君と夢見る理想の愛の形

風鈴

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次へそして再会

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 安芸島が、健太郎の入学祝いだと言って康平と蓮と一緒に食事をしようと言ってくれた。蓮は家の仕事が忙しいと言う理由で無理だった。
 健太郎は待ち合わせ場所の新宿駅の南口に現れた康平を見つけて急に声を掛けた。康平は久しぶりに会う健太郎を見上げた。
「お久しぶりです世田先輩、太田健太郎です」
 と健太郎は、相変わらず線が細くてストイックな印象の康平を見て変わらずに綺麗だと思いながら挨拶した。
「太田?あぁ、あの書記の太田か、久しぶり、元気だった様だね、背が伸びている。俺より頭一つ分?大きい何センチ?」
 康平は、久しぶりに会った健太郎が、自分より背も体格も大きくなって現れたことにドキッとした。別れたときはまだ身長はかろうじて勝っていたのにと思った。
「185センチ以上はあるかもしれないです。向こうでは身長を測ることをしないから」
「ふーん、多分190センチぐらいだと思うよ。蓮が188センチだったと思うから、それより高いから、俺は高2からあまり伸びなかった178センチ180センチを目指していたんだが、無理だったよ」
「お久しぶり、大学合格おめでとう」
 安芸島が、現れて挨拶をした。
「安芸島先輩、お久しぶりです。ありがとうございます」
「大学はどこに行くんだ?」
 康平が、尋ねると
「H大の理工学部ですよ」
 健太郎が、告げた。
「ほぉ、俺と一緒だ」
「はい、世田先輩と又、コンピュータのプログラムを作成したいと思って入学を決めました」
「本当に、嬉しいなぁ。お前とできるのが本当に嬉しいよ。それで俺名前変わりました。工藤康平です。康平と言ってくれれば良いよ、工藤と言う名前は俺も慣れていないし、世田の名前は使いたくないんだ」
「わかりました。よろしくお願いします康平先輩」
 健太郎も康平も胸の中に湧く泡玉の正体が、何なのかを考えるが、それが何なのかを掴めないままに会食が始まり、お互いにとりとめのない話をして解散した。安芸島は焦れったい2人の間で疲れたと言って帰った。
 健太郎は康平に会えただけで舞い上がってしまい、聞きたいことの半分も聞けなかったことに自己嫌悪しながら自宅に戻った。
 康平は健太郎が自分の元に帰って来た事が嬉しくてたまらなかった。一緒に同じ方向を見て研究できる、同じ学部で学校ら今の研究も手伝ってもらえると考えていた。
 H大学の入学式、健太郎は、参列した母親と講堂前で別れてサークル紹介会場に足を向けた。母親が急にアメリカから戻ってきた為に家を決める条件だった剣道場の近くには家を借りれなかった。大学の剣道部に入っても良いかと思い巡らせながら、人波に揺られて歩いていた。
 急に人々がざわめき出した。陶芸部のデモストレーションで蓮がろくろを回して皿を作っているのを見て健太郎は釘付けになった。皿は、蓮の顔より大きくなっていく。彼のあんな真剣な顔を見たことが無かったので、目が離せなくなった。
 健太郎の前で同級生と思える人が安芸島先輩に勧誘されていた。前にいた同級生の勧誘が終わった後に、安芸島から声をかけられる。
「おっ、太田、おめでとう」
「ありがとうございます。蓮先輩ってろくろを挽けるんですね。びっくりしました」
 蓮は、一抱えの皿を挽いてろくろの前から姿が消えていた。
「あぁ、俺もびっくりしたよ。今日は3年生は全員出席なんで、蓮も呼んでいたんだが、あいつにろくろを挽くことは頼んでなかったのに、急にやり出したから」
 安芸島は苦笑しながら健太郎と話し出した。
「結構上手ですよ。大皿を挽くのは、集中力と技術がいるって聞いたけど、蓮先輩ってプロなんですか?あの技は素人は無理です」
 健太郎は、茶道を嗜む家に生まれたので、陶芸についても色々と祖父や祖母から教えてもらっていたので、蓮の技術に心底驚きながら尋ねた。
「蓮は、親父が陶芸家であいつも幼い頃はろくろを挽いていたらしい色々あって陶芸からは遠い所にいたから、大学は陶芸ができるここに決めて入ったんだが……今は陶芸部で土練り専門要員なんだ。今日ろくろを挽くって俺も聞いていない」
 安芸島もびっくりしていた。健太郎はサークル活動の事を聞いてみる。
「今は安芸島先輩も陶芸部に入っているのですか?」
「あぁ、俺は今年の部長だぞ。蓮は実家の仕事は今でもやっているが、大学は別物だと思って陶芸部に入って作品を作る予定だったんだ。世の中上手くいかないものだ。あっ、世田も陶芸部の幽霊部員だよ」
「世田先輩も陶芸部?幽霊部員って」
「陶芸にはあまり興味はないが、蓮もいるし、俺もいるからたまに息抜きに来る。殆ど俺らとしか喋らないけど喋ってその後に一緒に夕飯食べて飲んで」
「わかるような気がします。安芸島先輩はもう剣道はされないんですか?」
「一般の剣道場でやっていた。俺はたいして上を目指していないから、お前は剣道部に入るのか?」
「剣道はアメリカでもやっていて好きなんですが、理工学部って実験や諸々忙しいので剣道部は無理かもってさっき思いました」
「そうだな、大学の剣道部も真剣にやっているから片手間には無理だと思う。ただ、ここは区民向けの剣道教室が朝の9時から昼頃まで土日に限ってやっているから、俺はそっちの方が好みで息抜きに行っていた。三年生から就活があるから辞めたが、道場主から時間が有れば子供の相手にきて欲しいって言われている」
「それ面白そうですね」
「陶芸部も良かったら覗いてみて、俺が部長なんでよろしくお願いします」
「考えておきます」
 健太郎は、笑いながら安芸島が差し出したチラシをもらった。面倒見が頗る良い安芸島たちと過ごせることに、健太郎は大学での生活を送るのが楽しくなってきた。
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