神様になったTS妖狐はのんびり生活したい~もふもふ妖狐になった新人神様は美少女となって便利な生活のため異世界と日本を往復する~

じゃくまる

文字の大きさ
121 / 180

第121話 出来上がったのは美少女妖狐フィギュアな聖像でした

しおりを挟む
 夕食も終わったあたりで、ほかのメンバーに何をしていたのか聞かれたので簡単に答えておいた。
 これから実験があると話すと、そのまま見送ってくれたのでソラとミレイさんを引き連れて実験場所へと戻る。

「さて、1時間くらい離れていましたけど、どうでしょうね」
 せめて素材1個分くらいは溜まっていてくれると嬉しい。

「どうでしょうか。早く溜まるならそれに越したことはないのですが」
 ソラも不安そうだ。
 ある程度収集効率が良くなるならうれしいけど、最初はあまり溜まらなかったので期待はできない。

「素材1つ作るだけでもかなりの時間がかかるものなのですね」
「ミレイさんはこういうの初めてですか?」
「お恥ずかしながら……」
 ミレイさんは恥ずかしそうにそう言う。
 箱入り娘の聖女様なだけあって、そういうところは知らなかったようだ。
 まぁボクも実際に作ったことがないので同じようなものだろうか。
 実際、一番最初の素材はソラたちが発見して集めたものだしね。

「ボクも実際に見たのは初めてですよ。普段は出来上がったものを扱ったりしているので」
「そうなのですか? よかった……」
「そんなに気にすることですか?」
「はい。新しい土地で色々なことをやらなければいけないのに、フェアリーノーム様や精霊様たちのお世話になってばかりでしたから……」
 どうやらミレイさんはボクと一緒でおんぶにだっこ状態になっていたのを恥ずかしく思っていたようだ。
 ちょっと仲間ができたと思ってしまったのは内緒だ。

 ボクたちが櫓まで戻ると月明かりの水差しがほのかに光っているのが見えた。
 もしかして溜まっているのだろうか?

 近づいてそっと中身を見てみると、そこにはおおよそ小さなコップ一杯分だろうか?
 そのくらいまで溜まった液体が存在していた。
 腕輪の時と違い、波打っているように見える。
 
「ほぇ~。これが……」
「不思議な液体です」
「なんでしょう。なんだかよくわからないですけど、すごいですね」
 ボクたちはその不思議な液体にしばし見とれていた。

「こほん。とりあえず星光結晶を外して出来た分だけ回収しましょう」
 月明かりの水差しの注ぎ口の部分から杯に移す。
 こうしてみると、まるで輝く水のようだ。
 そのまま調べてみると、【月の雫】という名前が表示された。

「やった! 【月の雫】ゲットです!!」
「おめでとうございます~」
「おめでとうございます」
 これでやっと聖像を作ることができる。

「じゃあ手作りじゃないですけど、集めた素材とボクの犠牲でさくっと作っちゃいますね」
 今回必要な素材は【上質な妖精銀】【液体エーテル】【妖狐の毛】【月の雫】の4つだ。
 液体系2種は力の関連だと思われ、上質な妖精銀は素体を作るものだと思われる。
 そして最後の1つである妖狐の毛は文字通りボクが犠牲にならなければいけないコンテンツだろう。

「うへぇ~……。抜け毛でないかなぁ……」
 自分の尻尾を撫でさすりながら毛が抜けないかチャレンジしてみた。
 結果、髪の毛と違って抜けた毛は1つもなかったのだ。
 残念ながらボクの尻尾の毛はしっかりしているようだった。

「尻尾の毛、抜けませんね……」
 何度かチャレンジしていると、「あの」という声が聞こえてきた。
 声のするほうを見てみると、ソラが何か言いたげにしている。

「ソラ、どうかしたんですか?」
「あ、はい。尻尾の毛が抜けにくいなら、抜けやすい毛を使ってはどうでしょう? 妖狐の毛というなら、髪の毛でもいいのでは?」
「あっ」
 言われてからそうだったと気づいてしまった。
 自分でもそう思ってたはずなのに、すっかり頭から抜け落ちていた。

「髪の毛はっと、よし、取れました」
 手櫛をすると簡単に抜けてしまう髪の毛さん、ちょっとヨワヨワじゃないですかね?

「ともかくこれらを【空間収納】に入れてっと。さぁ、【アイテムクリエイト】だ」
 早速素材をしまい込み、【アイテムクリエイト】を実行する。
 
 しばらくすると【運命と創造の女神像】が完成した。
 ボクの妖狐姿を模したこの聖像は淡い色使いでボクと同じ色が塗られている。
 白い肌にプラチナブロンドの髪。
 全体的に見ると色素薄めで構成されている。
 
 ちなみに、眼はなぜか左右で色が違い、赤と黒の2色になっていた。
 おそらくお婆様の影響だろう。
 つまり言い換えるならこれは、ボクとお婆様共通の像ということになるわけだ。
 でも、これだけ苦労して作ったのだから何か特別な効果はないものだろうか……。
 
【運命と創造の女神像】
 創造神の力を引き継いだ妖狐の少女の像。
 内包する創造の力と空間をも超える混沌の力を持ち合わせ、高位次元への足掛かりを得た新世界の創造神。
 この聖像は大いなる守りを与え、人心正しいときに攻められた場合には天軍を呼び寄せる。

 これがこの像に記載されていた説明だ。
 どうやらいつの間にか高位次元への足掛かりを得ていたらしい。
 本当にいつの間に……。

「ということで、この聖像をどうぞ。ミレイさん」
 ボクの像を渡すと、ミレイさんは驚き固まってしまった。

「あ、やっぱりこの像って、見た目変ですよね」
 固まってしまった理由は像の造形にあるのではないかと思ったのだ。
 なにせ自分で言うのもなんだけど、美少女妖狐フィギュアなのだ。
 あ、この像を見てたら久々に自撮りしたくなってきた。

「はっ、も、申し訳ありません。遥様。まさか主神からこのように直接下賜されるとは思っていませんでしたので……。本当に、本当にありがとうございます……!!」
 再起動したミレイさんは涙をぽろぽろ流しながらそう述べた。
 よかった、造形のせいで固まっていたわけじゃなかったんだね。

「うわぁ、羨ましいですね」
 そばで見ていたソラが羨ましそうに像を見ていたので、余っていた月光インゴットで作った簡単な像をプレゼントしてあげた。
 何やらそばに置いて寝ると回復効果があるらしい。

「あ、ありがとうございます!!」
 ソラはフェアリーノームらしく嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねる。
 ボクも喜んでもらえてうれしいです。

 ちなみになんでこれをミレイさんに渡さなかったのかというと、最初にこの簡易版の像が一覧に表示されていなかったからだ。
 どうやら苦労して作った後に開放されるようになっていたらしい。
 何とも面倒な仕掛けだ。

 そんなやり取りをしていると、櫓の昇降口の付近でガタッという音が聞こえた。
 見てみるとミカがわなわな震えながらボクたちのほうを指さしている。

「あれ? ミカ? どうしたんですか?」
 そう声を掛けると、ミカは大きな声でこう言った。

「ご主人が私たち以外の子にご自身の像あげてるううううう!?」
 その瞬間、複数の気配が櫓の下に集まってきたのを感じた。
 恐る恐る覗いてみると、ミレにミナ、シーラやアキたち、瑞歌さんに瑞葉、ついでにミユキさんと千早さんも集っているのが見えてしまった。
 
「あわわわわわ……」
 恐ろしい光景だった。
 全員眼をギラギラさせながら櫓の方を見つめているのだ。
 そして手を伸ばしている。
 ふいに昔聞いた蜘蛛の糸を思い出してしまった。
 そう、その光景はまるで地獄に落ちた亡者の妖。

「あっ、あっ、あっ……」
「どうしたんですか? 遥様……? ひぃっ!?」
 ボクのことを心配してくれたソラもその光景を見て驚いてしまった。

「わ、私は見ないことにしますね」
 ミレイさんは危険を察したのか、賢明な判断をして櫓の昇降口から離れて距離をとっていた。
 賢い。

「あ、えっと。1つずつ作るので、あとで配りますね?」
 恐る恐るそう言うと、みんながさっと解散していくのが見えた。
 そして残ったのはいつものメンバーとミユキさん。

「お姉さんの人形、楽しみにしてますね」
「あ、はい」
 ミユキさんはにっこり微笑みながらそう言うのだった。
 ちょっと怖い……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...