196 / 239
第七章 忍び寄る悪夢
196.予兆
しおりを挟む
【185.誘惑】から続く物語が、ついに主人公側の物語と合流……
第048日―1
泣きじゃくるハーミルの背を撫ぜ続ける僕の耳元に、シャナの囁き声が届けられた。
『救世主、この方々は?』
『僕の世界の知り合いの人達だよ。シャナにも紹介しないと……』
しかし僕が実際に口を開く前に、シャナが再び囁き声を届けてきた。
『待って、救世主。確認だけど、この世界では、あの魔神と化した女神との最後の戦いは伝わっていない?』
『僕が知る限りでは、そのはずだよ』
『伝わっていないのには、理由があるはず。状況が分かるまで、あの世界での詳細を、この世界の人々に伝えない方が良い。私が今からする説明に、救世主も話を合わせて欲しい』
『伝わっていないのは、僕が審判の力を使ったせいじゃないかな?』
審判の力。
対象の名前を奪い、その存在を消去する力。
魔神と化した女神を封印する最後の瞬間に、僕はその力を使用した。
だからあの戦いの詳細は、あれから数千年経過した延長線上にあるこの世界に伝わらなかったのでは?
僕から話を聞いた『彼女』もまた、そう推測していたし。
しかしシャナは僕と『彼女』の推測に疑問を呈してきた。
『ならば、私が覚えているのはなぜ?』
『!』
言われてみれば、実際に封印を行った僕、そして女神からその力を奪い、封印の要となった『彼女』はともかく、シャナが覚えているのは少し不自然な感じもする。
まあシャナの場合、 “視界が真っ白に染まる”混沌の瞬間に数千年の時を超えて、僕に『彼方の地』へと召喚されてしまった、という特殊な事情が関係しているとも解釈出来そうだけど。
『とにかく私に任せて』
シャナはそう囁きを届けてきた後、イクタスさん達に声を掛けた。
「初めまして。私の名前はシャナ。あなたがたは?」
「シャナ殿。わしはイクタスと申す者。我等のよく知るそこのカケルが、謎の禁呪で異なる世界に拉致されてしまいましてな。我等はその手掛かりを求めて、この地への扉を開いたのじゃが……」
言葉を返しながら、イクタスさんは、シャナに探るような視線を向けてきた。
「失礼ですが、シャナ殿はこの『彼方の地』の住民ですかな? カケルとは、どういう経緯で一緒に?」
「私はこの地の住民ではありません。彼とは、私が住んでいた世界で出会ったのですが、気付くとこの地に転移していました」
「気付いたら?」
「はい」
「順を追って説明して頂ければ、有り難いのじゃが」
「私は元々、湖畔の静かな村で暮らしていました。数日前、村外の森でカケルが倒れているのを見つけて、村に連れて帰りました。彼はその時点で、それまでの記憶を全て無くしていました」
シャナの話を聞いていた僕は、心の中で苦笑した。
どうやらシャナの話の流れでは、僕は記憶喪失者という事になるらしい。
「二三日一緒に暮らしている内に、彼の記憶は徐々に戻ってきました。そして思い出した事を語ってくれました。しかし私達の世界に来てから、私とあの森で出会うまでの記憶は、いまだ戻っていないようです」
僕の腕の中でシャナの話を聞いていたらしいハーミルが、心配そうに顔を見上げてきた。
「カケル、そうなの?」
とりあえず、話を合わせるとして……
「うん、まあ、そんな感じかな」
「連れ去られる直前の事は? あの南海の船上での出来事は?」
「それは勿論、覚えているよ」
返事をしてから、僕はシャナの方をちらっと見た。
シャナから、特段の反応が無い所を見ると、僕の“記憶喪失”は、あちらの世界に召喚された後、シャナに出会うまでの期間限定、という設定で合っているようだ。
シャナが言葉を続けた。
「そんなある日、私とカケルが村の近くの森を歩いていると、突然視界が真っ白に染まり、気付いたらこの地にいました」
「なるほど……」
話を聞き終えたイクタスさんが、改めて僕に問い掛けてきた。
「カケル。連れ去られた先の世界で、おぬしの召喚者には会わなかったのか?」
「すみません、ちょっと記憶に靄がかかったみたいになっていまして……」
「そうか……」
それっきり、イクタスさんは自分の右耳を触りながら、じっと黙り込んでしまった。
ハーミルが再び口を開いた。
「カケル。あっちで霊力使って戻って来ようって試したりしなかったの?」
「やってみたんだけどね。いつかみたいに気絶しちゃった」
僕はシャナを元の世界に返そうとして気絶した事を踏まえ、そう言葉を返した。
元々、あの世界とこの世界の間を、単純に霊力のみで行き来するのは、不可能なのかもしれない。
シャナが、イクタスさんに問い掛けた。
「ここは『彼方の地』という場所なのですね?」
「我等はそう呼んでおります」
「どういった場所なのでしょうか?」
イクタスさんはシャナに視線を合わせたまま、しばらく何かを考える雰囲気になった。
そして言葉を選ぶ感じで返事した。
「わしが知るのは、霊力が満ち、霊晶石が存在する地。守護者がかつて存在した地、といったところですじゃ」
「それ以外に何かご存知ですか?」
「申し訳ござらん。実は、わしもこの地を訪れたのは17年ぶり。そんなにこの地に詳しいわけでもござらん」
「分かりました。ありがとうございます」
シャナはイクタスさんに、丁寧に頭を下げた。
二人の話が一段落したところで、僕はさっきから気になっていた事を、イクタスさんに聞いてみた。
「イクタスさん。どうやって『彼方の地』への扉を開いたのですか?」
「実は、とある筋からの情報で、サツキの別人格がこの地にいるかもしれない、と知ってな。おぬしの救出のため、霊力をいまだ保持しているであろう、彼女の助力を得ようと考えたのじゃ。そこで、ノルン殿下にご協力頂き、選定の神殿奥、始原の地の祭壇の封印を解いた、というわけじゃ。因みにこの地の強い霊力が、宝珠の顕現者にいかなる影響を与えるか不確実な要素もあるので、ノルン殿下には、外でお待ち頂いておる」
ノルン殿下まで協力して下さっているとなると、もしかして僕を助けようと、思った以上に大勢の人々が動いてくれたのかもしれない。
今更ながら、申し訳ない気持ちで一杯になった。
そんな僕の心の内を知る由も無いであろうイクタスさんが、言葉を続けた。
「カケルはこの地で、サツキの別人格に出会いはしなかったかな?」
僕は言葉を返す代わりに、シャナの方に視線を向けた。
シャナが僕に代わって、イクタスさんの問いに答えてくれた。
「この地では、どなたともお会いしておりません。因みにその方は、どういったお方でしょうか?」
「申し訳ござらん。我等が知るのは、この地にそうした存在がいるかもしれない、との情報のみですじゃ」
「そうですか……」
そう言葉を返しつつ、シャナは少し思案顔になった。
イクタスさんが話題を変えてきた。
「ともかくカケルが無事で何よりじゃ。外で待つ皆にも知らせねばならぬ。シャナ殿も、とりあえずは一緒に参りませんか?」
「ありがとうございます。ご一緒させて下さい」
イクタスさんに連れられて、『彼方の地』と外界とを繋ぐ“扉”を潜り抜けた先では、さらに大勢の人々が、僕達を出迎えてくれた。
勇者であるナイアさんやアレル達のパーティー、そしてノルン様、ガスリンさん、さらには、いつも通り(?)に透明になる加護がかかった装備を頭からすっぽり被り、こちらに背を向けているレルムスの姿も。
歓声を上げ、帰還を祝ってくれる皆に感謝の言葉を返していると、突然誰かが胸の中に飛び込んできた。
「メイ!?」
メイは僕の胸元に顔をうずめたまま、小さな子供のように泣き出した。
僕は彼女を優しく抱きしめ、頭を撫ぜながら、そっと囁いた。
「ごめんね。心細い思いをさせちゃって」
メイは僕を信じてくれたからこそ、父である魔王エンリルの陣営を離れた。
あの時、僕はメイを一生かけても守っていくと誓った。
それなのに、16日間――僕の記憶上では――もこの世界を留守にしてしまった。
メイが顔を上げた。
「いいの。カケルがこうして戻って来てくれた。私はそれだけで……」
彼女の顔は少し上気し、その瞳はまだ潤んでいた。
と、メイがふいに目を閉じて背伸びをした。
自然、メイの顔が僕の顔に近付いて来る。
「えっ? えっ?」
戸惑う僕の唇に、メイの唇が重なる寸前、その間に一本の剣が差し込まれた。
あれ?
これって少し前にも同じような事無かったっけ?
僕の思索を遮るように、鋭い声が飛んだ。
「はい、お二人さん、そこまでよ!」
「ハーミル?」
剣を差し込んできたのはハーミルだった。
彼女はそのまま、手際よく僕からメイを引き離すと、メイの方にずいっと顔を近付けた。
「ちょっと、メイ! 今回は仕方ないなって大目に見ていたら、どさくさまぎれに何してんの?」
「チッ」
「今、舌打ちしたよね? したよね?」
「してない。ハーミルこそ、ここで剣を取り出すなんて、もう少し空気を読んで欲しい」
「空気読んだから、剣が出たんですけど?」
僕は二人の会話に思わず噴き出した。
ハーミルが、僕の方をジロリと睨んだ。
「ちょっと! 笑う所じゃないわよ?」
「ごめんごめん。いや、なんか、ハーミルらしいなって」
「それ、どういう意味?」
「長い間、皆に会えなかったからさ。変わらないハーミル見て、ホッとしたっていうか」
「そ、そう?」
賑やかに盛り上がる集団から少し離れた場所に、ジュノは一人立っていた。
手の中には、先程『彼方の地』で拾った“黒い霊晶石”が握りしめられていた。
その“黒い霊晶石”が、ジュノにそっと囁きかけてきた。
―――力が欲しいのであろう? 全てに勝利し、従える力が。ならば私がその望みをかなえてやろう……
第048日―1
泣きじゃくるハーミルの背を撫ぜ続ける僕の耳元に、シャナの囁き声が届けられた。
『救世主、この方々は?』
『僕の世界の知り合いの人達だよ。シャナにも紹介しないと……』
しかし僕が実際に口を開く前に、シャナが再び囁き声を届けてきた。
『待って、救世主。確認だけど、この世界では、あの魔神と化した女神との最後の戦いは伝わっていない?』
『僕が知る限りでは、そのはずだよ』
『伝わっていないのには、理由があるはず。状況が分かるまで、あの世界での詳細を、この世界の人々に伝えない方が良い。私が今からする説明に、救世主も話を合わせて欲しい』
『伝わっていないのは、僕が審判の力を使ったせいじゃないかな?』
審判の力。
対象の名前を奪い、その存在を消去する力。
魔神と化した女神を封印する最後の瞬間に、僕はその力を使用した。
だからあの戦いの詳細は、あれから数千年経過した延長線上にあるこの世界に伝わらなかったのでは?
僕から話を聞いた『彼女』もまた、そう推測していたし。
しかしシャナは僕と『彼女』の推測に疑問を呈してきた。
『ならば、私が覚えているのはなぜ?』
『!』
言われてみれば、実際に封印を行った僕、そして女神からその力を奪い、封印の要となった『彼女』はともかく、シャナが覚えているのは少し不自然な感じもする。
まあシャナの場合、 “視界が真っ白に染まる”混沌の瞬間に数千年の時を超えて、僕に『彼方の地』へと召喚されてしまった、という特殊な事情が関係しているとも解釈出来そうだけど。
『とにかく私に任せて』
シャナはそう囁きを届けてきた後、イクタスさん達に声を掛けた。
「初めまして。私の名前はシャナ。あなたがたは?」
「シャナ殿。わしはイクタスと申す者。我等のよく知るそこのカケルが、謎の禁呪で異なる世界に拉致されてしまいましてな。我等はその手掛かりを求めて、この地への扉を開いたのじゃが……」
言葉を返しながら、イクタスさんは、シャナに探るような視線を向けてきた。
「失礼ですが、シャナ殿はこの『彼方の地』の住民ですかな? カケルとは、どういう経緯で一緒に?」
「私はこの地の住民ではありません。彼とは、私が住んでいた世界で出会ったのですが、気付くとこの地に転移していました」
「気付いたら?」
「はい」
「順を追って説明して頂ければ、有り難いのじゃが」
「私は元々、湖畔の静かな村で暮らしていました。数日前、村外の森でカケルが倒れているのを見つけて、村に連れて帰りました。彼はその時点で、それまでの記憶を全て無くしていました」
シャナの話を聞いていた僕は、心の中で苦笑した。
どうやらシャナの話の流れでは、僕は記憶喪失者という事になるらしい。
「二三日一緒に暮らしている内に、彼の記憶は徐々に戻ってきました。そして思い出した事を語ってくれました。しかし私達の世界に来てから、私とあの森で出会うまでの記憶は、いまだ戻っていないようです」
僕の腕の中でシャナの話を聞いていたらしいハーミルが、心配そうに顔を見上げてきた。
「カケル、そうなの?」
とりあえず、話を合わせるとして……
「うん、まあ、そんな感じかな」
「連れ去られる直前の事は? あの南海の船上での出来事は?」
「それは勿論、覚えているよ」
返事をしてから、僕はシャナの方をちらっと見た。
シャナから、特段の反応が無い所を見ると、僕の“記憶喪失”は、あちらの世界に召喚された後、シャナに出会うまでの期間限定、という設定で合っているようだ。
シャナが言葉を続けた。
「そんなある日、私とカケルが村の近くの森を歩いていると、突然視界が真っ白に染まり、気付いたらこの地にいました」
「なるほど……」
話を聞き終えたイクタスさんが、改めて僕に問い掛けてきた。
「カケル。連れ去られた先の世界で、おぬしの召喚者には会わなかったのか?」
「すみません、ちょっと記憶に靄がかかったみたいになっていまして……」
「そうか……」
それっきり、イクタスさんは自分の右耳を触りながら、じっと黙り込んでしまった。
ハーミルが再び口を開いた。
「カケル。あっちで霊力使って戻って来ようって試したりしなかったの?」
「やってみたんだけどね。いつかみたいに気絶しちゃった」
僕はシャナを元の世界に返そうとして気絶した事を踏まえ、そう言葉を返した。
元々、あの世界とこの世界の間を、単純に霊力のみで行き来するのは、不可能なのかもしれない。
シャナが、イクタスさんに問い掛けた。
「ここは『彼方の地』という場所なのですね?」
「我等はそう呼んでおります」
「どういった場所なのでしょうか?」
イクタスさんはシャナに視線を合わせたまま、しばらく何かを考える雰囲気になった。
そして言葉を選ぶ感じで返事した。
「わしが知るのは、霊力が満ち、霊晶石が存在する地。守護者がかつて存在した地、といったところですじゃ」
「それ以外に何かご存知ですか?」
「申し訳ござらん。実は、わしもこの地を訪れたのは17年ぶり。そんなにこの地に詳しいわけでもござらん」
「分かりました。ありがとうございます」
シャナはイクタスさんに、丁寧に頭を下げた。
二人の話が一段落したところで、僕はさっきから気になっていた事を、イクタスさんに聞いてみた。
「イクタスさん。どうやって『彼方の地』への扉を開いたのですか?」
「実は、とある筋からの情報で、サツキの別人格がこの地にいるかもしれない、と知ってな。おぬしの救出のため、霊力をいまだ保持しているであろう、彼女の助力を得ようと考えたのじゃ。そこで、ノルン殿下にご協力頂き、選定の神殿奥、始原の地の祭壇の封印を解いた、というわけじゃ。因みにこの地の強い霊力が、宝珠の顕現者にいかなる影響を与えるか不確実な要素もあるので、ノルン殿下には、外でお待ち頂いておる」
ノルン殿下まで協力して下さっているとなると、もしかして僕を助けようと、思った以上に大勢の人々が動いてくれたのかもしれない。
今更ながら、申し訳ない気持ちで一杯になった。
そんな僕の心の内を知る由も無いであろうイクタスさんが、言葉を続けた。
「カケルはこの地で、サツキの別人格に出会いはしなかったかな?」
僕は言葉を返す代わりに、シャナの方に視線を向けた。
シャナが僕に代わって、イクタスさんの問いに答えてくれた。
「この地では、どなたともお会いしておりません。因みにその方は、どういったお方でしょうか?」
「申し訳ござらん。我等が知るのは、この地にそうした存在がいるかもしれない、との情報のみですじゃ」
「そうですか……」
そう言葉を返しつつ、シャナは少し思案顔になった。
イクタスさんが話題を変えてきた。
「ともかくカケルが無事で何よりじゃ。外で待つ皆にも知らせねばならぬ。シャナ殿も、とりあえずは一緒に参りませんか?」
「ありがとうございます。ご一緒させて下さい」
イクタスさんに連れられて、『彼方の地』と外界とを繋ぐ“扉”を潜り抜けた先では、さらに大勢の人々が、僕達を出迎えてくれた。
勇者であるナイアさんやアレル達のパーティー、そしてノルン様、ガスリンさん、さらには、いつも通り(?)に透明になる加護がかかった装備を頭からすっぽり被り、こちらに背を向けているレルムスの姿も。
歓声を上げ、帰還を祝ってくれる皆に感謝の言葉を返していると、突然誰かが胸の中に飛び込んできた。
「メイ!?」
メイは僕の胸元に顔をうずめたまま、小さな子供のように泣き出した。
僕は彼女を優しく抱きしめ、頭を撫ぜながら、そっと囁いた。
「ごめんね。心細い思いをさせちゃって」
メイは僕を信じてくれたからこそ、父である魔王エンリルの陣営を離れた。
あの時、僕はメイを一生かけても守っていくと誓った。
それなのに、16日間――僕の記憶上では――もこの世界を留守にしてしまった。
メイが顔を上げた。
「いいの。カケルがこうして戻って来てくれた。私はそれだけで……」
彼女の顔は少し上気し、その瞳はまだ潤んでいた。
と、メイがふいに目を閉じて背伸びをした。
自然、メイの顔が僕の顔に近付いて来る。
「えっ? えっ?」
戸惑う僕の唇に、メイの唇が重なる寸前、その間に一本の剣が差し込まれた。
あれ?
これって少し前にも同じような事無かったっけ?
僕の思索を遮るように、鋭い声が飛んだ。
「はい、お二人さん、そこまでよ!」
「ハーミル?」
剣を差し込んできたのはハーミルだった。
彼女はそのまま、手際よく僕からメイを引き離すと、メイの方にずいっと顔を近付けた。
「ちょっと、メイ! 今回は仕方ないなって大目に見ていたら、どさくさまぎれに何してんの?」
「チッ」
「今、舌打ちしたよね? したよね?」
「してない。ハーミルこそ、ここで剣を取り出すなんて、もう少し空気を読んで欲しい」
「空気読んだから、剣が出たんですけど?」
僕は二人の会話に思わず噴き出した。
ハーミルが、僕の方をジロリと睨んだ。
「ちょっと! 笑う所じゃないわよ?」
「ごめんごめん。いや、なんか、ハーミルらしいなって」
「それ、どういう意味?」
「長い間、皆に会えなかったからさ。変わらないハーミル見て、ホッとしたっていうか」
「そ、そう?」
賑やかに盛り上がる集団から少し離れた場所に、ジュノは一人立っていた。
手の中には、先程『彼方の地』で拾った“黒い霊晶石”が握りしめられていた。
その“黒い霊晶石”が、ジュノにそっと囁きかけてきた。
―――力が欲しいのであろう? 全てに勝利し、従える力が。ならば私がその望みをかなえてやろう……
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる