対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

こう7

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プロローグ

症状は神様にも通用します

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コンビニまであと50m。この信号が青に変われば、もう目と鼻の先になる。6年前から変わらぬ距離。


前方で同様に信号待ちをしてる黒のランドセルを背負う少年が、前髪の分け目からチラチラと視界に入る。
その度に、小学生時代の忘れたい記憶が呪いのようにじわじわと蝕んでくる。

心臓の鼓動が激しく落ち着かない。

周りにいるのは、小学生と僕、あと後方に二人ぐらいしかいないのに情け無い。後ろを向いて人数を確認することも出来ない。


信号は点滅を始め、青から赤に変わる。

しかし、変わらず動きを止めない車が右側に映る。

あぁ、ぶつかる‥

そう思った時に、僕の右手はすでにランドセルを掴んでいた。
そのまま、自分と立ち位置が変わるように少年を引っ張った。

何が起きたか分からず困惑する少年。
僕は思わず笑ってしまった。

人助けが出来たことへの喜びか。
それとも、やっと終われることへの安堵か。


勢いの衰えない鉄の塊が、容赦なく襲ってくる。
もう二度と味わえない衝撃と共に、世界が真っ黒に変わる。




どれくらいの時間が経ったのだろう。
死んだら意識も何も無くなると思ったのに、未だに意識がある。

目を開けてみると、今度は真っ白な世界へと変わっていた。

病院?

でも、ベッドも点滴もない。ただ白い世界が一面に広がっている。
大怪我どころかバラバラになっててもおかしくない体も、五体満足の擦り傷すらない。

おかしい、ここはどこだ?
何が起きている?

「ようこそ、フィルロードへ。康太さん、あなたを歓迎します!」

返事は背後から返ってきた。









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