知らない世界はお供にナビを

こう7

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街までの道のり

旅に戦いはつきもの

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朝がきた。

天気は良好。絶好の旅日和。相も変わらず身体の節々から歪なメロディーが流れる。

今日でこの川ともお別れ。
たった2日だけだったけど色んな思い出が生まれた。川魚の水死体や喜びの舞、素っ裸での水泳。誰にも見せれない思い出でいっぱいだ。
またいつか訪れるからね。


忘れ物が無いか確認してスタンガンを片手にここから去っていく。

なっちゃんこと光球を先頭について行く。なっちゃん曰くこの森を抜けるのに1、2日掛かるらしい。私達は朝一番に移動開始したから明日の昼には確実に道路へと出れるらしい。

歩くことしばらく、なっちゃんがふと急に止まった。
そして、私に指示を出してくる。

『ご主人様、こちらの草むらの前に先の尖った枝を数本刺して下さい。尖った方を上でお願い致します。そうです、しっかりと固定して下さい。』

言われるがままに枝を植えていく。
植え終わったらスタンガンを構えて待機するよう言われた。

『もうすぐ魔物が飛び出して来ます。刺さって悲鳴を上げているうちに落ち着いてスタンガンで息の根を止めましょう。』

そっか魔物かぁ…………魔物!?

いきなりのゴブリン戦以来の対決。
あまりにも淡々と言うから一瞬スルーしかけたよ。
ドキドキが止まらない、スタンガンを握る手が汗ばむ。


すると、徐々にだけど確実にこちらへ近付いてくる足音が。
そして、罠を設置した目の前の草むらからなにかが飛び出してきた。


「ガルゥッギャイン!?」

狼?

『ウルフという魔物です。』

そっかウルフかぁ。勇ましく登場したのに呆気なく罠に掛かって今はただの泣き叫ぶわんこだ。

『ご主人様、早く止めを。』

「えー。」

足が串刺しで痛がるワンちゃん。そんな子を殺せと。罪悪感がハンパないです。

『ご主人様、この世界は弱肉強食が如実と出る世界です。ここは甘さを見せる場ではございません。』

「う、うぅ…でも…。」

『それと補足ですが、ウルフのお肉は美味しいです。』

「しゃあっ!私がさっさとあの世へ送ってあげるぜい!!」

そうこの世界は弱肉強食。だから仕方ない仕方ないんだ。ちゃんと美味しく食べるからね。電気で気持ち良く逝こうね。

罪悪感は遠くへ投げ飛ばして涎をダラダラと流しながらスタンガンに魔力を込めた。

プスプスと焦げた匂い。
思いの外精神的に辛くなることは無かった。そういえば、エスちゃん様が精神耐性高くしてくれてたっけ。

倒したウルフを収納して枝もきっちり回収。
そんでまた移動を再開。


道中はなっちゃんと談笑しながら。こういう時に旅のお供が居るって大きいと思う。

「なっちゃんって魔物をどれくらいの範囲で探知しているの?」

『どれくらい…ですか?現状はひとまずこの森全域の魔物全て把握しております。なるべく遭遇しないようなルートを選んでおりますが、先程のようにどうしても避けられない場合は申し訳ありませんが罠を設置して対応する形となってしまいます。申し訳ございません。』

「ううん、謝る必要なんてないよ。こうして生きてる訳だし助かって有り難いよ。これからも宜しくね。」

『…………はいご主人様、宜しくお願い致します。』


そして、異世界生活三日目の夜を迎えた。その頃にはなっちゃん予測で森を抜けるまであと半日くらいの位置までやって来ました。明日朝にでも出発したら昼には道路へと出れる予定。

今晩の寝床は洞穴。
穴は浅く魔物も住んでいない。
入口付近に牽制を込めて焚き火を設置。

夕飯は入手したウルフを食べようと思ったけど、包丁も無ければナイフも無い。そもそも私に解体が出来るかも不安。途中で吐く気がするもん。異世界で初のお肉はもうしばらくお預け。

今日も今日とて焼き魚で飢えをしのぐ。

うぅ…町が恋しい。



今回はこのまま四日目へ突入しちゃう。
もう森を抜けるまであと少し。


もう目の前まで差し掛かった所で最後の心残りを済ませる。
落ちている石を拾い上を向く。そこに見えるのは赤い果実。一つしか実っていないけど私には貴重品。

目標をセンターに入れてとりゃ!

一投目は当然外す。私の本番は50投目を超えてから。まだまだ序盤だどんどん行こう。



…………数時間後、熱投に継ぐ熱投が続きもう投球数は200を超えた。肩がズキズキと痛む。石を持つのも億劫。でも、ここまで来たら引くに引けない。何度か諦めるチャンスはあった、なっちゃんだってちょこちょこ止めてくれていたのに最後だと思うと諦めきれなかった。


もう止め時が見つからない。
殆ど力が入らない腕を無理矢理動かして我武者羅に投げ飛ばす。

ひょろーんって効果音がつきそうなくらい弱々しい投擲は、カエデに情けをかけたかの如く吸い込まれるように赤い果実へと当たった。
そして、数度揺れた後に赤い果実は重量に従い地面へと落下していく。

カエデは歓喜した。自分の投擲技術を呪ったこともあったけど今は天才だと自負している。

「やったー!なっちゃんやったよ、私のピッチングも捨てたもんじゃないね!」

『あの…ご主人様、』

「よし、念願の果実だ。やったーやったー!!」

『ご主人様、果実が…』

ベチャ。

絶望は背後の足下から聴こえた。
振り向いたカエデは直ぐ様その場で崩れ落ちていった。



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