婚約者を妹に奪われ、家出して薬師になった令嬢は王太子から溺愛される。

二位関りをん

文字の大きさ
36 / 88

第33話 舞踏会から逃れて※

 アダン様と共に私はホールからひっそりと出て、人気の無い暗い宮廷を歩く。

(誰もいない)

 そう言えば、国王陛下と王妃アネーラもホールから出ていっていたか。

「誰もいませんね」
「うん、気をつけて」
「はい」
「せっかくだから、俺の部屋に寄らない?」
「え?」
「お腹すいたでしょ。何か軽食でも用意させるよ」

 確かに少し小腹は空いた。ダンスで身体を動かしたからだろうか。

「じゃあ、頂きます」
「わかった。何食べたい?」
「そうですね、消化に良いものが欲しいです」

 アダン様の部屋に到着し入室する。アダン様はすかさず執事を呼び、リゾットとクッキーを部屋に持って来るようにと告げた。

「ありがとうございます」
「いえいえ。どういたしまして」

 アダン様の部屋はやはり王族らしく、広くて豪華な調度品で彩られている。椅子もソファも花が生けられた白い花瓶も皆豪華に映る。

「ドレス似合ってるね。あともう仮面外していいんじゃないかな?」
「ありがとうございます。そうですね……すっかり忘れていました」
「自分でドレス選んだの?」
「はい。美しい青色が目に留まりまして」
「そうなんだ。良いセンスだと思うよ」
「ほんとですか?」

 アダン様から褒められて、思わずちょっとだけ顔が赤くなるのと同時に嬉しさの余り笑みがこぼれた。そのタイミングで執事がリゾットとクッキーを持って部屋に現れる。

「ありがとう」

 アダン様がその2つを受け取り、机の上に並べてくれた。リゾットはチーズが絡まっていてまろやかで優しい味付けだ。クッキーも甘くてとても美味しい。
 そして完食後。アダン様がもう一度私のドレス姿をほめてくれた。

「うれしいです」

 そうありのままの思いを口にすると、アダン様は微笑みながら私にそっと口づけをした。二度三度繰り返すと、より深く互いの舌を絡めあうようなものへと変わる。

「ふっ……」
「んっ……」

 アダン様が私の腰に手をまわし、何度も私に口づけをする。それは唇だけでなく、首元や耳元にも蜜を落とすように零していく。
 
(胸がどきどきする……)
「かわいいね」
「あっ……」

 アダン様が私の左胸に触れる。そのままドレスから乳房を露出させ、指をうずめるようにゆっくりと揉んでいく。
 ドレスから胸元が露出しているこの格好は、今更ながらなんだか恥ずかしい。

「あっ……」

 更に彼の指が私の乳首に触れた。痛くない程度につまんだり揉んだりして更に刺激を与えて来る。

「あっ、やめ……」
「ここ好きなんだ?」

 ぎゅっと片手で左乳首をぎゅっと握るようにして揉まれる。胸から頭まで快楽が一瞬で飛んで、下腹部の熱が増す。

「あひっ……!」
「良い声だ」
「あんっ……んんっ」

 はあはあと荒い息が口から零れる。アダン様の顔も次第に紅潮していくのが見えた。

「じゃあ、ドレス脱がせてあげる」
「は、はい……」

 アダン様にドレスを脱がされて、下着姿となる。黒い地味目な上下の下着姿を、アダン様は目に焼き付けるようにまじまじと目を通してくる。

「ジャスミン、新しい下着あげようか?」
「いえ、私はこのようなのを気に入っていますので」
「見た目よりかは機能重視の方かな?」
「まあ、そうなりますね」
「それこそこちらから良いものが用意できるよ。どう?」

 アダン様がそう言うなら、頼んでみるのもありか。どちみち下着は消耗が早いので早めに新品を用意しておくのに越した事は無い。

「では、お願いします」
「わかった。また見本をいくつか持ってこさせるよ」
「ありがとうございます」

 私はアダン様に軽々とお姫様抱っこされながら、ベッドに向かっていった。
感想 4

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜

まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。 愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。 夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。 でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。 「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」 幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。 ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。 夫が全てを失うのはこれからの話。 私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。

【本編完結】初恋のその先で、私は母になる

妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。 王宮で12年働き、気づけば28歳。 恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。 優しく守ろうとする彼。 けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。 揺れる想いの中で、彼女が選んだのは―― 自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。 これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。 ※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。

【完結】今さら執着されても困ります

リリー
恋愛
「これから先も、俺が愛するのは彼女だけだ。君と結婚してからも、彼女を手放す気はない」 婚約者・リアムが寝室に連れ込んでいたのは、見知らぬ美しい女だった―― アンドレセン公爵令嬢のユリアナは、「呪われた子」として忌み嫌われながらも、政略結婚によりクロシェード公爵家の嫡男・リアムと婚約し、彼の屋敷に移り住んだ。 いつか家族になれると信じて献身的に尽くすが、リアムの隣にはいつも、彼の幼馴染であり愛人のアリスがいた。 蔑まれ、無視され、愛人の引き立て役として扱われる日々。 ある舞踏会の日、衆前で辱めを受けたユリアナの中で、何かがプツリと切れる。 「わかりました。もう、愛される努力はやめにします」 ユリアナがリアムへの関心を捨て、心を閉ざしたその夜。彼女は庭園で、謎めいた美しい青年・フィンレイと出会う。 彼との出会いが、凍りついていたユリアナの人生を劇的に変えていく。 一方、急に素っ気なくなったユリアナに、リアムは焦りと歪んだ執着を抱き始める。 ・全体的に暗い内容です。 ・注意喚起を含む章は※を付けています。

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~

4月2日コミカライズ配信♡二階堂まや
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。 夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。 気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……? 「こんな本性どこに隠してたんだか」 「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」 さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。 +ムーンライトノベルズにも掲載しております。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」