96 / 180
第96話 お、泳げない……
しおりを挟む
どこで用意したのやら、ボクには似合いそうにもない可愛らしい水着の数々。
というかそんなに用意しなくてもいいのでは? と思うくらいの量が用意されていた。
その数なんと10着。
全体的には一人当たり5~6着が用意されているようだが、ボクだけなぜか2倍の量が用意されていた。
結果として、次から次へと水着を身体に当てられ、ミレ先生と千早先生、そして瑞歌先生の3名によるジャッジが行われるにいたる。
なぜこの3人なのかはわからないけど、おそらくだが、それぞれの代表者といった感じなのだろう。
ミリアムさんはボクの後ろに控え、ジャッジのサポートをしていたし、ミレイさんに至っては妖狐化した姿でプールへと飛び込んでいくのが見えた。
瑞葉に至ってはボクの横で同じように水着を当てられている。
みんな自由すぎる!!
極端な凹凸のないボクたちの身体は何か引っかかるところがあるわけではない。
なので下だけ穿いていればいいんじゃないかと思うのだが、どうも上下セットでないといけないらしい。
ちなみに、元盗賊の新人妖狐たちはほかの先輩妖狐たちについて見習いをしているようだ。
彼女たちならどんな水着を選んだのだろう?
「ねぇミレ? 下だけで良くないですか?」
「だめです」
「あ、はい」
やっぱりどうあっても上も必要らしい。
そもそも今まで水着で上を付けることがなかったので、違和感しかないんですが……。
「く、くるしい……」
たとえ引っかかるところがなくとも、締め付けられると苦しい。
この言いようのない違和感はどうしたものだろうか……。
「慣れてないなら慣れてください。そうでなければ左右に分かれたものにしますよ?」
「そ、それだけはやめてください」
「ではこの一体型では?」
「それも嫌です!」
ワンピース型水着とかビキニなんてさすがに無理です。
勘弁してください。
「ではそのままで」
「ふぁい……」
なんとか妥協できたのは、上下に分かれたスポーツタイプの水着だった。
下はハーフパンツタイプとなっているので、見た目は完全に薄着といった感じだ。
まぁそのハーフパンツの中にはパンツのような水着がもう1枚入っているのだが……。
ちなみに色は白だ。
「ふぅ、何とか終わりました……。それにしても……」
ボクはミレたちを見る。
ミカとミナはボクと同じ水着を着ているが、ミレはワンピースタイプの競泳用水着を着ていたのだ。
瑞葉は水色のワンピースの可愛らしいものを、瑞歌さんとミリアムさんはビキニタイプの水着を着ていた。
うん、見事にツルペタばかりだ。
ただし、瑞歌さんとミリアムさんを除く。
「よし。とりあえずこれでいいですね」
服を着ていないと何となく心細いけど、気持ちを奮い立たせてゆっくりと浅めのプールへと入る。
「ひゃっ、冷たっ」
当たり前のことなのだが、やっぱり冷たいものは冷たい。
でもじっくり浸けていると、どことなく温かく感じる。
意外と温度は高めなのかな?
「ミレ、ここはしっぽ付けてもいいんですか?」
「はい、問題ありません。抜け毛があったら後程清掃の時に集めますので」
どうやら問題はないようなので、妖狐の姿になってプールで泳ぐことにする。
「あ、しっぽ、つめたい……」
当たり前のことなのだが、尻尾は温度に敏感だったようだ。
どうやら身体より感覚が鋭いのようだ。
「ふ、ふぅ。な、慣れてきました……」
誰に言うでもなくボクはそう独り言を言うと、尻尾を動かして進むか試してみる。
バチャバチャ。
そう音は鳴るものの、たいして進む気配もない。
というかむしろ、藻掻いている風ですらある。
「えー。もっとうまく進むと思ったんですけど……」
なんだかがっかりだ。
しょうがない、普通に泳ごうと思って前を見ると、泳いでいるミレ、ミカ、ミナが目に入った。
そんな3人は、並んで楽しそうに尻尾を動かしながら器用に泳いでいた。
ボクにはできないことが、あの3人にはできていたのだ。
「えっ」
さらに見てみれば、瑞葉も同じようにやっているではないか。
つまり、動けていないのはボクだけということになる。
「ちょっと待ちましょう。整理整理……」
そもそもボクはそこそこ泳げていたはずだ。
なので、この身体でも泳げるはず。
試したことはないけど。
出来ないのは尻尾推進だけなはずなのだ。
「よし、やりましょう」
いざ実践!!
「とう!」
水に浮く。
手を伸ばす。
足をバチャバチャと動かし、バタ足をさせる。
す、進まない……。
「は?」
仕方ないので平泳ぎに変更する。
スイースイーっといくはずなのだが、移動距離はちょっとだった。
でも、確かに少しだけ進んでいた。
導き出される結論は……。
「ボクのイメージと体の大きさが合ってないのですか?」
16歳の男子高校生だった時のボクと比べると、手は圧倒的に小さい。
はて、小学校低学年の時はどうしていたっけ?
ふと思い出す。
「あー。ビート板を使って一生懸命バタ足していましたっけ」
その時も大した距離は進んでいなかった記憶がある。
「もしかして今のボクは、瑞葉より不器用なのですか?」
衝撃だった。
今のボクは誰よりも不器用らしかった。
というかそんなに用意しなくてもいいのでは? と思うくらいの量が用意されていた。
その数なんと10着。
全体的には一人当たり5~6着が用意されているようだが、ボクだけなぜか2倍の量が用意されていた。
結果として、次から次へと水着を身体に当てられ、ミレ先生と千早先生、そして瑞歌先生の3名によるジャッジが行われるにいたる。
なぜこの3人なのかはわからないけど、おそらくだが、それぞれの代表者といった感じなのだろう。
ミリアムさんはボクの後ろに控え、ジャッジのサポートをしていたし、ミレイさんに至っては妖狐化した姿でプールへと飛び込んでいくのが見えた。
瑞葉に至ってはボクの横で同じように水着を当てられている。
みんな自由すぎる!!
極端な凹凸のないボクたちの身体は何か引っかかるところがあるわけではない。
なので下だけ穿いていればいいんじゃないかと思うのだが、どうも上下セットでないといけないらしい。
ちなみに、元盗賊の新人妖狐たちはほかの先輩妖狐たちについて見習いをしているようだ。
彼女たちならどんな水着を選んだのだろう?
「ねぇミレ? 下だけで良くないですか?」
「だめです」
「あ、はい」
やっぱりどうあっても上も必要らしい。
そもそも今まで水着で上を付けることがなかったので、違和感しかないんですが……。
「く、くるしい……」
たとえ引っかかるところがなくとも、締め付けられると苦しい。
この言いようのない違和感はどうしたものだろうか……。
「慣れてないなら慣れてください。そうでなければ左右に分かれたものにしますよ?」
「そ、それだけはやめてください」
「ではこの一体型では?」
「それも嫌です!」
ワンピース型水着とかビキニなんてさすがに無理です。
勘弁してください。
「ではそのままで」
「ふぁい……」
なんとか妥協できたのは、上下に分かれたスポーツタイプの水着だった。
下はハーフパンツタイプとなっているので、見た目は完全に薄着といった感じだ。
まぁそのハーフパンツの中にはパンツのような水着がもう1枚入っているのだが……。
ちなみに色は白だ。
「ふぅ、何とか終わりました……。それにしても……」
ボクはミレたちを見る。
ミカとミナはボクと同じ水着を着ているが、ミレはワンピースタイプの競泳用水着を着ていたのだ。
瑞葉は水色のワンピースの可愛らしいものを、瑞歌さんとミリアムさんはビキニタイプの水着を着ていた。
うん、見事にツルペタばかりだ。
ただし、瑞歌さんとミリアムさんを除く。
「よし。とりあえずこれでいいですね」
服を着ていないと何となく心細いけど、気持ちを奮い立たせてゆっくりと浅めのプールへと入る。
「ひゃっ、冷たっ」
当たり前のことなのだが、やっぱり冷たいものは冷たい。
でもじっくり浸けていると、どことなく温かく感じる。
意外と温度は高めなのかな?
「ミレ、ここはしっぽ付けてもいいんですか?」
「はい、問題ありません。抜け毛があったら後程清掃の時に集めますので」
どうやら問題はないようなので、妖狐の姿になってプールで泳ぐことにする。
「あ、しっぽ、つめたい……」
当たり前のことなのだが、尻尾は温度に敏感だったようだ。
どうやら身体より感覚が鋭いのようだ。
「ふ、ふぅ。な、慣れてきました……」
誰に言うでもなくボクはそう独り言を言うと、尻尾を動かして進むか試してみる。
バチャバチャ。
そう音は鳴るものの、たいして進む気配もない。
というかむしろ、藻掻いている風ですらある。
「えー。もっとうまく進むと思ったんですけど……」
なんだかがっかりだ。
しょうがない、普通に泳ごうと思って前を見ると、泳いでいるミレ、ミカ、ミナが目に入った。
そんな3人は、並んで楽しそうに尻尾を動かしながら器用に泳いでいた。
ボクにはできないことが、あの3人にはできていたのだ。
「えっ」
さらに見てみれば、瑞葉も同じようにやっているではないか。
つまり、動けていないのはボクだけということになる。
「ちょっと待ちましょう。整理整理……」
そもそもボクはそこそこ泳げていたはずだ。
なので、この身体でも泳げるはず。
試したことはないけど。
出来ないのは尻尾推進だけなはずなのだ。
「よし、やりましょう」
いざ実践!!
「とう!」
水に浮く。
手を伸ばす。
足をバチャバチャと動かし、バタ足をさせる。
す、進まない……。
「は?」
仕方ないので平泳ぎに変更する。
スイースイーっといくはずなのだが、移動距離はちょっとだった。
でも、確かに少しだけ進んでいた。
導き出される結論は……。
「ボクのイメージと体の大きさが合ってないのですか?」
16歳の男子高校生だった時のボクと比べると、手は圧倒的に小さい。
はて、小学校低学年の時はどうしていたっけ?
ふと思い出す。
「あー。ビート板を使って一生懸命バタ足していましたっけ」
その時も大した距離は進んでいなかった記憶がある。
「もしかして今のボクは、瑞葉より不器用なのですか?」
衝撃だった。
今のボクは誰よりも不器用らしかった。
0
あなたにおすすめの小説
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる