神様になったTS妖狐はのんびり生活したい~もふもふ妖狐になった新人神様は美少女となって便利な生活のため異世界と日本を往復する~

じゃくまる

文字の大きさ
51 / 180

第51話 料理上手なフェアリーノームのアキさん

しおりを挟む
 新たに加わった10人の妖狐族の少女たちの部屋割りを早々に終え、みんなで夕食を食べる。
 今回の調理担当は【アキ】と名付けたこげ茶色の髪のフェアリーノームだ。
 実はボクの家にいるフェアリーノームの中でも、【アキ】は一番料理が得意らしくお菓子作りにも精通しているのだという。
 とはいえ、うちではボクも含めてみんなでローテーションしているので毎日【アキ】が作るわけではないのだけど……。

 ちなみに料理が苦手なのはマルムさんとセリアさんの人狼チームだ。
 得意料理はなんと焼肉と茹で肉という悪夢が蘇るような組み合わせだった。
 茹でた後にしっかり味付けしてくれればまだいいものの、茹で肉と塩のみという大雑把な味付けには大変困惑したものだ。

「アキさん、料理上手ですね」
 アキが作ったローストビーフを食べながらマルムさんはそう語る。

「ごめんなさい。私がしっかりしていれば茹で肉なんて作らせなかったものを~……」
 セリアさんは涙ながらにそう言う。
 でも、そんなセリアさんの手料理がまさか焼いた肉に塩だけをかけたものだとは誰も思うまい。
 二人ともどっちもどっちだと思います。
 美人さんなのにとっても残念です……。

 そんな人狼二人組だが、二人にはこんな違いがある。
 まずマルムさんは一人称が【あたし】できっちりしたしゃべり方をする。
 粗暴に感じる時もあれば堅苦しめに感じるときがあるものの、結構まじめな女性だ。

 それに対してセリアさんは一人称が【私】で少し女性的な話し方をしたり語尾を伸ばすこともある。
 時々ふわふわしたように感じることもあるけど、マルムさんと同じく真面目で頼れる女性だ。
 相性のいいコンビなようで、それなりに長く二人でやってきたのだとか。
 ちょっと羨ましい。
 
「あたしはセリアの塩焼肉もどうかと思うけど……」
 塩茹で肉のマルムさんでも塩焼肉には耐えられなかったようだ。

「え? そうかしら? 塩だってしっかりかけているでしょ?」
 すかさずセリアさんが反論するものの、ボクにはどっちもどっちにしか思えない。

「塩かけてるっていったって、少しだけをぱらぱら~っとでしょ?」
 負けじと言い返すマルムさん。
 だが当然セリアさんも負けていない。

「しょうがないじゃない。塩だって高いのよ? 最低限の塩味をつけて節約していかないと……」
 そう言いながらセリアさんは身に着けているポーチから塩の塊を1つ取り出す。
 見た感じ岩塩のかけらのように見える。大きさは大体拳の1/3くらいだろうか。

「これ1つで5000クレムもしたんですからね」
 ボクには塩の相場はわからないけど、それほど大きくない割に宿代より高いということだけはわかった。

「そういえばこの家には香辛料多い気がするわね。遥様、どこで仕入れたんですか?」
「あー。この家の香辛料関係はミレたちが揃えてるんです。ミレたちの世界で採れるものなので、ボクには値段はわかりません」
 ちなみに、食材関係もミレたちが揃えている。
 お肉類はボクも協力して集めているけど、野菜類はまだ収穫できていないのだ。
 一応簡単な畑はこの近辺にも作っているようだけど、定住するかは決めていないので耕作範囲を広げるのも変な気がする……。
 
「そうなんですか? 意外と香辛料の種類はどこの世界も変わらないのかもしれませんね~」
 自分の知らない話を聞けてセリアさんはとても嬉しそうだった。
 
「私たちの妖都も同じような香辛料はありますね。特に多いのは塩ですけど」
「妖都は国いくつかあるんですか?」
 ボクは武蔵国のことは妖都伏見しか知らないので少し興味がある。

「国自体は武蔵しかありません。ですがそれぞれの地方を国主たちが治めているので、大きな国の中に小さな国がいくつもある形になります」
「へぇ~。すごいですね」
 まるで日本の戦国時代のようだ。

「大きな国の主権をめぐって全国で争いになったりはしないのですか?」
 マルムさんが興味深そうに話に参加してきた。
 もしかするとマルムさんたちの故郷にも似たようなものがあるのかもしれない。

「国家元首は状況に応じて変わりますが奉戴する神は変わりません。例えばですが、それぞれの地方を平定した後、その連合軍と中央の国家元首軍が対決した結果、国家元首を打倒したとすると国家元首が変わります」
「それはなんというか、すごいですね」
 いわゆる天下統一といった感じになるようだ。
 
「なかなか面白いですね。この国にも領地制度はありますけど、国家元首? のようなものはありませんから」
「全部王室で事足りてますからね~」
「ちなみに、フェアリーノームの場合は取り纏める女王と各氏族の代表で運営されているそうです」
 これはミレから聞いた情報なので間違いない。

「えっ。フェアリーノームってそういう生態なんですか?」
「誰も研究できないから知らないって言われていたのに、こんなところで判明するなんて……」
「ミレさんたちは遥様にしか話しませんからね」
 驚くマルムさんたちと補足する千早さん、それに肯定して頷くミレという構図が出来上がっていた。

 ちなみに、ほかの妖狐族の子たちはアキたちと一緒に楽しそうに食べていたので、ボクも食べ終わってから彼女たちに合流した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...