対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

こう7

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おいでませ妖精の里

僕は橋から飛び降ります

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ふわふわと飛び交う新しい小さなお友達。
妖精さん達は起きた次の日もいつでも楽しそうに笑顔を振りまいている。

朝から穏やかな気持ちで迎えられた。
今までは周りが血だまりって事が多かったから、ついホロリと涙が流れてしまう。

朝ご飯を簡単に済ませて、いざ橋へ。


妖精さん達もそのままついてくるようでかなりの大所帯での移動となる。
いつものようにヴァルさん達が頭の上に乗る。
それを物珍しそうに見ていた妖精さん達も歌声を発しながら、僕の上に積み重なっていく。

全長5メートルくらいの高さのタワーが完成してしまった。
でも、チビうささん達以外の重さを感じない。
妖精さんって体重とか無いのかな?


不安定な頭をふらふらながらも保ちつつ、もう半日ほど時間を掛けて橋に到着。


幅ぎりぎり二人分くらいの木製の橋。
片足をちょこんと乗せてみるとぎしぎしと不安を煽る音色。
これが異世界製の橋。
恐怖と不安を詰め込んだ逸品だ。

僕は谷を覗く。
相変わらず真っ暗で何も見えない。
いざこの橋が崩れても今の僕の身体能力なら何とかなる。ヴァルさんもいる。

でも、怖いことには変わらない。


頭も不安定、橋も不安定。

ふぅーと一息吐いてゆっくりと橋を進む。
一歩踏みしめる毎に軋む。
頭から歌声の混ざった声援をもらう。


勇気を振り絞り、着実に進行する。


ようやく橋の中腹にさしかかる。
あと半分と意気込む僕の周りに、今まで頭の上で歌っていた妖精さん達が飛び回り始めた。

どうしたんだろう?


1人の妖精さんが僕の目の前で止まり、ニコニコしながら下を指差す。

釣られて下を見るけど何もない。
あるのは渡っている橋だけ。

尚も妖精さん達が下を指差して何かを伝えようとしている。
ラーラーやルールーだけでは分からない。


僕が困っていると何気に翻訳を務めてくれるヴァルさんが答えてくれた。

「どうやらこの者達は下に降りて欲しいみたいである。この谷には、此奴らの住処があるようじゃ。」

「え、この谷に?」

僕はもう一度谷を覗く。
ヒューと吹く風で身震いする。

この真っ暗闇にキラキラ輝く妖精さん達の住処が?

行ってみたいけど、どうやって降りよう。

「妖精さん達のお家に行ってみたいけど、どうやって行こうかな?」

「ん?それは簡単である。ここから飛び降りれば良い。」

「飛び降りる!?ここを?む、無理だよ‥」

「大丈夫である。吾輩もいるし、この者達も任せろと言っておる。」

チビうささんも凄く乗り気。
クゥークゥーと妖精さん達と盛り上がっている。

「えっ、でも、危な‥」

「ええい、行くぞ!」

強引なヴァルさんと妖精さん達に押されて橋からダイブ。


死んだ、死んだな、絶対死んじゃう。


僕は13歳で身投げをしました。

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