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第49話 噂
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「王太子殿下、どうだったの?」
「すまない、今日は夜伽をしてもらう気分じゃない。部屋に戻ってほしい」
アダン様はそう、声を絞り出すように拒否の意思をエレーナ姫に示した。
「嫌って事?」
「そうだ」
「私、王女よ? 何言ってるのか分かってる?」
「ああ。だから今日は1人で過ごしたいんだ」
アダン様がエレーナ姫を見る。そこには先程王妃アネーラがアダン様に向けていた嫌悪感とよく似たものが宿っているように見える。
「分かったわ。ごめんあそばせ」
「ああ、すまない」
エレーナ姫はベッドから起き上がり、早足で自身の部屋へと戻って行ったのだった。エレーナ姫が部屋からいなくなると、アダン様は何度も肩で息を吐く。
「疲れた……」
アダン様はそのまま、倒れるようにばさっとベッドに大の字になった。
「皆、下がっていいよ」
その言葉を受けて、私達も部屋から退出していったのだった。
医師もハイダも疲れが顔に出ている状態だ。
「お疲れ様です……」
「ジャスミンさん、お疲れ様です」
「薬師の方々も遅くまでありがとうございます。早く帰って休みましょう」
医師の言葉を受けて、自室に戻ると手早く寝間着に着替えて化粧を落としてからベッドに入る。
「はあーー……」
こんなに大きなため息が出るのは、いつぶりだろうか。全身を疲労感が漂う中、頭の中にはアダン様のエレーナ姫とは婚約するつもりは無いという言葉を、無意識に何度も繰り返し流していた。
(この言葉聞いたら、安心出来たんだよな)
私は布団に潜り、目を閉じる。
翌朝。まだまだ気だるい身体を引きずるようにして起床した。着替えて化粧を軽くし、食堂で朝食をハイダやメラニーと共に頂く。
「エレーナ姫、どんな感じだったんですか?」
メラニーからそう尋ねられて、驚く私とハイダ。どうやら昨日、私とハイダがエレーナ姫の部屋に向かうのを遠くから見ていたそうだ。
「王女様という感じでしたよ、医薬師長はどう思われましたか?」
「私もジャスミンさんと同じです。少し……」
「気難しい?」
「メラニーにはお見通しでしたか」
(ジュナと似てるなんて言えない……)
メラニーはふんふんと頷きながら、こちらに視線を送る。
「王太子殿下と婚約したいと仰ってるって噂で持ち切りと言うか……」
「メラニー、そうなんですか?」
(もう噂流れてるのか)
いつもは美味しく頂いているパンとスープが、今日は何故か不味く感じてしまう。
(食が進まない……)
「ジャスミンさんいかがしましたか?」
「いえ、何でもありません医薬師長」
「すまない、今日は夜伽をしてもらう気分じゃない。部屋に戻ってほしい」
アダン様はそう、声を絞り出すように拒否の意思をエレーナ姫に示した。
「嫌って事?」
「そうだ」
「私、王女よ? 何言ってるのか分かってる?」
「ああ。だから今日は1人で過ごしたいんだ」
アダン様がエレーナ姫を見る。そこには先程王妃アネーラがアダン様に向けていた嫌悪感とよく似たものが宿っているように見える。
「分かったわ。ごめんあそばせ」
「ああ、すまない」
エレーナ姫はベッドから起き上がり、早足で自身の部屋へと戻って行ったのだった。エレーナ姫が部屋からいなくなると、アダン様は何度も肩で息を吐く。
「疲れた……」
アダン様はそのまま、倒れるようにばさっとベッドに大の字になった。
「皆、下がっていいよ」
その言葉を受けて、私達も部屋から退出していったのだった。
医師もハイダも疲れが顔に出ている状態だ。
「お疲れ様です……」
「ジャスミンさん、お疲れ様です」
「薬師の方々も遅くまでありがとうございます。早く帰って休みましょう」
医師の言葉を受けて、自室に戻ると手早く寝間着に着替えて化粧を落としてからベッドに入る。
「はあーー……」
こんなに大きなため息が出るのは、いつぶりだろうか。全身を疲労感が漂う中、頭の中にはアダン様のエレーナ姫とは婚約するつもりは無いという言葉を、無意識に何度も繰り返し流していた。
(この言葉聞いたら、安心出来たんだよな)
私は布団に潜り、目を閉じる。
翌朝。まだまだ気だるい身体を引きずるようにして起床した。着替えて化粧を軽くし、食堂で朝食をハイダやメラニーと共に頂く。
「エレーナ姫、どんな感じだったんですか?」
メラニーからそう尋ねられて、驚く私とハイダ。どうやら昨日、私とハイダがエレーナ姫の部屋に向かうのを遠くから見ていたそうだ。
「王女様という感じでしたよ、医薬師長はどう思われましたか?」
「私もジャスミンさんと同じです。少し……」
「気難しい?」
「メラニーにはお見通しでしたか」
(ジュナと似てるなんて言えない……)
メラニーはふんふんと頷きながら、こちらに視線を送る。
「王太子殿下と婚約したいと仰ってるって噂で持ち切りと言うか……」
「メラニー、そうなんですか?」
(もう噂流れてるのか)
いつもは美味しく頂いているパンとスープが、今日は何故か不味く感じてしまう。
(食が進まない……)
「ジャスミンさんいかがしましたか?」
「いえ、何でもありません医薬師長」
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