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第14話 こんな所もういたくないんだけど
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「えっどうしたらいいの……? 何よそれ……わけわかんない……」
この部屋には誰もいないし、アルグレートが戻って来る気配もない。
「いたっ……」
まだ身体には痛みが残る。雑にかつ無理やりねじ込もうとしたからか、じんじんヒリヒリしてきつい。
「……どうしよ、薬……」
しかし、眠気と疲れが同時に襲いかかってきた。
「もう、こんな所いたくない……もうやだ……またあんなのとしなくちゃいけないの?」
完全になめていた。アルグレートにここまで雑に扱われるなんて。子供産めば元の世界に帰れると考えていたけど、最初の時点でつまずく結果に私の心はぽっきり折れてしまった。
「もう嫌だ。……こんな所いたくないよ」
涙がぽろぽろと両目からこぼれ落ちて、シーツを濡らす。シーツには既に血が薔薇のようなシミを形成していた。これじゃあ寝る気にはなれない。
「……ひっく……ぐすっ……」
冷たい部屋の中で私は体育座りをしたまま、ずっと泣き続けていた。
「……っ」
カーテンから光が差し込んでくる。気がつけば夜明けを迎えていた。
「もうそんな時間になったんだ……」
でも、誰も来る気配が無い。誰かを呼びに行く気にもなれないでいる。
秘所はまだ痛いまま。ひりひりするような痛みが引く様子がない。これトイレするの嫌だなあ……。
すると、パタパタと足音が外からかすかに聞こえてくる。
「オトネ様。失礼いたします。おはようございます」
入ってきたのは獅子人のメイド達だった。
「おはようございます……」
何しに来たんだろう。あいさつを返したのはいいけどメイド達は何かをする様子は見られない。さっきとは違う人達とはいえ、あんなに気の利いた動きをしていただけに、だんだんと苛立ってくる。
「あの、何しに来たんですか?」
「まだ眠たそうでしたので……このままこちらでゆっくりしていかれますか? それともシャワーを浴びられますか?」
「もうこんな場所いたくない!」
感情が爆発した。メイドの人達はびくりと肩を震わせるが微動だにしない。
「もう、元の世界に戻らせてよ! 元の世界に帰りたい!」
「お、オトネ様……!」
「アルグレートに言ってよ! あんなに雑にされるならさっさと元の世界に戻らせてよって!」
元の世界に戻りたい。その言葉をぶつけてもメイドは何もできずにうろたえるだけ。
「言いに行きなさいよ! 誰か!」
「あっ、そ、その……」
もういいや……何もかもどうでもよくなってきた
「……もういい。部屋に帰りません……怒鳴っしまってすみませんでした」
ランジェリー姿の私は重い足取りのまま、メイド達とともに自室に戻り、シャワーを浴びてドレスに着替えた。
「朝食をお持ちしました」
朝食は丸いパンに分厚いベーコンを焼いたものとオレンジ色のドレッシングがかかったキャベツとにんじんのサラダ。どれも美味しいけど、今は食事を楽しめるメンタルではない。
「また、ランチをお持ちします」
ここでメイド達は部屋から去り、部屋には私だけになる。
「何をしようか……アルグレートはこっち来ないし」
こちらから会いに行くのは、なんだか負けたみたいだから嫌だしなぁ……。
「本当に私、子作りの為だけの存在なんだ」
そう考えると、納得感とともに寂しさが胸に訪れる。
でもここにずっといてもこのままアルグレートの雑な扱いに、子作りするだけの存在になり果てるなんて嫌だという感情も湧いてくるのだ。
「……出て行っちゃおうか」
もしかしたら、魔法が使える人に聞いてみたら私を元の世界に戻してくれるんじゃない? なら、こんな屋敷出るに限る。
「……よし」
私はドレスを脱ぎ、召喚された時に着ていた私服に身を通す。こっちの方が動きやすいしね。
「バッグ……」
バッグを持ち、ガラス窓を全開にして外に出た。あとはどこに行こう……まずは街へ行った方がいいかな?
私はとにかく前を向いて走る。今の所誰かが追いかけてくるような気配は感じられない。でも外の景色は中々変わり映えしないでいる。
「私は……元の世界に戻るんだ……! アルグレートとか大嫌い!」
とにかく走れ、走れ! と自分を奮い立たせていると、後ろから何やら馬車みたいな音が聞こえてきた。
「あれは……」
藁を積んだユニコーンの馬車だ。御者を務めているのはロバの耳を生やしたおじいさん。関係者じゃないならこの馬車に相乗りしちゃおうか……。
「あの、すみません。こちらどちらに行かれますか?」
「おお……帝都に向かう予定じゃが……」
「乗せてください! お願いします……!」
この部屋には誰もいないし、アルグレートが戻って来る気配もない。
「いたっ……」
まだ身体には痛みが残る。雑にかつ無理やりねじ込もうとしたからか、じんじんヒリヒリしてきつい。
「……どうしよ、薬……」
しかし、眠気と疲れが同時に襲いかかってきた。
「もう、こんな所いたくない……もうやだ……またあんなのとしなくちゃいけないの?」
完全になめていた。アルグレートにここまで雑に扱われるなんて。子供産めば元の世界に帰れると考えていたけど、最初の時点でつまずく結果に私の心はぽっきり折れてしまった。
「もう嫌だ。……こんな所いたくないよ」
涙がぽろぽろと両目からこぼれ落ちて、シーツを濡らす。シーツには既に血が薔薇のようなシミを形成していた。これじゃあ寝る気にはなれない。
「……ひっく……ぐすっ……」
冷たい部屋の中で私は体育座りをしたまま、ずっと泣き続けていた。
「……っ」
カーテンから光が差し込んでくる。気がつけば夜明けを迎えていた。
「もうそんな時間になったんだ……」
でも、誰も来る気配が無い。誰かを呼びに行く気にもなれないでいる。
秘所はまだ痛いまま。ひりひりするような痛みが引く様子がない。これトイレするの嫌だなあ……。
すると、パタパタと足音が外からかすかに聞こえてくる。
「オトネ様。失礼いたします。おはようございます」
入ってきたのは獅子人のメイド達だった。
「おはようございます……」
何しに来たんだろう。あいさつを返したのはいいけどメイド達は何かをする様子は見られない。さっきとは違う人達とはいえ、あんなに気の利いた動きをしていただけに、だんだんと苛立ってくる。
「あの、何しに来たんですか?」
「まだ眠たそうでしたので……このままこちらでゆっくりしていかれますか? それともシャワーを浴びられますか?」
「もうこんな場所いたくない!」
感情が爆発した。メイドの人達はびくりと肩を震わせるが微動だにしない。
「もう、元の世界に戻らせてよ! 元の世界に帰りたい!」
「お、オトネ様……!」
「アルグレートに言ってよ! あんなに雑にされるならさっさと元の世界に戻らせてよって!」
元の世界に戻りたい。その言葉をぶつけてもメイドは何もできずにうろたえるだけ。
「言いに行きなさいよ! 誰か!」
「あっ、そ、その……」
もういいや……何もかもどうでもよくなってきた
「……もういい。部屋に帰りません……怒鳴っしまってすみませんでした」
ランジェリー姿の私は重い足取りのまま、メイド達とともに自室に戻り、シャワーを浴びてドレスに着替えた。
「朝食をお持ちしました」
朝食は丸いパンに分厚いベーコンを焼いたものとオレンジ色のドレッシングがかかったキャベツとにんじんのサラダ。どれも美味しいけど、今は食事を楽しめるメンタルではない。
「また、ランチをお持ちします」
ここでメイド達は部屋から去り、部屋には私だけになる。
「何をしようか……アルグレートはこっち来ないし」
こちらから会いに行くのは、なんだか負けたみたいだから嫌だしなぁ……。
「本当に私、子作りの為だけの存在なんだ」
そう考えると、納得感とともに寂しさが胸に訪れる。
でもここにずっといてもこのままアルグレートの雑な扱いに、子作りするだけの存在になり果てるなんて嫌だという感情も湧いてくるのだ。
「……出て行っちゃおうか」
もしかしたら、魔法が使える人に聞いてみたら私を元の世界に戻してくれるんじゃない? なら、こんな屋敷出るに限る。
「……よし」
私はドレスを脱ぎ、召喚された時に着ていた私服に身を通す。こっちの方が動きやすいしね。
「バッグ……」
バッグを持ち、ガラス窓を全開にして外に出た。あとはどこに行こう……まずは街へ行った方がいいかな?
私はとにかく前を向いて走る。今の所誰かが追いかけてくるような気配は感じられない。でも外の景色は中々変わり映えしないでいる。
「私は……元の世界に戻るんだ……! アルグレートとか大嫌い!」
とにかく走れ、走れ! と自分を奮い立たせていると、後ろから何やら馬車みたいな音が聞こえてきた。
「あれは……」
藁を積んだユニコーンの馬車だ。御者を務めているのはロバの耳を生やしたおじいさん。関係者じゃないならこの馬車に相乗りしちゃおうか……。
「あの、すみません。こちらどちらに行かれますか?」
「おお……帝都に向かう予定じゃが……」
「乗せてください! お願いします……!」
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