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帝国の城、捕われのクロウ
国境へ急げ急げ
しおりを挟む結局、逃げるように僕達はミストリアの王都を後にした。
どの国でも脱出する形で王都を去っている気がする。
これが運命なら嫌だよ、自由を謳歌したいよ。
でも、ララお姉ちゃんの変わらないあの狩人の目、急いで距離を広げて行かないと。
食料には余裕があるからどこにも寄らず一気に帝国への国境まで向かおう。
い、いくらララお姉ちゃんでも僕がすぐに帝国へ行くとは思わないはず。
大丈夫、少し行ったとこにある街で観光をしているくらいに思ってくれるよ、だから大丈夫。
自分にしっかりと言い聞かせる。
普通ならひと月はかかる境目までの道を一週間という強行で辿り着く。
無理な移動でヴァルさん達に申し訳ない。
お詫びに目一杯もふもふをしました。
ヴァルさんはイザベラさんの事件が無事に済んで自信がついたのか、いざとなれば吾輩があの女共を退治してくれようと豪語してくれた。
前に震える思いをしたのは忘れたのだろうか。
ヴァルさんのそういう所が凄く可愛く思える。
ここでももちろん検問がある。
そして当然のように引き止められる。
こんな子供が一人で、ううん2匹の仲間と旅をしているのは不審というよりも心配されてしまう。
人情はそう簡単ではないよね。
ギルドカードを提示して本物かどうかも確認されて、やっとこさ通行の許可がおりた。
ついにオルスタル帝国へと足を踏み入れた。
帝都までは2つのルートがある。
一つは、まともなルートで遠回りではあるが町村をいくつか渡って2ヶ月で着く。
もう一つは、まともじゃないルート。目の前に見えているけど、堂々とそびえ立つ山脈。ここを真っ直ぐ突き進めば一月もかからない。その代わり、凶暴な魔物達が蔓延る危険地帯。死の山って言われるぐらいらしい。
どれも事典情報。
今回もどちらの道を選ぶかは道端に落ちている棒で決める。
ドキドキしながら棒が倒れる。
棒はまともな道に向いて倒れた。
よし、だったら危険ルートで行こう。
もう引っかからない。
多分、危険な道が一番僕にとって安全な道のりが気がする。
散々経験させられた運命に逆らって僕を歓迎する山脈へと目指す。
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