姉に巻き込まれて異世界転移〜ワガママ舌を満足させます〜

ぺんたまごん

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 お姉ちゃんと旭は、ご飯が終わるとお腹が膨れてウトウトし始めた。夜も暮れる時間とのことで、少し早いけれどお姉ちゃんと旭は寝ることになる。

 クネクネした廊下を進んで案内されたお部屋は僕たち家族の部屋。

 お姉ちゃん、旭、そして僕の三人で寝泊まりしていいんだって。部屋が狭いなら、近くの部屋を空けるから、とまで言ってくれた。

 お姉ちゃんの前世の家族なら、家族として迎えて当然というドンドさんをはじめとする熊獣人さん達の優しい心遣いで、僕らはすでに家族扱い。
 急に現れた僕らを訝しむことなく迎えてくれた熊獣人さん達に感謝だ。

 お部屋はダブルサイズのベッドに机と椅子四脚。この部屋もシンプルな作りだった。ベッドは硬めのスプリングに真っ白なシーツでベッドメイクされている。
 お姉ちゃんは可動式のチャイルドベッド。旭は寝相やばいからね。お姉ちゃん潰れちゃう。

 旭は色々あって疲れたみたいで、いつもは三十分以上かかる寝かしつけが、ものの五分で終了した。お姉ちゃんも眠気に抗おうとちょっとしたけど、旭より早く寝た。赤ちゃんだからね。

 そして僕はみんなの寝顔を見守ってから、そっと部屋を出て、ある部屋に向かった。

 ヴィス君じゃないよ。隣の部屋に住んでいるドンドさんに会いに行く。

「ルイ君、子ども達は寝たかね?」
「はい、すぐ寝ました」
「そうか、それなら良かった。君も疲れているだろうに来てもらってすまないね」
「いえ。あの、僕も色々聞きたいことがあったので呼んでもらってよかったです」

 ドンドさんに椅子に座るよう促され、僕はドンドさんと対面に腰を下ろした。

「アカネから詳しく聞いたが大変だったね」

 ドンドさんは僕がご飯を作っている間にお姉ちゃんからここに来た経緯聞いていたみたいだった。説明下手なのでホッと息を吐く。

「アカネやルイ君のいる世界には私達のような獣人はいないと聞いた。私たちが獣化した状態の生き物『動物』と、人間化したときの姿……ルイ君のような『人間』と個々の生態を持っていると」
「そうですね」

 ドンドさんはお姉ちゃんからの説明を僕で質問する形で確認した。なかなかぶっ飛んだ話だと思うが、ドンドさんもラインさんのように、僕らの話を疑わずに信じてくれる。

「皆さんも僕らの話を疑わずに信じてくれてありがとうございます」
「獣化した状態なら、嘘をつくと匂いや態度からわかる。それに赤子が生まれてすぐにあんなに話せることはまずないんだ。アカネやルイ君達の関わりを見ていると家族にしか見えないよ。疑う余地もないさ」

 人間化していると五感が鈍り、獣化の状態だと五感は研ぎ澄まされるとのこと。なんかすごい。
 そうやって人間にはわからない感覚で、僕に食事係も任せてくれたんだろう。お眼鏡にかなってよかった。


 そして僕らの話が終わると、今度は僕がドンドさんにこの世界について聞いた。
 無知ほど怖いものはないもんね。ドンドさんは快く話してくれる。


 ドンドさん曰く、ここは細長い地形をしていて、水場に囲まれている島なんだそうだ。

 船は存在しておらず、この島以外の存在はドンドさんは知らないらしい。辺境の地なのかな?よくわかんないけど。

 この島で獣人は、数多の小さな群れを作り、そして暮らしている種族なんだって。

 この場所は最北端に位置していて、春夏秋冬があり、五月頃に梅雨があるのが特徴的。植物程よく育ち、恐竜が少ない場所になるから、雑食獣人や草食獣人、小型獣人が多いそうだ。

 南下していくと気温が高くなり、植物はここよりも更に大きく、草食恐竜も肉食恐竜もたくさんいるんだって。
 だから獣人は恐竜に負けない大型の肉食獣人が多く住んでいる。

 獣人は身体に合った住みやすい土地を求めて、良い土地があれば定住するんだそうだ。群れも抜けたり入ったりと、群れに縛られることはなくて、恐竜から身を守るためにみんなで群れて暮らしているんだって。

 熊さんだけかと思ったけど、この住居にはネズミやリス、猿、キツネといった雑食の獣人達で集まって住んでいるらしい。
 お姉ちゃんを見たお医者さんは猿さんだって。会ってみたいな。
 ドンドさんはこの群れで一番強いから頭をしているそう。ドンドさんすごい、カッコいい。

「他の群れの獣人とは、必要なものを物々交換して交流をしている。いざこざがあることあるが、基本関係は良好だ。ふむ……説明はこれくらいかな。何か質問はあるかい?」

 ドンドさんが説明を終えて一息つき、お茶を飲んだ。僕は聴きながらどうしても気になったことを聞くことにする。

「一つ質問いいですか?」
「ああ、いくつでも構わないよ」
「あの……この世界って恐竜がいるんですか?」

 何度も話に出てきた恐竜。
 だって僕は小さい頃、恐竜大好きで図鑑をめちゃくちゃ読んでいたんだ。
 恐竜は大きくなっても古代の神秘というかロマンを感じてしまう。もしかしてこの世界に生きていると思うとドキドキしてしまうのは仕方のないことじゃないだろうか。

「ああ、そうだよ」
「わぁあ!スゴい!あのっ、恐竜っていうのは、ティラノサウルスとかディプロドクスとかトリケラトプスとかですか?」
「勿論だ。今日ルイ君がミルクスープで使っていた肉はトリケラトプスの干し肉じゃないか」
「な……っ」

 まさか恐竜肉を食べていたとは。そういえばラインさんに何の肉か聞かなかったんだ。衝撃を受けて僕は固まってしまった。

 トリケラトプス。三本角で、首を守るように大きなフリルがある四足恐竜だ。
 トリケラトプスが鶏肉味……。憧れていたものを食してしまった事実に、なんとも言えない気持ちになる。

「ティ、ティラノサウルスも食べるんですか?」

 最強の王者といわれている肉食恐竜も食べるのかとドキドキして聞く。

「ティラノサウルスは肉食恐竜だから食べないな。肉食恐竜は攻撃的だから捕らえるのに時間がかかるし、捕まえても肉が臭くてあまり美味しくないんだ。肉食恐竜と対峙した場合で殺したときには森にそのまま放置する。すると他の肉食恐竜が食べるからね。まあ、でもこの森には恐竜が嫌う臭いを発する植物が生息しているから、迷い恐竜以外は殆どこの近くにはいないよ。ルイ君は恐竜にすごく興味あるようだけど見たことないのかい?」
「はい!僕の世界では恐竜はすこい昔に絶滅していて存在していないんです。だから生きていたとしたら、想像するだけでワクワクします!」
「絶滅……?そんなことがあり得るのか?」

 ドンドさんは信じられないと僕の話をせがんだ。そうか、ここでは恐竜いる方が当たり前なんだから驚くよね。

 僕が住んでいた地球では、小天体がぶつかって恐竜が絶滅したんですと説明すると、天災によってそんなこともあるのだなと驚愕の顔をしていた。

 貴重な食料源がないのに、肉は何を食べるのかと聞かれて、鳥や豚や牛を食べますと言うと、獣人を食べているのかと顔を真っ青にしていた。

 僕らの世界では動物は人型にならないと再度言うと、思い出してくれて「そうだったな」と落ち着いてくれた。よかった。

「森の奥をずっと歩いていると、恐竜の嫌う植物がなくなり、肉食恐竜がいた場合はとても危険なことになる。もし森に行きたいときは闘える熊獣人と一緒に行くんだよ。猿獣人のように高い木々を移動できるならいいが、その身体では出来ないだろう?キツネやリスの獣人では食糧にされてしまうし、ルイ君も立派な糧になるから気をつけてくれ」
「こ、心得えます……」

 憧れの恐竜であるが、共存すると途端に恐怖の対象になる。今まで捕食対象になったことかないので、余計怖い。

 三十メートルはあるとされる、草食恐竜最大級の大きさディプロドクスが一番好きで、間近で見てみたいけど、ティラノサウルスとか現れたら一発でひ弱な僕は御陀仏だろう。
 折角家族で心機一転この場所に来たので、好奇心を優先させて死んじゃったら元も子もない。
 僕が熊獣人さんと森に行きますと何度も頷くと、ドンドさんはフッと笑った。


 夜も遅くなったからそろそろ寝ようかと言う話になって、ドンドさんのお部屋を後にした。

 ヴィス君の部屋がちょっとだけ気になったらけど、僕はお姉ちゃんと旭が寝ている部屋に帰る。二人ともスヤスヤと寝息をたてていた。

 そういえばお姉ちゃんは赤ちゃんだから夜起きるだろう。起きた時はミルク実を温めて飲んでもらおうかなと考えて横になると、僕はあっという間に眠りについた。

 異世界転移したから疲れて当然だよね。
 お姉ちゃんはなんと夜一回も起きなかった。熊の獣人になったから眠りは深いのかな?助かるなぁ。
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