雑魚兎が貴族に飼われてもいいじゃない!?

べべ

文字の大きさ
11 / 47
幕間

幕間:一人と一匹の秘密

しおりを挟む
 
 魔物の朝ってのは、意外と早い。

 全身を包み込むふかふかの感触を腹回り以外で感じ取りながら、俺の意識は覚醒に向かっていく。
 うっすらと目を開ければ、本の積んである勉強机が目線の高さから目視でき、そこから見て左の壁にある窓から、朝日の光が漏れ出ていることがわかった。

 ここは、俺とテルム坊っちゃんの部屋。んで、坊っちゃんのベッドの上。意識がはっきりしていくに連れて、状況の確認を感覚器が伝えていくのが認識できる。
 本当ならばもう少し眠っていたいと思うが、どうにもホーンラビットの習性として、朝方から活動を始めるようにできているらしい。寝るのが好きな俺としては、この習性だけは如何ともし難いものがあった。

「…………フスッ」

 だからこそ、昼寝の時間が至高なのだが……まぁ、今は二度寝しようとしても気持ちよく寝れない感じだし、起きますかね。
 軽く体を動かすと、先程から腹回りに感じる固い感触がもぞもぞと動く。
 これももはや定番なのだが……寝起き特有の不機嫌な気持ちが、少し鬱陶しさを感じてしまう。

「……すぅ」

 体を動かし、横を見てみると、そこにはドアップで坊っちゃんの寝顔が存在していた。
 腹回りに感じるのは、坊っちゃんの腕である。坊っちゃんは、毎晩のように俺を抱いてから寝る癖があるわけだ。
 ぬいぐるみじゃねぇんだから、勘弁してほしいんだけどなぁ……。

「うぇへへ……」

 だらしなく口元を緩めて、よだれなんぞ垂らしてる坊っちゃん。こんな状態でもメッチャ可愛いってのが感想として出てくるんだから、美形ってずるい。
 だがまぁ、今の俺だって見た目はプリティ兎。寝顔のポテンシャルなら負けない自負があるぜ!

 ……この前昼寝中、ネアお母ちゃんに「時々痙攣して気持ち悪い」と言われた事は忘れよう。

「……ンッ、ンッ、フスッ」

 ひとまず、体をくねらせて坊っちゃんの腕から脱出を試みる。
 朝方の、割と早めな時間帯だ。坊っちゃんを起こすのは忍びない。
 それでもまぁ、使用人の方々や料理長なんかはもっと早く起きてるんだろうが、そこはそれ、給料もらってんだから当然だよなぁとサラリーマン時代の心境で物を見てしまうのはご愛嬌。

「ン~……! フシュッ」

 そんなこと考えてる内に、なんとか坊っちゃんの腕から開放されてベッドから降りる。
 しばらくそのままスヤスヤ寝てりゃあいい。子供は寝るのが仕事だ。

「すぅ、すぅ……」

 坊っちゃんの寝息を脇で聞きながら、これからの行動プランを練る。
 とりあえず、朝飯の後にはしばらく寝るとして……ふむ、朝飯以外にもなんか欲しい気分。厨房で野菜の切れ端なんて貰うかねぇ。
 坊っちゃんがいたんじゃ、ダイエットにならないとか言われて断られるしな。貰える時にもらわないとなっ。



    ◆  ◆  ◆



「~♪」

 ご満悦で二階の廊下を歩く。俺ってば、意外とメイドさん達に人気だったらしい。
 厨房から行って帰るまでの間でも、何人かのメイドさんに頭を撫でられたんで、人懐っこくじゃれておいた。こうもチヤホヤされると実に気分が良いもんだ。

(やけにお腹突かれたけどな……皆、やっぱりそういう目で見てんのか?)

 給仕の姉ちゃんなんか、いつも通りの無口無表情で執拗に腹を揉みしだいてきてたからな……鬼気迫るものを感じて、一切抵抗出来なかったぞ……。
 だが、そのかいあって少しながら野菜の切れ端をもらった俺は、給仕の姉ちゃんから逃げるようにこの階まで来たわけだ。

「……ンゥ?」

 そんな回想していると、ふと何かの気配を感じて立ち止まる。
 今通りかかってるのは……ゴウンのおっさんが仕事してる部屋じゃねぇか?
 まぁ、男爵ともなるお貴族様なら今の時間に仕事しててもおかしくはないんだが……。

「フスッ、フスッ」

 だがしかし、俺にはある予感があった。角で扉をコンコンと叩き、前足で擦る。ホントなら普通にジャンプして開けれるが、今それをしたら単なる押し入りだしな。礼儀は大事だろ。
 これからの事を考えると、特にな!

「んぅ? カクくんかい?」

 俺の行動に反応し、ドアを開いてくれたのは案の定おっさんだった。
 相変わらず丸っとしたボディが目につくお人だ。見た目のお人好し感に違わず、突然訪ねてきた俺を迎え入れてくれる。

 仕事部屋故に家具こそ少ないが、長い時間いても疲れないような地味目の装飾は落ち着けて好きな感じだ。
 仕事用の机と、応対用の机。お客側の視線に合わせるように、さり気なく飾られたほぼ唯一の装飾品。それはやや高そうな皿とグラスで、最低限の貴族の格を見せるような目論見で置かれてるんだとわかる。

「君がこの時間に私の部屋に来るなんて、珍しいねぇ。いつもなら厨房で目撃されるのに」

「フスッ」

 あ、そのルーチンワークはもう終わらせてきましたので。今は、別の物を狙っております。
 机の上には書類なんかがありそうだから、登る事はしないように気をつけつつ、俺は鼻をひくつかせる。
 ……どうやら、お目当ての物は机の引き出しにあるようだった。

「フスッ、フスッ」

「……ははぁ、そういう事だね? まったく君は鼻が効くなあ」

 俺が机を角でつつくと、おっさんは得心がいったとばかりに苦笑いしている。
 まるで、悪戯がバレた少年のような反応で少し可愛いじゃないか。おっさんだけど。

「ん~、君はテルムと念話が出来るし、この事をバラされても困るなぁ。……ようし、それじゃあお望み通り、取引といこうじゃないか」

「ンフ~」

 話が早いなおっさん! やっぱりアンタの事、嫌いじゃないぜっ。
 ご満悦な俺の反応を見て軽く頷いたおっさんは、一番大きな引き出しの鍵を取り出して中を開ける。
 そこには密封された箱が入っており、おっさんはそれを取り出して応対用の机の上に置いた。

「これには保存が効くように氷の魔法が付与されていてね、中が適温に保たれてるんだ。そこにあるお皿より高いんだよ?」

 元より皿の価値なんぞ俺にはわからんが、ようは小型の冷蔵庫ってことだろう? そりゃあ高いわ。この屋敷でさえ、食材の保存方法ってのは限られるんだから。
 そんな箱がここにあるって事は……つまり、この中に入ってるのは……わかるだろう?

「それじゃあ、御開帳」

 おっさんが、まるで宝箱を開けるようにゆっくりと蓋を持ち上げる。思わず脳内でゴマダレのテーマがエンドレスリピートされてしまう程の焦らしプレイじゃないかっ。
 早く、早くおくれっ! そう身を乗り出し、中を覗く。

「ははは、どうだい? 美味しそうだろう」

 そこには、薄くスライスされたチーズと、程よく冷えた果実酒が入っていた。
 隣村で育てられた家畜の乳から作られた、新鮮なチーズ。質の良さがひと目で分かるほどにきめ細かい断面図をしており、ほのかに光沢すら伺えると錯覚してしまう。

 果実酒は、この町で作られている銘柄なんだろう。なんの果物を使用しているかは知らんが、おっさんがこうして手元にキープして置きたいと思うくらいには良いもののハズだ。

「カクくんにお酒はダメだろうしなぁ。チーズだけで我慢して貰えるかな?」

「フシューッ? フシッ、フスッ」

「いやいや、だめだよ。角兎にお酒を飲ませたことなんて無いんだからね。テルムに怒られたくないんだ私は」

 むぅ、酒が飲めないのは残念だが、致し方ない。上物のチーズが食えるだけマシだと思って諦めよう。
 だが、いつか酒を飲むことは心に誓っておくからな!

「よしよし、それじゃあ朝食前の一つまみといこうか。いいかいカクくん、内緒だからね?」

「フスッ」

「ん、いい子だ」

 おっさんと俺は、まるで河川敷でエロ本を拾ったガキのように隅っこに縮こまり、チーズを分け合う。
 互いに一切れ。こういうのは貴重品だから多くねだってはいけないのだ。
 1人と1匹、顔を見合わせ、ニンマリと笑い合う。

「それじゃあ、いただきま~す」

「ンフーッ」

 もちゃりとした食感。ブワリと広がる芳醇な香り。
 あまり長く保存させていないんだろう。若いと思わせる爽やかな風味だ。
 良い乳を一から、ゆっくり丁寧に作られたのがわかる最高の一品。おっさんは若いのが好きみたいだが、これを熟成させたらば相当に酒に合うであろうことは間違いない。

「フゥ~……」

「おいひいねぇ」

 あっという間に食べてしまってはもったいない程の出来だ。何度も口内で転がし、風味と舌触りを堪能する。
 こんな美味いチーズが作れるんなら、ドリアなんぞ教えたら絶対に売れるだろうなぁ。まぁ、米作りが起動に乗るまでは名産にできなさそうだけど。

「う~ん、カクくんの手前飲むわけにはいかないんだけど、これだけで終わらせるのは勿体無いなぁ」

「フスッ、フスッ」

「うん? いいのかい?」

「ンフフ~」

 良いんだぞ、おっさん。
 こんな上等なチーズを食っといて、一杯引っ掛けないなんて勿体無いと思うのは俺も同じだ。
 その、チーズに合うように厳選したであろう果実酒で、チーズの旨味を全力で引き出すといいさ。

「いやぁ、ふふふ、カクくんは話がわかるなぁ~」

「フスッ」

 おっさん二人でわかり合い、頷き合う。種族を越えた友情を肌で感じずにはいられない、ハートフルな光景であると言えよう。

「では、お言葉に甘えて……」

「…………っ」

 そう、幸せな時間だった。
 そのはずだったのだ。

「っ!」

 俺が感じたのは、視線。
 まるで一切の感情を感じさせないような、深淵のごとき視線。
 俺達の行為が後ろめたいものであると、再認識させるには充分な威圧感がこもったそれを感じ、俺の体毛がブワリと逆立つ。

「ぅ……!」

 おっさんも何かを感じたのだろう。咄嗟に視線をドアに向け、その口元をひくつかせる。
 俺もまたドアに視線を向け……戦慄した。

「…………」

 俺たちが閉め忘れた、忘れてしまっていたドアの向こう。
 そこから、しっかりとこちらを覗いている、2つの眼(まなこ)。
 給仕の、姉ちゃんだった。

「……や、やぁ、おはよう」

「…………」

 おっさんのぎこちない挨拶に会釈を返し、姉ちゃんはまたジッと見つめてくる。
 これは、いけない。いけないパターンの奴だ。

「…………」

 姉ちゃんが、踵を返す。俺たちは、咄嗟に体を動かした。
 俺が姉ちゃんの進路を塞ぎ、おっさんがセクハラにならないよう声だけをかける。

「どどど、どうだね? 君も一切れ!」

「フシッ、フシッ!」

「…………」

 今姉ちゃんを逃がすのはマズイ! コイツはやる、やる奴だ!
 俺とおっさんは視線だけでわかり合い、姉ちゃんへの包囲網を狭めていく。
 さぁ、いくつだ、いくつ欲しい……!?

「…………」

「……よ……!」

「ンゥ……!?」

 4切れ、だとお……!?
 馬鹿な、ふざけるな、法外だ……!
 通るかよ、そんな理屈……!

「は、ははは、そう、だなぁ……?」

 おっさんが、ジェスチャーで「2」と示すも、姉ちゃんは「3」と切り返す。
 有利なのは姉ちゃん。それは変わらねぇ。
 だが……だが、俺にだって、切れるカードはあるんだぜ……!

「フシッ」
「…………!」

 俺は、腹をポンッと叩いて、姉ちゃんを見つめた。
 姉ちゃんの瞳が薄くなり、思考を巡らせる。

「か、カクくん……私の為に、そこまで……!」

 へへ、おっさんよ。
 ばれんじゃねぇ、ばれんじゃねぇぞ。
 だから、よ。
 またチーズ、食わせてくれよな……!

「…………」

 姉ちゃんは俺を抱き上げると、「1」と指を立ててくれた。
 おっさんが震える指で、一切れチーズを手渡して、この場は丸く収まる。

「……君のことは、忘れない……!」

「……フスゥ」

 そして俺は、姉ちゃんに連れられていく。
 敬礼するおっさんにサムズアップし、そのまま角を曲がっていく姿は……おそらく、シュールなものになっていたことだろう。

 その後、俺は給仕の姉ちゃんの部屋に連れ込まれ、約一時間もの間、姉ちゃんに腹を揉まれ続けたのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

処理中です...