対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

こう7

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街を訪ねて三千里

僕の初めては優しいおじさんでした

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「おし、次の人こちらへ」

僕の前の人が終わり、ついに門番さんに呼ばれた。

僕は、すでに舞妓さんのごとく白くなっている。冷や汗が目にしみる。
それでも、ロボットの様に ぎこちなく門番さんのところへ。


「ん、次は坊主?だな。フードで顔がよく見えん。怪しくないか確認したいから見せてくれるかい?」

「は、はい‥」

せっかくの視線外す作戦が序盤から崩れる。
絶望を背景にフードを外す。

「よし、じゃあ確認するな‥‥って、顔真っ白じゃないか! 体調悪かったのか?」

「だ、大丈夫でしゅ‥つ、続けてください」

「ばかやろう、どう見ても体調悪そうじやねーか! ったく、ちょっとこっちこい。うわっ、汗もひどいじゃないか」

「えぇ‥」

門番さんは心配そうに僕の右腕を掴んで連れて行く。
僕のパニック度もすでに天元突破している。
連れられた先は、机と椅子が置かれた個室。

「よーし、ここに座って少し休め。今、お茶持ってくるから。おーいトニー、俺はこの坊主の検問するから、代わりに見張りしててもらっていいかー?」

「了解しました、アランさん。今晩の酒を奢りで手を打ちましょう。」

「っち‥しょうがねぇ。とっとと行ってこい!」

現在、机を見つめているため不確かだけど、お茶を置いてくれた20代くらいの青年に門番のおじさんが指示をしていた。

そして、おじさんは僕と向かい合うように座る。

「坊主、体調はどうだ?まだ気持ち悪いようなら回復系の魔法が使える知り合いを呼んでくるが‥」

「い、いえ大丈夫です。少しお落ち着きました。大丈夫です」

おじさんは本当に心配そうに顔を覗く。
これ以上、人を呼ばれたら保ちそうにないので、全力で返事をする。

「まだ顔は青いがさっきよりは大丈夫そうだな。じゃあ、色々と質問するから答えてくれな。ゆっくりでいいからな」

「は、はい」

「まずは、名前と身分を証明できるものはあるか?」

「ぼ、僕の名前はコータ エンドゥーです。あ、あの遠い村からこの街に来たので、身分を証明できるものはありましぇん‥」

「そうか、無いかぁ。だったら無い場合は、この水晶による犯罪歴が無いかの確認と銀貨1枚を徴収することになっている。問題はないか?」

そう言って、サッカーボールくらいの大きさの水晶玉を取り出した。

「ははい、大丈夫でしゅ」

「よし、だったら手を水晶にかざしてくれ。赤だったら問答無用で捕まえるから覚悟しろよー」

水晶は問題無く青色でした。
ついでに、銀貨を一枚机の上に置きました。

「犯罪歴無しと、問題はないな。あとは、この街に来た理由を教えてくれ」

「はいぃ、ぼ冒険者ギルドで身分証のためにカードを作ろうと思ってです。」

「うん、そうかそうか。分かった、入門を認めよう。ただし、身分証が出来たら見せに来るように。それまではこれを持ってな。これは、仮の身分証だからな」

首にかけれる仮の身分証カードを渡してくれた。

「これで検問は終わりな。まだ顔が青いし、ここで休憩していくといい。本当にしんどくなったら近くにいる俺と同じ服装の奴らに声をかけたらいい。出る時は、出てすぐの角を左に曲がったところが出口だ。じゃあ、無理はするなよ」

最後まで心配そうなおじさんは、俯く僕の頭をわしゃわしゃして出て行った。


顔は見れなかったけど、優しいおじさんで良かったぁ
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