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急展開
しおりを挟む結局、リンちゃんの耳は触れなかった。まだ出会って数分、これから時間を掛けて親しくなればいつか触れるはず。
可能なら尻尾をひたすら触れるくらいには仲良くなりたいです。
そんな野望が生まれてお姫様の従者であるリンちゃんはこれにてお別れ。
けれど、これからも頻繁とはいかないものの定期的にこちらへ訪れてくれる事になった。王城からの情報を提供してくれるらしい。
これでもしもの時に対策を立てる時間が設けられるし、逆にこっちが何をするかも姫様側も知れてお互いに利がある。
100%の信頼も信用もしていないけど、いきなり俺のモノになれってBL宣言して来た王子様に比べたら悪い印象は全く無い。
今後、敵対しないことをお祈りする。
これで今回の王子様との一騒動は終了。
普通の人には一瞬で消えたように去るリンちゃんに思いっきり手を振るバイバイ。
今日一日だけで滝のような怒涛の面倒ラッシュが続いた、けれどようやく終わりかな?
あとは、その後の王子様がどう動くかで変わってくる。
何事もなくこれからの日々を過ごせる事を祈っていよう。今日はもう疲れたからこれでおやすみ。
明日からは日常回でまた配下を解放したり街で買い物とかするんだ。
なんて思っていた時期がありました。
何度も何度もふざけるな。
面倒面倒面倒がまたズカズカ俺達の領域にやって来やがってよ。休息する暇無しかよ。
怒りを落ち着かせるためにも説明します。
ケモ耳美少女リンちゃんとの出会いからまだ一週間。配下を解放するか天空城を先に解放する為に貯金か悩みに悩んでいた時だった。
まだたったの一週間しか経っていないのに、ギルド員やゴロツキそして王子様、それらに続いて家へ訪れやがったのは筋肉むき出しのおっさん。
確か冒険者ギルドのギルドマスターだったか。
力を誇示したいのかわざわさ一人ではなく他にも複数のギルド員や冒険者達を引き連れていた。
また勧誘か?
朝から早々に鬱陶しい。
唯一の幸いは今回もニトの結界で通れないようでこの中に強者が居ないことだけはっきり分かる。
厳重警戒しない分気楽。
さてお伺いしますか。
「何の御用でしょうか?」
俺の問いへ答える代わりにニヤリと笑う。
「ふっ、貴様にギルド員及び冒険者複数の拉致監禁もしくは殺人の容疑が掛けられている。大人しく付いてきてもらおうか。」
うろちょろしていた鼠はこいつのか。
どう調べをつけたか知らんが速い。
それにその容疑を否定する要素がない。実際、貴方の部下も子飼いしている冒険者も庭で生えている木になっています。
非ぬ疑いって言えないから困る。
「なんでそんな疑いを掛けられているのか分かりませんが、お断りします。」
分かるけど分からない。
シルヴィアさん後ろであの時の糞共かなんて言わないでバレるから。
「貴様に断る権利があると思うか?断れば大陸中全ての冒険者ギルドを敵に回すことになるぞ。それに知っているか?お前へ賞金が掛けられた。シェパード殿下直々の要請だ。これで冒険者達も敵になる、この意味が分かるな?」
プチンッ。
あの野郎…。
所詮口約束は口約束か。
多分、今回の件を伝えに来てくれたリンちゃんの姿が見える。
焦ったような申し訳なさそうな表情からリンちゃん達には罪が無い。
はぁ………もうやーめた。
なるべく穏便にとかゲームと違って現実で異世界だから無茶しないとか色々慎重に考えていた。
けど、馬鹿らしい。
元々ゲームに百万を超える課金をする自制無き人間。
なんで我慢する必要がある?
俺の平穏をぶっ壊すなら先にぶっ壊してやる。
「配下達に告ぐ、武器を持て。俺の盾と刃になれ。もう邪魔者に優しさは要らん。俺の目の前に現る全ての障害を排除せよ。」
淡々と命令。
配下達は感情を持っても文句を言わない。
黙って武器を取る。
こんな急なイベントはさっさとクリアするに限る。
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