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第70話 危機脱出と、カニづくし
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光さんが取ってきたカニは、夕食で頂く事になった。
お昼ごはんは、朝食と同じ麦ごはんに漬け物。そして朝作った味噌汁の余りを再度加熱して頂く。
「川上さんのお家のごはんは美味しいですね」
篝先生は、私達の作る食事を大変気に入ってくれている。
昼食後。魚道さんが別荘にやって来た。
「千恵子さん。篝先生! おまたせしました!」
「魚道さんどうだった?」
「ひとまずは、ハクジラ類の捕鯨は見合わせる事になりました!」
なんとか危機を脱出出来た。すぐに桟橋へ向かい、近くの海にいた光さんを呼ぶ。
「光さーーん!!」
「おう!」
「ハクジラ類の捕鯨は見合わせだって!」
「ほんとか?!」
「うん!」
光さんが、家族にその事を伝えると家族はほっとしたり光さんの身体を背びれで軽く叩いたりと各々喜びを表現する。
「良かったね。魚道さんもありがとう」
「いえいえ」
「御札は念の為そのままつけておきましょう。爆弾なんかの被害も防ぐ事が出来ますから」
とりあえずは一件落着のようだ。
夕食。カニはまず念入りに水洗いし、鍋で茹でる。
「カニが食べられるなんてね」
母親は上機嫌で、居間で新聞を読んでいた。私は沼霧さんとカニを茹でる。
ちなみに茹でる前に、足を甲羅から切り落として別々にしている。
カニ味噌用に、ごはんもある。
「こんな感じですかね」
沼霧さんと共に茹で上がりを確認する。カニの足は近くで見ると思ったより太い。これは身がしっかり詰まっていそうだ。
「もういいかな」
「そうですね」
茹で上がったカニを、鍋から取り出して足と甲羅をそれぞれ大皿に盛り付ける。
「よいしょっと」
「はさみも用意しないとですね……」
こうして、食卓に茹であがったカニがどどんと置かれた。私は離れにいる篝さんを呼びに行くと、彼は黒猫のあやかしと共になにやら書き物をしていた。
「篝先生、夕食が出来ました」
「今行きます」
「篝先生、それ、何の書類ですか?」
「軍への書類ですね。詳しくは機密なので話せませんが……」
全員揃って、待ちに待った夕食が始まる。ちなみに今日頂くカニの種類はズワイガニ。沼霧さんから教えてもらった。
「いただきます」
まずは、甲羅を開ける。中々上手く開かなかったので最終的には沼霧さんに手伝ってもらった。
「ごめん、手伝ってもらって」
「いえいえ」
甲羅の中にはカニみそがしっかりと入っていた。これは麦ごはんにかけて頂く。
「んっ……!」
カニみその独特且つ濃厚な甘みのある味わいが、麦ごはんと合わさってとても美味しい。甘いのにごはんが進む。
次に足も食べていく。一旦お箸を箸置きに置いて、足を一本取って専用のハサミでゆっくりと縦に切っていく。
「かたいな……」
「手伝いましょうか?」
「沼霧さん大丈夫。やる」
なんとか半分くらいまで切って、ぱかっと割ると、身がぎっしりと詰まっていた。上手く身を取り出して、口に含むとこれまた美味しさが口の中に広がる。
これは癖になりそうだ。
「カニ久しぶりに食べました。美味しいですねぇ」
篝先生は、優雅に堪能しながらカニを味わっていた。ちなみによく見ると沼霧さんが殻を割ったものを篝先生は食べている。食べ慣れていないのだろう。
母親も、沼霧さんに時折殻をむいてもらっていた。
「私も手伝おうか?」
「いえ、大丈夫ですよ。慣れてますので」
にこっと笑う沼霧さん。いつもと変わらぬ余裕のある笑みだった。
「ごちそうさまでした」
お腹いっぱいになる程、カニを堪能した夕食だった。
お昼ごはんは、朝食と同じ麦ごはんに漬け物。そして朝作った味噌汁の余りを再度加熱して頂く。
「川上さんのお家のごはんは美味しいですね」
篝先生は、私達の作る食事を大変気に入ってくれている。
昼食後。魚道さんが別荘にやって来た。
「千恵子さん。篝先生! おまたせしました!」
「魚道さんどうだった?」
「ひとまずは、ハクジラ類の捕鯨は見合わせる事になりました!」
なんとか危機を脱出出来た。すぐに桟橋へ向かい、近くの海にいた光さんを呼ぶ。
「光さーーん!!」
「おう!」
「ハクジラ類の捕鯨は見合わせだって!」
「ほんとか?!」
「うん!」
光さんが、家族にその事を伝えると家族はほっとしたり光さんの身体を背びれで軽く叩いたりと各々喜びを表現する。
「良かったね。魚道さんもありがとう」
「いえいえ」
「御札は念の為そのままつけておきましょう。爆弾なんかの被害も防ぐ事が出来ますから」
とりあえずは一件落着のようだ。
夕食。カニはまず念入りに水洗いし、鍋で茹でる。
「カニが食べられるなんてね」
母親は上機嫌で、居間で新聞を読んでいた。私は沼霧さんとカニを茹でる。
ちなみに茹でる前に、足を甲羅から切り落として別々にしている。
カニ味噌用に、ごはんもある。
「こんな感じですかね」
沼霧さんと共に茹で上がりを確認する。カニの足は近くで見ると思ったより太い。これは身がしっかり詰まっていそうだ。
「もういいかな」
「そうですね」
茹で上がったカニを、鍋から取り出して足と甲羅をそれぞれ大皿に盛り付ける。
「よいしょっと」
「はさみも用意しないとですね……」
こうして、食卓に茹であがったカニがどどんと置かれた。私は離れにいる篝さんを呼びに行くと、彼は黒猫のあやかしと共になにやら書き物をしていた。
「篝先生、夕食が出来ました」
「今行きます」
「篝先生、それ、何の書類ですか?」
「軍への書類ですね。詳しくは機密なので話せませんが……」
全員揃って、待ちに待った夕食が始まる。ちなみに今日頂くカニの種類はズワイガニ。沼霧さんから教えてもらった。
「いただきます」
まずは、甲羅を開ける。中々上手く開かなかったので最終的には沼霧さんに手伝ってもらった。
「ごめん、手伝ってもらって」
「いえいえ」
甲羅の中にはカニみそがしっかりと入っていた。これは麦ごはんにかけて頂く。
「んっ……!」
カニみその独特且つ濃厚な甘みのある味わいが、麦ごはんと合わさってとても美味しい。甘いのにごはんが進む。
次に足も食べていく。一旦お箸を箸置きに置いて、足を一本取って専用のハサミでゆっくりと縦に切っていく。
「かたいな……」
「手伝いましょうか?」
「沼霧さん大丈夫。やる」
なんとか半分くらいまで切って、ぱかっと割ると、身がぎっしりと詰まっていた。上手く身を取り出して、口に含むとこれまた美味しさが口の中に広がる。
これは癖になりそうだ。
「カニ久しぶりに食べました。美味しいですねぇ」
篝先生は、優雅に堪能しながらカニを味わっていた。ちなみによく見ると沼霧さんが殻を割ったものを篝先生は食べている。食べ慣れていないのだろう。
母親も、沼霧さんに時折殻をむいてもらっていた。
「私も手伝おうか?」
「いえ、大丈夫ですよ。慣れてますので」
にこっと笑う沼霧さん。いつもと変わらぬ余裕のある笑みだった。
「ごちそうさまでした」
お腹いっぱいになる程、カニを堪能した夕食だった。
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