対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

こう7

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魔物が行進をはじめました

小話 ドコ?ドコニイルノォ‥10

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「どういうことですか、お父様!」

王都からサイデルの街に帰ってきて何日か経ったある日。
お父様はもう一度王都の屋敷に行けという。

「分かってくれアリシア。今、この街には魔物の大群が迫ってきている。危険なんだ。」

「でも、お父様達は残られるのですよね?なら、私も残ります。」

「私は領主という立場だ。最後までこの街のために動かなければならない。だから、せめてお前とローラだけでも避難してほしい。」

お父様は自分だけお残りになって私とお母様を避難させたいらしい。

でも‥  

「お父様、我儘なのは分かっております。でも、それでも私もこの街のために何かしたいのです。危ない真似はいたしません。どうかお願いいたします。」

私は懸命に頭を下げる。
従者達の前で頭を下げるなど品位を下げる行い。でも、なりふり構っていられない。

沈黙がしばらく続いた。

「はあー分かった。その強情さはどちらに似たんだろうな。お前には魔物が押し寄せて来る時に、街の住人達を教会や我が屋敷の敷地内まで避難するよう指示したり誘導をしてもらう。但し、いざとなったら逃げてもらう。いいな?」

「はい、分かりましたわ。」

そして、お父様から魔物や討伐決行日やなど色々教えて貰いました。
騎士や冒険者総出で街のために戦うらしい。
ちなみに、ディーは王都でのお仕置きの傷がなかなか癒えないみたいで屋敷の一室で療養中のため不参加。



あっという間に決行の日はやってきた。
覚悟はしていても不安や恐怖が波のように押し寄せてくる。

そうこうしていると、カルロス様も出陣していきました。私も街の人達を避難させなきゃ。


そこからは必死でした。
いつここまで押し寄せるか分からない。
街中を走り回りましたわ。貴族だとか言ってられないです。


次第に空が茜色に染まり始めた頃、街の外から大きな歓声が上がった。それは私達に勝利を教えてくれた。
その時は嬉しくて隠密部隊の子と抱き合って喜びましたわ。



私は魔物と戦った勇者達を労うため、街の門に向かった。
冒険者の方々と出会うたびに感謝を述べる。

すると、そこで見知った人物と出会った。
カルロス様とララさんだ。どうも急いでいるように見える。
何かあったのかもしれないわ。

「カルロス様、ララさん!なにかございましたの?」

近づいて声をかける。
よく見るとララさんが背中に誰かを背負っている。‥‥って、コータ様!?

「な、な、何がありましたの?」

「アリシア様落ち着いてくださいませ。この者は疲れて眠っただけです。この者の泊まっている宿屋まで運ぼうとしていたのです。」

にゃにゃるほど、よ良かったですわ。
私も付いて行きましょう。
何故か付いてくる私に疑問符を浮かべるカルロス様。気にしないで下さい。
それにしても、コータ様の寝顔ぐふふ素晴らしいです。

「ララさん、私が背負うの変わりましょうか?」

「いえいえ、アリシア様にそのようなことは‥」

「いえいえ、遠慮なさらず」

「いえいえ」
「いえいえ」

宿屋のコータ様のお部屋までその押し問答は続いた。


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