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とりあえずお姉ちゃんと僕、旭、そしてこっちの世界お姉ちゃんの父になる黒熊のドンドさんで状況整理することになった。
お姉ちゃんは身体の異常がないかを医師に診てもらうために後ほど合流ということになり、ドンドさんも奥さんのバイオレットさんを労ってから来るとのこと。
そのため先に僕らは、別の熊さんによって別室に案内された。
「一度外に出ますね」
案内係をしてくれる茶熊さんは、ラインさんと言う名前だ。物腰が柔らかい声の熊さん。
僕たちが転移してきた場所は出産時と産前産後に使う特別室だったらしく、熊さん達が住む居住区には道が繋がっていないってことだった。
居住区の一角に来賓室があって、そこに行くため一度外に出んだけど、出てびっくり。僕は高大な景色に目を奪われた。
「すごーい!大きい!」
「大きい洞窟みたい……」
目の前には小山ぐらいある巨大な白い岩。
世界遺産のカッパドキアを彷彿とさせ、岩肌に幾つもの穴が空いていて段上のテラスが見える。内部もすごい。
蟻の巣のように沢山の部屋があり、熊さん一人がやっとこさ通れる程のウネウネした廊下が続いている。
案内された部屋は十畳ぐらいの空間で、分娩室の同じように、かまくらみたいに丸くて滑らかな造りになっていた。綺麗に研磨されているのか、表面はツルツル、冷んやりしていて手触りが気持ちいい。
調度品は椅子と机と至ってシンプル。これらも部屋に使われている石と同じだ。ここの世界はこの石をよく使うんだろう。
華美な装飾はなく、絵や骨董品もない、実用的な雰囲気の部屋だった。
ラインさんはお茶を用意してくれて、器用に大きな熊さんの手でポットからお茶を注いでくれる。手には触ったら気持ち良さそうな肉球と鋭い爪がみえるけど、指の関節を人間のように動かしていて難なく持っていた。ここの熊さんすごい。
「どうぞ。熱いので気をつけてお飲みください」
「ありがとうございます」
「ありがと!」
「ドンドさんが来るまで寛いでいてくださいね。私は部屋の外にいますので、何かありましたらお声掛けください」
「はい」
ラインさんが旭に手を振ってくれたあと、木製のドアから出て行った。僕は緊張が解かれてホッと息をつく。
僕と旭だけになったので、頭から被っていたタオルを脱いだ。旭もそれに倣って脱ぐ。
机にはお茶と一緒に用意してくれた丸いチョコレートみたいな焦茶色のお茶菓子が鎮座していた。食器は木製で、角のない丸く丁寧な造り。
お茶の色は紅茶のような綺麗な色だ。
旭が喉乾いたと連呼するので、とりあえず飲めるように冷まして、飲んでも大丈夫なのか確かめるために一口飲んでみる。
「ん、美味しい」
お茶は少し甘くて、柑橘系のフルーツティーのような味がした。
旭もこれなら飲めるだろうと飲ませてあげると、ジュースだ!って言って、喜んでゴクゴク喉を鳴らして飲んだ。可愛い。
「うわぁ!これチョコ?やった、いただきまーす!」
旭はテーブルの上にあったお茶菓子を目敏く見つけた。お菓子大好き旭君。甘い物には目がない。
「あ、待って、僕がまず食べてからで……」
制止する間もないまま、旭ら丸いチョコレートに似たお菓子を手に取ってすぐにパクリと口に入れた。
するとニコニコしていた顔から一変、野菜を食べた時のように顔をクシャッとさせた。
「うっ、うげ!まっずい!」
「うわ、大丈夫?!」
旭は机の上にベェと吐き出す。いつも常備している濡れティッシュをポケットから出して、旭の口を拭いて机も綺麗にする。
旭とは元々好き嫌いが激しいので、苦手な味だったのかなと背中をゆっくりさすった。
「これまずい!アクマの食べ物!」
「ふはっ、悪魔の食べ物とかどんな味なの」
「食べたらわかる!」
不味い不味いと連呼する旭を笑いながら宥めると、控えめにトントンとドアがノックされて扉が空いた。
「ラインです。外に聞こえたんですが、お子様大丈夫ですか……うわ!」
旭の声が外まで聞こえたみたいだ。出された物を未だに不味いと連呼している旭にお茶を飲ませて、ラインさんに苦笑いで返す。
「大丈夫です。ちょっと好き嫌いが激しい子なんです。ここのお茶は大好きで沢山飲んでます」
「そ、そうですか。あ、あのルイ様!」
「はい?」
「お身体を隠してください!小さき者の痴態はまだ許されますが、少年の痴態は晒す方も見る方も良くありません!」
「痴態……あ、そうでしたね」
脱いでいたタオルをカッパのように再び着る。このバスタオルはサラサラしているけれど、分厚いのでちょっと面倒だ。
旭は再びタオルを被るのを泣いて嫌がったので、旭君はまだ年齢的に大丈夫ですとラインさんに言われたため、そのままの格好で過ごすことになった。六歳過ぎたらそのままではダメですよと言われた。もうすぐじゃん。
お姉ちゃんは身体の異常がないかを医師に診てもらうために後ほど合流ということになり、ドンドさんも奥さんのバイオレットさんを労ってから来るとのこと。
そのため先に僕らは、別の熊さんによって別室に案内された。
「一度外に出ますね」
案内係をしてくれる茶熊さんは、ラインさんと言う名前だ。物腰が柔らかい声の熊さん。
僕たちが転移してきた場所は出産時と産前産後に使う特別室だったらしく、熊さん達が住む居住区には道が繋がっていないってことだった。
居住区の一角に来賓室があって、そこに行くため一度外に出んだけど、出てびっくり。僕は高大な景色に目を奪われた。
「すごーい!大きい!」
「大きい洞窟みたい……」
目の前には小山ぐらいある巨大な白い岩。
世界遺産のカッパドキアを彷彿とさせ、岩肌に幾つもの穴が空いていて段上のテラスが見える。内部もすごい。
蟻の巣のように沢山の部屋があり、熊さん一人がやっとこさ通れる程のウネウネした廊下が続いている。
案内された部屋は十畳ぐらいの空間で、分娩室の同じように、かまくらみたいに丸くて滑らかな造りになっていた。綺麗に研磨されているのか、表面はツルツル、冷んやりしていて手触りが気持ちいい。
調度品は椅子と机と至ってシンプル。これらも部屋に使われている石と同じだ。ここの世界はこの石をよく使うんだろう。
華美な装飾はなく、絵や骨董品もない、実用的な雰囲気の部屋だった。
ラインさんはお茶を用意してくれて、器用に大きな熊さんの手でポットからお茶を注いでくれる。手には触ったら気持ち良さそうな肉球と鋭い爪がみえるけど、指の関節を人間のように動かしていて難なく持っていた。ここの熊さんすごい。
「どうぞ。熱いので気をつけてお飲みください」
「ありがとうございます」
「ありがと!」
「ドンドさんが来るまで寛いでいてくださいね。私は部屋の外にいますので、何かありましたらお声掛けください」
「はい」
ラインさんが旭に手を振ってくれたあと、木製のドアから出て行った。僕は緊張が解かれてホッと息をつく。
僕と旭だけになったので、頭から被っていたタオルを脱いだ。旭もそれに倣って脱ぐ。
机にはお茶と一緒に用意してくれた丸いチョコレートみたいな焦茶色のお茶菓子が鎮座していた。食器は木製で、角のない丸く丁寧な造り。
お茶の色は紅茶のような綺麗な色だ。
旭が喉乾いたと連呼するので、とりあえず飲めるように冷まして、飲んでも大丈夫なのか確かめるために一口飲んでみる。
「ん、美味しい」
お茶は少し甘くて、柑橘系のフルーツティーのような味がした。
旭もこれなら飲めるだろうと飲ませてあげると、ジュースだ!って言って、喜んでゴクゴク喉を鳴らして飲んだ。可愛い。
「うわぁ!これチョコ?やった、いただきまーす!」
旭はテーブルの上にあったお茶菓子を目敏く見つけた。お菓子大好き旭君。甘い物には目がない。
「あ、待って、僕がまず食べてからで……」
制止する間もないまま、旭ら丸いチョコレートに似たお菓子を手に取ってすぐにパクリと口に入れた。
するとニコニコしていた顔から一変、野菜を食べた時のように顔をクシャッとさせた。
「うっ、うげ!まっずい!」
「うわ、大丈夫?!」
旭は机の上にベェと吐き出す。いつも常備している濡れティッシュをポケットから出して、旭の口を拭いて机も綺麗にする。
旭とは元々好き嫌いが激しいので、苦手な味だったのかなと背中をゆっくりさすった。
「これまずい!アクマの食べ物!」
「ふはっ、悪魔の食べ物とかどんな味なの」
「食べたらわかる!」
不味い不味いと連呼する旭を笑いながら宥めると、控えめにトントンとドアがノックされて扉が空いた。
「ラインです。外に聞こえたんですが、お子様大丈夫ですか……うわ!」
旭の声が外まで聞こえたみたいだ。出された物を未だに不味いと連呼している旭にお茶を飲ませて、ラインさんに苦笑いで返す。
「大丈夫です。ちょっと好き嫌いが激しい子なんです。ここのお茶は大好きで沢山飲んでます」
「そ、そうですか。あ、あのルイ様!」
「はい?」
「お身体を隠してください!小さき者の痴態はまだ許されますが、少年の痴態は晒す方も見る方も良くありません!」
「痴態……あ、そうでしたね」
脱いでいたタオルをカッパのように再び着る。このバスタオルはサラサラしているけれど、分厚いのでちょっと面倒だ。
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