対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

こう7

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街を訪ねて三千里

小話 ドコ? ドコニイルノォ‥

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私は激怒した。
誰も私の話を信じてくれない。その場にいた者達でさえ。

「お父様、信じてくださいませ。あの時、オークを倒したのは黒髪の少年でございます。一瞬ですが、この目で見ましたわ」

私は鼻息荒く、自分の目を指差す。

「落ち着くんだ、アリシアよ。お前は見たと言ってもな、他の者は強い風が吹いたとしか言ってない。そうであろう、カルロス?」

父様の側に控えていた甲冑を着た武骨な男性。立場は違えど父様とは昔からの仲の人。

「はっ、確かに強烈な風が吹いたと思えばオークは全滅しておりました。その際、風から魔力を感じました。私は、遠距離から高位の風魔法を使ったのではないかと思います。」

「違いますわ。私の見た少年が直接オークを倒したのです。」

「ふむ、お前が嘘を言っているようには見えない。しかし、私はフェアルス侯爵家の主として娘の意見だけを聞き入れる訳にはいかない。分かるな?」

「で、ですが、私は確かに見たのです。黒髪の少年を‥」

あの時、沢山のオークに囲まれてお母様と一緒に怯えていた時。ふと小窓を覗いた時に見た少年。
そして、いつ間にかオークは倒れていた。きっとあの少年が倒してくれた。

「‥‥見たんです、私は。」

「はぁ、分かった。一週間だ、一週間。その間、調査用に兵を派遣する。それでいいな?」

「お父様‥ありがとうございます! 必ず見つけ出します!」

「まあ、もしその少年がいるならアリシアとローラを助けてくれた礼はしたいしな。」

「では、早速調査に入ります。」

「うむ、カルロスお前もついてやれ。アリシアが無茶をしそうならいつも通り止めてくれ」

「はっ、かしこまりました!」

全く失礼ですわ。
でも、見つけるチャンスが出来ました。
急いで探さないと。

父様の命で集まってくれた兵を庭に集めた。みんな、私が小さい頃からの顔見知り。

「お嬢、今回はどんな無茶をするんですかい?」

「ディー、言葉に気をつけろと言っているだろ。アリシア様に無礼だぞ!」

ディーは私の専属騎士の1人。よくカルロス様に叱られている。

「貴方達とは昔からの仲ですから、今さら気にしていませんわ。それよりも探すわよ」

「お嬢の想い人ですかい?」

ぶふっ!
思わず吹いてしまいましたわ!

「な、にゃにをおっしゃってるのかしら!わ、私はただ命の恩人に礼儀を尽くしたいだけですわ!」

「おおー顔が真っ赤ですよ、お嬢。いやーあのお嬢にも春がやってきましたなぁ」
「にゃ、にゃにをを‥‥」

顔の発熱が止まらない。今なら顔から高位の火魔法が使えますわ。

「こら、ディー! ふざけるのもいい加減にしろ!アリシア様も落ち着いてください。少年を探すのでしょう?」

「そ、そうですわね。では、捜査を始めましょう。ディーはメイド姿での捜査を命令します、連れて行きなさい」

「へ?」

ディーは呆けたままどこかニコニコ顔のメイド部隊に連れて行ってもらった。

では、作戦会議をしましょう!

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