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街までの道のり
数行でサルサ前
しおりを挟む『ご主人様、あの…ご主人様?』
「……………。」
『その…ご主人様、誰だってこういう事はございます。それに結果よりも過程が大事と偉い人が言ってます。』
「……………………。」
『ご、ご主人様、気にしたら負けです。今回を教訓に次回から気をつけましょう、ね?ご主人様、元気出して下さい。』
ナビの励ましも今の少女には届かない。未だにブシャッと潰れた果実の前で両手をついて顔を伏せたまま。泣き声も一切無く静けさだけが漂う。
ポジティブガールだって心が折れる時もある。
時間にして一時間も経たなかったと思う。カエデは変わらず無言のまま立ち上がった。顔は俯き様子を伺えない。
『ご、ご主人様?』
「…………だ、大丈夫だから。もう少し経てば復帰するから何も言わないで。復帰したらいつも通りに接して下さい。」
『は、はい。では、道路まで行きますね。ゆっくり行きますね。』
機械的な口調の中にも気遣いや優しさが見える。普段はツンでもこれだけ憐れなご主人様の前では慈悲深くもなる。
先を進むなっちゃんの後ろをゆらりゆらりとカエデがついて行く。
そして、長く続いた森を抜けると広大な草原が広がっていた。遠くにはちらほらと小丘が点在している。
それに地球のコンクリート整備された道路とは幾分かランクは下がるけど、きちんと車2台分は通れそうな道が左右へ永遠に続いていた。
新しい景色にさっきまで羞恥と悲しみに溢れていた少女の心を癒やしていく。
もう悲哀は消え去った。カエデの瞳はキラキラとお星様が輝いていた。
「ふぅおおぉ!!どっち行く?なっちゃん、どっち行く!!」
『ご主人様…はぁ、サルサの町は右へこの道なりに進んで行けば4日程で到着致します。』
元気を取り戻したご主人様にホッとしたような元気過ぎて呆れたようなそんななっちゃん。
早速、サルサへと続く右の道を進む。
その間でサルサまでの道程で出会うかもしれない魔物の情報を聞いておく。
『森で出会った魔物はもちろんのこと、それ以外ではボア、パイソン、シープあとスライムといった魔物が出て来ます。また野盗といった質の悪い輩も度々出没することもございます。ですが、安心して下さい。出逢いは最小限に致しますので…。』
「うん、ありがとう!無事無傷でサルサに着こうね!」
『はい。』
仲良く意気込みもう少し進んだところで本日はこれにて終了。もう晩ごはんとかは代わり映えしないから省略。
辺りに誰も居ないのを確認したら、素っ裸になって頭の上から水魔法で生み出した水の玉を浴びる。
ふっふっふ、実は大分魔法の扱いにも慣れてきていたのだ。バスケットボール大の水玉を発動出来るようになっていたのだ。これで川の無い場所でも全身の清潔さを保てる。
あとは普段通り焚き火で乾かして終わり。
ちなみに火魔法もピンポン玉サイズからソフトボールサイズの火の玉を出せるようになっている。落ち込んでいるだけのカエデちゃんではないのだ。
しっかりと自慢したのでお休みなさい。
おはようございます!
朝ご飯も終えて身体もボキボキと鳴らして今日も元気です。
もう町が薄っすらと見えてきました。
まだ1日しか進んでいないと思う人も居るでしょう。でも、心配ありません。誰にも抗う事の出来ない早送りであっという間に町の付近までやって来ました。
移動の三日間を簡潔にまとめます。
なっちゃんのお陰で一切魔物にも盗賊にも会うことなく、何の面白みも無く到着することが出来ました。
なっちゃんが凄いのか偶々この辺り一帯が平和な時期だったのか、定かではないけど平穏無事に辿り着いたから良しとしましょう。
さっさと町に入りますかね。
そんな私になっちゃんから悲しい一報。
『ご主人様、このままでは町に入ることは難しいかと思われます。』
「へ?」
さぞかし間抜けな返事をしたことでしょう。
やっと目的地まで来たのにまさかのお預け、一体全体どういうことだい?
「ど、どうして?」
『入るのが困難な理由がいくつかございます。まず異世界からやって来たご主人様には身分証なるものがございません。ただ無い場合は銀貨一枚払えば仮身分証を渡して通して下さいます。しかし残念なことにご主人様は現在所持金0でございます。またご主人様の身なりも問題かと。この世界にそのような服はありません。変わった服装とみなされ怪しまれます。ましてや少女が一人で何も持っていない状態でやって来ればとても怪しまれます。以上の点から通して貰うのは難しいかと思われます。』
「な、な、な…。」
なんてこったい。
目の前の希望があっさりと絶望へと覆された。
異世界で慣れ親しんだ動作、膝から崩れ落ちるが発動した。
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