌手にならないかと言われても平太がいる『藤ノ井』から出て行きたくなかった。直接話さなくてもたまに袖擦り合い会釈をする平太との接触は胸を震わせる。それで気持ちを落ち着けていた。
平太は、茜凛を商品だと思ったことはない。可愛い弟だと思ったこともない。
茜凛の匂いに触れれば自分を乱すと思って、常に意識を外側に置いていた。高校を卒業する前に大学進学を楼主から進められた。大学進学するとなると遊郭を出て行かなくてはいけない。そうなると茜凛と会えないと思ったら大学進学を断っていた。彼のあの甘酸っぱいみかんの香りを感じられないのは耐えられなかった。
平太はいつも思い出す記憶がある。彼の家と茜凛の家が隣で幼い茜凛の遊び相手をさせられた、いつも彼は何故かママで、平太がパパをさせられて、赤ちゃんは人形で一日中付き合わされた。平太が、小学校に行くようになってそのままごと遊びは終わりを告げた。茜凛は、少しずつ習い事を始め出した。それでも、平太が小学校から戻って茜凛と会えば彼は必ず小さな声で平太に声をかける。
「おかえりなさいませ、旦那さん」
平太は心が揺れながら震える声で答える。
「ただいま、茜」
茜凛は嬉しそうにする。小さな小さな恋だった。
だから、あいつが遊女としてお客様さんに旦那様と言っていると心の奥がチリチリ焼ける気分になる。平太は茜凛の旦那さんだと叫びそうになる。高嶺の花みんなの茜凛であっても今でも目が合った後に心の中で可愛くなったね『茜』と言っていた。
平太と茜は深い悲しみに襲われた、楼主夫妻と平太の両親が仕事に行ったあの日、『藤ノ井』の電話が鳴って、彼らが多重追突事故に巻き込まれて全員死亡した。
多額の保険金は入ったが、平太は7歳でひとり遊郭の長屋に残された。彼は、遊郭で育った為か考えが少し大人びていた。だから両親が死んで悲しいよりもこれからの事を考えると不安だった。相手側との交渉は、『藤ノ井』の弁護士が中に入り交渉し、保険金は良弥さんが、いち早く管理してくれて親戚たちに取られることなく、両親の残していた借金は無くなった。平太は、遊郭を出て児童養護施設に入るしかなかった。
茜凛の場合は大変だった。可愛がってくれていった楼主夫妻が急に亡くなったことで情緒不安定になり、泣き喚き、遊女にはならないで奥方のところにいくと食事も取らない。彼女に周りもはじめはお腹が空いて食べると思っていたが、ガンとして言うことを聞き入れない。
ただ、平太が顔を見せると泣き止むので平太まで居なくなったら茜凛がどうなるかわからないと久乃が診断して、先ずは未来の御職を潰すより、下僕のひとりとして雇われ育てられた。平太の父親の次に下僕頭となった圭太夫婦が、平太の後見人となった。
平太は、圭太や良弥に迷惑をかけないために小学生でもできる仕事をした。そのために小学校から戻ると忙しく働いていた。茜凛は、遊郭の中では周りの大人に平太が怒られないように目で追うだけにしていたが、小学校では平太に執着するように付き纏っていた。
少しずつ落ち着いてくると習い事が増えて禿見習い、禿と進む内に俺以外の人に晒されて美しさに磨きがかかるたびに平太は陰で見守っているだけでだんだんと心が苦しくなる。そのたびに茜凛から離れようと頭では思うが、離れられない。他人に微笑む茜凛の事を考えたくなくて、彼は必死に勉強に没頭して茜凛を線の向こうに置こうとした。
平太に残された保険金は、銀行マンだった支配人の田阪が少しずつ増やしてくれてる。平太は使いもせずにいつかのためだと思いながら、今でもそのままにしている。
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