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第110話 妖都の生活
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諸問題はさておき、ボクは馬車から見える妖都の街並みを眺めることにした。
馬車は現在石畳の道を進んでいる。
両サイドには電気街灯と商店などが立ち並び、人が往来していた。
馬車は車道を通っているのだが、ここには人力車も通っている。
教科書で見る昔の日本のような雰囲気を感じる不思議な場所だった。
「遥さんは普段は妖都にはいないのですか?」
窓に張り付いて外を眺めていたボクに、通伸さんが声をかけてくる。
「はい。いつもは別のところにいます。こちらに来ても街を眺めることはありませんでしたし」
ボクには妖都以外にどんな都市があるかわからない。
でもいつかは見て回れたらなとは思う。
「ほう。いつもはどちらに?」
興味を引かれたのか、通伸さんがさらに尋ねてきた。
「そうですね。新規の開拓地といったところでしょうか。少しずつ建設作業が始まったのですが、最近は人が増えてきて物流も始まった感じで楽しくなってきたところです」
まだまだ新しい世界だけど成長していってます。
まぁほとんどおんぶにだっこ状態なのですが……。
「新規開拓地ということですか。武蔵国では聞いたことはありませんね」
伯爵家でも知らない情報があるようだ。
「そうですね~。まだ大っぴらにはできないので一部の人しか知らないかもしれません」
もし伯爵家の飛び地が欲しいなら今がチャンスですけどね。
「誰も知らない開拓地、それを知る妖狐族の少女。ふむ……」
どうやら情報収集をしていたようで、通伸さんは考え込んでしまった。
「考え込んでしまった通伸さんはさておき、当家も一枚嚙ませてくれないかしら」
「通伸おじさんを置いておいていいんですか?」
「構わないわ」
どうやら心優さんはボクたちの世界に絡んでくるつもりのようだ。
まぁ構わないんだけど。
「そうですね、諸条件は後程確認してください。それで問題がなければ領地をあげます」
「あら、いいの? ずいぶん太っ腹な決定に思えるのだけど」
即断したボクに心優さんは驚いた様子だった。
「はい。もともと誰もいない場所ですし、ボクが全責任者なので問題は起きないんです。それに妖種の入植は大歓迎ですから」
勧誘、というほどでもないが来たいならくればいいと思う。
なので特に拒否することもないのだ。
「あ、棒手売の人だ。すごい! 初めて見た!!」
馬車の外には、両端にたらいを吊るした棒を担いでいる人が何やら声を出しながら歩いている姿が見えた。
少し遠くてわからないが、豆腐とかお揚げっぽい? 一応、上を何かで覆っているので土埃は入っていない様子だ。
「とうふ~とうふ~」
「おぉ、豆腐屋さん!」
少し窓を開けるとそんな声が聞こえてきたので、ボクのテンションは爆上がりだった。
「お姉さん、何を見てるんですか?」
ボクの様子が気になったのか、ミユキさんが話しかけてくる。
「豆腐を売っている人がいたんです。斬新です。新鮮です」
斬新ではないけど、なんとなくそう言いたくなってしまった。
実際にこういった光景を見られるとは思わなかったからだ。
「お豆腐1丁くださいな」
「あいよ。お姉さん美人だからお揚げ1枚おまけだもってけ!」
「あらありがとう」
そんな会話が繰り広げられているのだが、その時気が付いてしまった。
棒手売りの人は男性で、買いに来た人は女性だ。
棒手売りの人は人間なのに、買いに来た人は妖狐族なのだ。
「人間と妖種が共存している?」
話には聞いていたが、本当にそうだとは思わなかった。
「そうだね。この国では人間も妖種も関係なく共存しているよ。ただ婚姻関連には少々高いハードルがあってね……」
「ふむむ」
通伸さんは若干言いにくそうにしているが何となく理解した。
今ちょうどナンパされている妖種女性がいるのだが、相手が人間の男性だとわかると怪しい微笑みを浮かべるだけ浮かべて相手を袖にしていたのだ。
どうやら恋愛の主導権は妖種女性にあるようだ。
「平等に見えて恋愛面では不平等なんですね」
「はは。そうかもしれないね。人間が悪いというわけではないのだが、寿命との兼ね合いもあってなかなか……」
妖種女性としては妖種男性が数少ないから集まっているだけで、男性ならどの種族でもいいというわけではないらしい。
これは男性間でのいじめの原因になりそうだと思った。
「恋愛関係は難しいですね」
ボクは思わずそんな感想を口にした。
「人間の議員さんもいますし、爵位持ちさんもいますけど、寿命の兼ね合いで話がころころ変わったりするそうで、なかなか折り合いがつかないそうなのです」
不意にミユキさんからそんな言葉が聞こえてきた。
「ミユキさん、博識ですね」
「勉強中なのです」
「えらいえらい」
「んふ~」
頭を撫でてあげると、嬉しそうに頭をぐりぐり擦り付け始めるミユキさん。
子供らしくてかわいらしい反応だ。
「あ、鍛冶屋さん」
「あれは店頭で実演している包丁鍛冶だね。仕事ぶりを見せて買ってもらおうという寸法なんだよ」
通伸さんの言葉を聞いてよく見てみる。
すると、鍛冶師の周辺には円状の何かが描かれており、そこより外に人が集まっている様子だった。
叩いている時も歓声が聞こえるが、水に入れた瞬間の歓声もすごかった。
一種のエンターテインメントとして確立しているようだった。
「参考になります」
妖都に来て、のんびり街並みを眺めていてよかったかもしれない。
ボクはそう思った。
馬車は現在石畳の道を進んでいる。
両サイドには電気街灯と商店などが立ち並び、人が往来していた。
馬車は車道を通っているのだが、ここには人力車も通っている。
教科書で見る昔の日本のような雰囲気を感じる不思議な場所だった。
「遥さんは普段は妖都にはいないのですか?」
窓に張り付いて外を眺めていたボクに、通伸さんが声をかけてくる。
「はい。いつもは別のところにいます。こちらに来ても街を眺めることはありませんでしたし」
ボクには妖都以外にどんな都市があるかわからない。
でもいつかは見て回れたらなとは思う。
「ほう。いつもはどちらに?」
興味を引かれたのか、通伸さんがさらに尋ねてきた。
「そうですね。新規の開拓地といったところでしょうか。少しずつ建設作業が始まったのですが、最近は人が増えてきて物流も始まった感じで楽しくなってきたところです」
まだまだ新しい世界だけど成長していってます。
まぁほとんどおんぶにだっこ状態なのですが……。
「新規開拓地ということですか。武蔵国では聞いたことはありませんね」
伯爵家でも知らない情報があるようだ。
「そうですね~。まだ大っぴらにはできないので一部の人しか知らないかもしれません」
もし伯爵家の飛び地が欲しいなら今がチャンスですけどね。
「誰も知らない開拓地、それを知る妖狐族の少女。ふむ……」
どうやら情報収集をしていたようで、通伸さんは考え込んでしまった。
「考え込んでしまった通伸さんはさておき、当家も一枚嚙ませてくれないかしら」
「通伸おじさんを置いておいていいんですか?」
「構わないわ」
どうやら心優さんはボクたちの世界に絡んでくるつもりのようだ。
まぁ構わないんだけど。
「そうですね、諸条件は後程確認してください。それで問題がなければ領地をあげます」
「あら、いいの? ずいぶん太っ腹な決定に思えるのだけど」
即断したボクに心優さんは驚いた様子だった。
「はい。もともと誰もいない場所ですし、ボクが全責任者なので問題は起きないんです。それに妖種の入植は大歓迎ですから」
勧誘、というほどでもないが来たいならくればいいと思う。
なので特に拒否することもないのだ。
「あ、棒手売の人だ。すごい! 初めて見た!!」
馬車の外には、両端にたらいを吊るした棒を担いでいる人が何やら声を出しながら歩いている姿が見えた。
少し遠くてわからないが、豆腐とかお揚げっぽい? 一応、上を何かで覆っているので土埃は入っていない様子だ。
「とうふ~とうふ~」
「おぉ、豆腐屋さん!」
少し窓を開けるとそんな声が聞こえてきたので、ボクのテンションは爆上がりだった。
「お姉さん、何を見てるんですか?」
ボクの様子が気になったのか、ミユキさんが話しかけてくる。
「豆腐を売っている人がいたんです。斬新です。新鮮です」
斬新ではないけど、なんとなくそう言いたくなってしまった。
実際にこういった光景を見られるとは思わなかったからだ。
「お豆腐1丁くださいな」
「あいよ。お姉さん美人だからお揚げ1枚おまけだもってけ!」
「あらありがとう」
そんな会話が繰り広げられているのだが、その時気が付いてしまった。
棒手売りの人は男性で、買いに来た人は女性だ。
棒手売りの人は人間なのに、買いに来た人は妖狐族なのだ。
「人間と妖種が共存している?」
話には聞いていたが、本当にそうだとは思わなかった。
「そうだね。この国では人間も妖種も関係なく共存しているよ。ただ婚姻関連には少々高いハードルがあってね……」
「ふむむ」
通伸さんは若干言いにくそうにしているが何となく理解した。
今ちょうどナンパされている妖種女性がいるのだが、相手が人間の男性だとわかると怪しい微笑みを浮かべるだけ浮かべて相手を袖にしていたのだ。
どうやら恋愛の主導権は妖種女性にあるようだ。
「平等に見えて恋愛面では不平等なんですね」
「はは。そうかもしれないね。人間が悪いというわけではないのだが、寿命との兼ね合いもあってなかなか……」
妖種女性としては妖種男性が数少ないから集まっているだけで、男性ならどの種族でもいいというわけではないらしい。
これは男性間でのいじめの原因になりそうだと思った。
「恋愛関係は難しいですね」
ボクは思わずそんな感想を口にした。
「人間の議員さんもいますし、爵位持ちさんもいますけど、寿命の兼ね合いで話がころころ変わったりするそうで、なかなか折り合いがつかないそうなのです」
不意にミユキさんからそんな言葉が聞こえてきた。
「ミユキさん、博識ですね」
「勉強中なのです」
「えらいえらい」
「んふ~」
頭を撫でてあげると、嬉しそうに頭をぐりぐり擦り付け始めるミユキさん。
子供らしくてかわいらしい反応だ。
「あ、鍛冶屋さん」
「あれは店頭で実演している包丁鍛冶だね。仕事ぶりを見せて買ってもらおうという寸法なんだよ」
通伸さんの言葉を聞いてよく見てみる。
すると、鍛冶師の周辺には円状の何かが描かれており、そこより外に人が集まっている様子だった。
叩いている時も歓声が聞こえるが、水に入れた瞬間の歓声もすごかった。
一種のエンターテインメントとして確立しているようだった。
「参考になります」
妖都に来て、のんびり街並みを眺めていてよかったかもしれない。
ボクはそう思った。
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