姉に巻き込まれて異世界転移〜ワガママ舌を満足させます〜

ぺんたまごん

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 ヴィス君の仕事は、森に棲む蜘蛛が吐き出すを回収することみたいで、食材探しついでに布を見つけることになった。
 蜘蛛の巣はそれぞれ縄張りがあるらしく、大体の場所は決まっているそうだ。

 ヴィス君は大斧と今日は腰にギザギザしたノコギリみたいな剣を装備している。ノコギリで蜘蛛布を切るんだって。想像できない。

「僕らの世界では蜘蛛は小さくて糸は吐くけど、布になるほど糸を吐くって、どんなのなの?」
「小さい蜘蛛か。子蜘蛛は小さいけどな。大人になると蜘蛛は足を含めたら俺ぐらいの大きさがあるぞ。糸も太くて、すぐにいい布になる」
「ヴィス君の大きさの蜘蛛?!」

 気持ち悪そう。蜘蛛苦手ではないけど好きでもない。

「……襲ってくる?」
「いや、獣人ほどではないけど意思疎通できるんだよ。ベタベタする糸は取られるのを嫌がるけど、服に使うサラサラした糸は嫌がらないんだ。古くなったところから貰っていくから、蜘蛛も助かるって言ってたぞ」
「蜘蛛と意思疎通……」

 すごい。すごいよ異世界。
 他の昆虫で意思疎通できるのか聞くと、大型の蜂やカブトムシ、クワガタムシは疎通取れるものもいるって。どれもヴィス君の半分ぐらいの大きさらしい。ひぇえ。

「恐竜は意思疎通できるの?」
「恐竜はできないな。ってか恐竜と意思疎通できるなら、多分食糧にしていない」

 確かに。喋れるなら罪悪感で食べれないよ。
 ヴィス君と歩きながら話していく。獣人さん達が着ている服は全部蜘蛛が吐き出した布なんだって。撥水性に優れていてサラサラとした着心地が抜群だから、よく物々交換に使われるらしい。

「ほらここだ」
「うわぁ。真っ白」

 背の高い木の間を塞ぐように、真っ白な蜘蛛糸が本当に布のように張り巡らされていた。「蜘蛛がいるのは裏側だな」とヴィス君が糸を避けるように回り込んでいく。

「ルイ、表の蜘蛛糸は粘着性だ。身体についたらなかなか外れないから、触れないようにな」
「わかった!」

 確かにところどころにバッタとかカマキリとか小さな虫が巣に捕まっている。怖い。

「ひ、ひぃ……!」

 表に回るとマジでデカい蜘蛛がいた。グロイ。大きすぎて細かな産毛一本一本まで見える。目も沢山。口が動いていて、唾液なのか、食べてる昆虫の粘液なのかわからないクチャクチャねばねばしてる。ひぇえええ!
 僕が固まっている横で、ヴィス君は慣れたように蜘蛛に話しかけた。

「蜘蛛。俺はドンドの群れの息子ヴィスだ。布と糸を少し拝借したい。いいか?」
『半分だけ持っていってくれ。糸もな』
「わかった。ありがとう」

 本当に念話のように蜘蛛が話した。すごい。でも怖い。
 僕はヴィス君が布のようになった蜘蛛糸を取っている間、服をギュッと握って耐えた。「大丈夫だ」ってヴィス君が僕の目頭にキスをしてくれる。うう、好き。

 蜘蛛は糸を編み込むように巣を作っていて、一枚の布のように大きくなり、端は糸になっていた。
 ドンドさんの群れは服作りが得意な群れで、一緒にご飯を食べた子ネズミさんが作るんだって。この布をあの子ネズミさん達が切って、蜘蛛糸と植物の棘の長いトゲで縫って服を作っている。職人子ネズミだね。
 色をつけたいときは染めが上手い群れに物々交換で頼むんだそうだ。

「よし、取れた。蜘蛛、ありがとう。これは選別だ」

 そう言うと、ヴィス君は道中で捕まえていた虫をベタベタ糸に投げつけた。蜘蛛は『ありがとう』と言ってムシャムシャ食べる。ひぇええ。

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