君と夢見る理想の愛の形

風鈴

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出会いと再会

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 歩行者天国で賑わう街中を康平は走る。彼は腕時計を見ながら人と人との間をすり抜けていく。いつもなら、自転車を使うのだが、今日は本間の指定したホテルの会議室で今回の仕事先との終了契約書等を交わすことになっていた。その契約が完了した後に本間が慣れない場所で落ちつきがない康平を気遣いホテルの外に連れて行った。サラリーマンが休憩しているような喫茶店でコーヒーを奢ってもらった。康平は本間と別れた後に次目的のバイトに行くために自転車を駅に置いたままで走っていた。頭の中では先程の通帳に載っていた金額を思い出してニマニマとしていた。『目標額だ。これから運用して大学の生活費を稼げるはずだ』笑いが自然と出てくるのを抑えれられなかった。
 本間も車の中で、『天才と言われてもそれに甘んじない友人、彼女が今生きていればどんなプログラムを考えただろう。頭の良いSEは多くいるが、センスの良いSEは少ない。そしてもう一つ少ないのは頭が良くてセンスも良いそして勘が冴えて創造力があるSEはもっと少ないそんな彼女だった。
 俺らは、康平の復讐を応援してきた、彼女を追い詰めて陥れた人間に復讐している限りなく卑怯な大人たちだと思っている』そう思って目を閉じた。笑顔で声をかけて励まし人一倍才能と閃きで引っ張るチーフの顔が脳裏に浮かんだ。
『彼女から康平を託されたと思って、本間も色々と便宜を払った。初めて彼の作ったゲームは世界観が大きくてガキが考えたと思えなかった。出てくるキャラクターは素人っぽい物だったが、ゲーム会社の友人達からはこれが中学生が遊びで作ったと思えないと絶賛された。彼らはそれを買い取って2年かけて作り直して世に出した。そしてK.Kudouという名でゲームの設定と原案者として名前がゲームスタッフリストに載った。ゲームは今は3シーズン目の制作が決定していた。多分それにもSEではなく、作者として関わるのは確実だろう。だから、今回の仕事には名前を出さずフリーSEと先方に通した。名前が漏れると厄介だと言うのは理解できる。早く時が過ぎて表舞台に出てきて欲しい』と本間はゴチる。

 世田康平は高校二年生で、日本でも有数な進学校に通っている。
 彼の家庭は複雑で、実父の家族と暮らしている。実父世田隆勝せたたかまさは、都内でも中規模の世田総合病院の医院長で、彼の妻で康平の義母世田正枝せたまさえは、世田総合病院の理事長でオーナーである。康平以外に彼らの子供は研修医の兄隆哉たかやと中学生の弟隆信たかのぶがいる。康平は実父隆勝の庶子として育てられている。
 康平の実母工藤倫子くどうともこは、貧しい家に生まれた。康平の祖母は男運がないのか2度の結婚をしたが、どちらも暴力をふるう男だった。倫子はそれから逃げる様に日中は学校と近くの図書館で過ごした。彼女は勉強すれば少しはマシな生活を送れると思って頑張っていた。
 高校の時に優秀な倫子は大学からは奨学金つきの特待生で推薦を受けた。だが、彼女は早く世の中に出て働いて自分の稼いだお金で家を出たかった。そのために給付型奨学金をもらいコンピュータの専門学校に入学した。そして、バイトをしながら首席で卒業した。
 倫子は大手のIT企業に就職してSEとして働いていた。彼女は早々に頭角を表し、本間一真の率いるチームに引き抜かれ実力をつけていった。彼女の持つ人間性はとても人気があって、いつも笑顔で同僚にも愛されていたし信頼もされていた。本間のチームのチーフとして中心的な存在だった。

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