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闘技大会と‥
困ったお兄様
しおりを挟むいきなり怒った様子で僕を見つめるイケメンさん。
訳がわからず僕はオロオロと困惑するばかり。
ララお姉ちゃんは特に焦った様子もなくゆっくりと紅茶を嗜んでいる。
出来れば助けて欲しいです。
「貴様、私は知っているんだぞ!愛しい愛しい私の妹に近寄る不埒な存在め!」
「え?え?」
ズビシッと指を指し、あらぬ疑いをかけてくる。
僕は自分から誰かへ積極的に近寄る人間じゃないですよ。
でも、この剣幕じゃ聞いてくれそうにない。
「あ、あのー‥」
「ふふ、何も言い返さぬとは‥。認めたと同義だ。いざ、成敗くぴんっ!?」
不思議な奇声とともにピクピクと倒れるイケメンさん。
あ‥あ‥とよだれを垂らしとても台無しな姿。
その背後には姫さまが微笑んでいた。
思わず見てしまった目は、虫ケラや塵以下の何かを見下ろす身の毛もよだつ冷めた目をしていた。
「まぁお兄様ったら何を可笑しなことを言ってるのかしら?コータ様申し訳ございません。お兄様ったら昼間からお酒でも飲んで酔ってらっしゃるようですわ。」
あらやだと顔に手を添えほほほと笑う。
このイケメンさんは姫さまのお兄さんらしい。本物の王子様なんだ。
「もうお兄様ったらこんなところで寝るなんて全く。少し失礼いたしますね。」
明らかに眠ってるとは思えないけど口には出せない。
姫さまは一礼すると倒れているソレの金髪を片手で鷲掴みにし引きずっていく。
一応、突如現れたメイド部隊が壁になってその光景を隠してるけど、静かな部屋で引きずる音が鮮明に聞こえます。
引きずる音とほほほと笑う声がどこまでも響いた。
後から入って来た衣装変えしたアリシアさんは、僕とヴァルさんが抱き合って震えてる姿にきょとんと箱を傾げていた。
ララお姉ちゃんは結局僕らの震える姿をただただ恍惚とした表情で見守っていました。
震える僕らに不思議そうにしながらも心配してくれたアリシアさん。
今まで出会った女性陣の中で宿屋のおばさんの次に安心出来る存在かも。箱を被ってるけど。
やがて、頬についた赤い何か拭きながら姫さまが戻ってきた。
あの、ドレスにも散ってますよ。
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